「音楽」と「幸せ」
聴覚障害児・者とかかわり始めて知ったことは、聴覚障害があっても音楽が好きだということだ。それは、100dB程度の音がようやく聞こえる聾者についても同様だった。普段のコミュニケーションでは音声を切って、手話だけでコミュニケーションをしている方も、流行りの楽曲を楽しみ、カラオケにも行くそうだ。
人が生活するために必要なものには、衣食住がある。人間の三大欲求といわれるものには、食欲、睡眠欲、性欲がある。
音楽は、この中には入っていない。音楽は人間として生きていくために必ず必要なものではないにもかかわらず、聞こえる人も、聞こえない人も音楽を欲している。
これは、とても興味深いことだ。
世界三大幸福論の一つといわれている、ラッセルの幸福論では、幸福になるためには、興味を外界へ向けることと述べられている。私はそれを、好きなこと、趣味をもつことだとも捉えている。
そう考えてみると、絵画を鑑賞することも、映画を見ることも、小説を読むことも、スポーツをすることも、生きるためには直接的には必要ないものばかりかもしれない。それでも、人々がそれらを欲しているのは、無意識的に幸福を追求しているからなのかもしれない。
これらはSTEAM教育においては、Aに該当するだろう。そういった意味でも、STEAM教育は興味深い。
調べてみると、東京大学の博士課程の女性が、聾者と音楽に関する研究を行っている様なので、今後の研究の進展を楽しみにしてる。