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2024年 パリ五輪 開会式のおさらい 【note版】

2024年 パリ五輪 開会式のおさらい

・雨が降る中での進行

・五輪史上初 競技場外での 開催

・パリの歴史、文化、経済が凝縮

・セーヌ川をはじめパリの名所・名勝を式場・装置として活用

・フランスの代表楽曲、絵画、舞台作品、象徴を使用

・歴代選手が聖火走者を務める

今回の開会式演出は賛否両論を巻き起こし、一部の国民、団体、カトリック教会らキリスト教宗派や極右が驚愕し 激しく批判しました(後述)。開催前日、TGV 路線 で 火災が発生し 乗客に 影響を及ぼしました。

聖バルテルミーの虐殺(1572年)やフランス革命(1789年 ‐ 1799年)を連想させる場面、振付、装置があり、レディ・ガガセリーヌ・ディオンら著名人、モンマルトルのムーラン・ルージュ団員によるパリレビューがあり、河岸で大道芸が披露されました。

一人の男性(ジャネル・ドゥブーズ)が聖火を持って競技場(スタード・ドゥ・フランス)に来るもの誰もおらず困っていたところ、ジネディーヌ・ジダン(元フランス・サッカー選手)が現れ交代し聖火を持ちパリの街を駆け巡るところから始まります。

3人の子供が ジダン の後を追い 地下鉄の駅に入り ジダンから 聖火を受け取り地下道に入り、カタコンベ を経て 地下水道で ワニ に遭遇するも 謎の仮面の人物と共に舟に乗り セーヌ川へと漕ぎ出ます。

オーステルリッツ橋 (Pont d'Austerlitz)からトリコロールの煙幕があがり 選手入場が始まりました。今回は 各参加国 が 船に乗り セーヌ川で船渡御を見せました。橋の上で アコーディオン演奏者 が 調べ、『群衆』を はじめ シャンソンの名曲が流れました。

シテ島先端の舞台にレディ・ガガ が ピンクの羽根と共に登場し 歌手 ジジ・ジャンメール(1924年 - 2020年)の名曲『Mon truc en plumes(私の羽飾り)』を 披露し パリレビューの世界へ 誘います。

セーヌ川沿岸に ピンクの装束に身を包んだ サポーターたちが 選手に 歓迎の声を上げ、ピンク一色の古写真が飾られています。フリジア帽をモチーフにした公式マスコット「フリージュ」や ジャンヌ・ダルクといった歴史人物の着ぐるみも 出迎えていました。

モンマルトルの有名ナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」団員によるカンカンがジャック・ オッフェンバック(1819年 - 1880年) 作曲『天国と地獄』に合わせて披露されました。

次に 現在再建中のノートルダム大聖堂(五輪に間に合わず)が登場し 職人によるパフォーマンスが披露され、ルイ・ヴィトンの工房や造幣局へと舞台が移り 制作過程の映像が流れてきました。500人の群舞に 市旗が掲げられるパリ市庁舎 屋根で パリ・オペラ座 最高位ダンサー が踊っていました。

聖火の怪人(私はそう呼びます)が オペラ座に潜入し 舞台は『レ・ミゼラブル』の一場面が再現され、やがて ウジェーヌ・ドラクロワ(1798年 - 1863年)の『民衆を率いる自由の女神』へと変化し マリー・アントワネット(1755年 - 1793年) 終の住処・ コンシェルジュリー へと移ります。

窓から赤いロココ式のドレスを着たマリー・アントワネットを思わせる女性の生首がフランス革命期に歌われた『ア サ イラ Ah Ça Ira!』の 一部句を歌い ヘヴィメタルバンド「Gojira」によるハードロック演奏に変わります。Gojiraは 五輪開会式 史上初 のヘヴィメタルバンド となり、コンシェルジュリーは ロックコンサート会場 になりました(メンバーは それぞれ 窓に設置された舞台に配置され、転落防止安全装置を付けて演奏しました)。

彼らの演奏に合わせて パリ市章の船が登場し 舳先(へさき)に オペラ歌手 マリーナ・ヴィオッティが 歌声を披露し 進んでいきます。パリの標語で市章にも記されている 「たゆたえども沈まず  Fluctuat nec mergitur」 を 表しています。パリが水運で栄えた経緯があり、またパリの歴史 そのもの の 表現化でしょう。

演奏の最後に 赤いテープと花火が 放たれ 血しぶきのように 包まれました。この場面は「祝賀の場面に流血は何事か!」と批難されましたが これは 君主制(王政・帝政)・共和制の交代、革命が激しく繰り返された 混乱の歴史を 表した場面でした。

