一月十三日
ねえ、笑っている?
私の靴を隠された時に、自分の授業も受けずに一緒に探してくれたね 私が一軍の女に色が白いって理由だけでいじめられている時に、庇ってくれたね 嬉しかった、本当に
裸足じゃ寒いからって靴を貸してくれたね 26.5のバレーシューズは大きかったけど、嬉しかったよ お前のためにやってるんじゃないと言いながら、自分は靴下で、寒かったことを知っているよ 代わりに温めてあげるよと抱きしめたら、離せと言いながら振り解かなかったね 君の不器用な愛を、知っているよ
出身で色が白いだけなら、俺の睫毛の長さをどうして羨まない?と言ってくれたこと、今でも覚えているから 君は私にほとんどなにもしてくれなかったけど、私を守ってくれていた 嬉しかった、本当に それが愛でなかったとしても、嬉しかったんだよ
君は不器用すぎた 私もまた不器用すぎた 似たもの同士、だめだったね でもきっと何回やり直しても、君もバンプが好きなの?って声をかけることは変わらないと思うよ 君の好きなものが好きだった
君に嫌われたくて、タバコを吸った 君は私に嫌われたくて、髭を生やしたね それでもお互い嫌いにはなれなかったね 君の夢の中にわたしがいるように、私の夢の中でも君はいるよ ほら今日だって 君は笑っていた
あと一週間で誕生日だね 今年は何が欲しい?君の欲しいものなら、なんでも買ってあげる でも家とかは無理だなあ、ごめんね
そうだ、ふたりで甘いものを食べに行こうか 苺が旬だけれど、君は嫌いだったよね だから、それ以外の美味しいものを食べようか
それから適当な居酒屋で、酒を飲んで笑おうよ
ひとしきり笑った後、あ、会計は私持ちでいいよ 君の誕生日だからね
欲しいものがわからなかったから、マフラーにしたんだ 冬に生まれた君に似合う色を選んだよ 少しいいところのだよ チェックが可愛いでしょう
京王線で帰るの?寂しいけれど、ここでお別れだね またいつか、会えたらいいね
またいつかが、来るのならば 私は君を抱きしめようか
またいつかが来なかったならば、私は君を思って死のうか
大丈夫だよ、怖くない 君も悪人だろう?おんなじ、地獄行きさ
地獄で二人仲良く笑おうよ 君となら、地獄もきっと天国だ
君のいない天国なんて、天国なんかじゃないからね
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