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待ち時間に考えること

地中美術館の予約時間の30分前に着き
中に入れるまで
外の縁に座って
流れる雲を眺めている。

現代社会に生きていると
いかに効率よく、を考えがちだけれど
こうした待ち時間や
まわり道でこそ
見ることができた風景があったりする。

ベネッセホテルのレストランで
彩り豊かな朝食を摂り
李禹煥美術館への道のりを
灼熱のなか歩かなくていい方法を
一生懸命考えてみたけれど
あまりいい方法が見つからず
結局片道25分の山道を歩いた。

途中、大竹伸朗の作品や
なだらかな波の瀬戸内海を
左手に見て
今日分の歩数も稼げて
なんとなく得した気分。

地中美術館はとても良かった。

モネの睡蓮も、
James TurrellのOpen SkyもOpen Fieldも
Walter de Mariaの
Time Timeless No Timeも。

そして安藤忠雄の建築も。

どの作品もなんとなく
「祈り」に思えた。

タレルの窓から見えた流れる飛行機雲も
デマリアの窓から見えた青空も
モネの睡蓮の青も
全部祈りの青。

ひとは誰しも、
いつかは老い
いつかは死を迎える。

それはけっして憂うものではなく
いのちが地球で立派にひと回りしたことの証。

いのちを終えたら
空に舞い、星になる。

空に煌めく星たちはみんな
先人達のいのち。

そう思うと、
ものすごい数の先輩たちが
いまの地上を見守っているわけだから
やっぱりちゃんと生きないと、と
背筋が伸びる。

50才まであと少し、となって
来世にやり残すものがあって良いのでは、と
考えたりしている。

旅に出たとき、
わたしは全てをやり切らないようにしている。

何かひとつ、やり残しておくと、
また行こう、という気持ちになるから。

同じ理由で今世にも
ひとつかふたつはやり残すことがあっても
いいんじゃないかと思ったり。

単なる臆病なだけかもしれないけど
生まれ変わってまた出逢うことを望むのも
悪くはない。

2024年の奇跡のひとつ。
大切に、大切に想っている。

祈りよ、届け。

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