ヴィオッティは引き続き ビゼーのオペラ『カルメン』(原作 プロスペル・メリメ)の歌曲「ハバネラ」を 歌い、平穏な時代が訪れた1870年代以降のフランスの喜びを表しています。各所で大道芸が披露され やがて 舞台は フランス国立図書館に 移ります。愛を語る場面で フランス文学には 愛をテーマにした作品が多く 3人の男女 が 愛を謳歌しながら街中を駆け抜け、アパルトマンの部屋に入って 締めくくります。この3人は 言語・文法の「男性」「女性」「中性」名詞の擬人化 ではないかと 私は思います。最後にパリ上空にハート♥が描かれ 次の場面に移ります。

その脇にシャルル・アズナヴール(1924年 - 2018年)の『ラ・ボエーム La Boheme』をフランス共和国親衛隊楽士が演奏します。フランス学士院ポン・デザール(Pont des Arts (芸術橋))を舞台にマリ出身の歌手 アヤ・ナカムラは金色の衣装を身にまといフランス共和国親衛隊と共に自身の歌曲『Pookie』、『Dja Dja』を披露しました。

舞台はルーヴル美術館に移り そこに収められている各名画をモチーフにした装置が セーヌ川上に掲げられ、『月世界旅行』、『星の王子さま』といった フランスの名作が散りばめられた映像場面、最後に『ミニオンズ Minions』が登場し 川面に 『モナ・リザ』が 浮かんでいました。『ミニオンズ』、フランス発祥でしたか。せめて『バーバパパ』も 登場してほしかったです。

トリコロールをまとったような服装で『ラ・マルセイエーズ La Marseillaise』を歌ったソプラノ歌手 アクセル・ラ・シレルグァダループ海外県(カリブ海)出身でマリアンヌを表しています。

その間、フランスに貢献した 歴史上の女性(クリスティーヌ・ド・ピザンオランプ・ドゥ・グージュアリス・ミリア等)像 が 登場しました(但し、シモーヌ・ド・ボーヴォワール 像は設備トラブルで登場しませんでした)。因みにパリ市内には260余りの彫像に対し、女性像は40体もあり、フランス国内では1%と満たないそうです。

歩道橋でのファッションショーにドラァグクイーンが登場し LGBTQといった 多様性が散りばめられています。DJを中心に「最後の晩餐」を表現していると言われてますが「カナの婚礼」のようだと言う人もいます。先程触れましたが 特にこの場面は批判されました。舞台にフィリップ・カトリーヌ という歌手(初めて知りました)が全身青く塗ったバッカス(酒の神 ディオニュソス)に扮し歌を披露しました。バッカスが登場したのなら「最後の晩餐」ではありませんね。女性DJはおそらく聖母マリアを連想します。

後にこの場面の演出家 トマ・ジョリーは「オリュンポスの神々の祝宴」を表現したと述べておりましたが演出家の思いとは違う方向へ炎上しました。

選手入場が終わりセーヌ川にメタリックの馬にまたがった騎士が五輪旗を背負って登場し イエナ橋(Pont d' Iena)に到着します。エッフェル塔  (Tour d' Eiffel)と羽根の電飾を背景に各国の旗を持った旗手たちに迎えられイエナ橋を渡を姿はペガサスにまたぐ神そのものでジャンヌ・ダルク、またはセーヌ川の起源となった川の女神 セクァナと言う人がおります。トロカデロ広場に着いた騎士は五輪旗をフランス陸・海・空 軍人に渡します。

掲揚された旗がなんと逆さになっていました!

エマニュエル・マクロン大統領、トーマス・バッハ IOC会長の宣言に続き、聖火がトロカデロ広場に着き再びジダンが持ち、歴代五輪選手へと交代しセーヌ川を上り、金メダル獲得者として最高齢の元選手にわたり、熱気球を模した点火台に点されます。

締めくくりはセリーヌ・ディオンが歌う『愛の讃歌』です。セリーヌ・ディオンは難病と闘いながらエッフェル塔中央部でエディット・ピアフ、フランスの代表曲を熱唱しました。

※ 本文は弊ブログ『令和氣淑』2024年7月30日 記事を再掲、加筆修正しました。

※ 2024. 9.   1  追記
※ 2024. 9. 10  追記
※ 2024. 9. 15  修正
※ 2024. 9. 22  追記
※ 2024. 9. 24  加筆修正
※ 2024. 9. 29  訂正 ‐ 作中に バッハ IOC会長の名前が「フランツ」と表記しましたが正しくは「トーマス」でした。お詫び申し上げます。


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