私の愛機のテルミンの秘密

 私の愛機のテルミンSeries91は、一般的なテルミンと異なる点があることについては前号のブログで述べました。それらはSeries91というテルミン特有の特性であるのですが、私の個体にはMoog博士にお願いしてカスタマイズしてもらった固有の特徴があります。
 Series91テルミンには音色が4つ搭載されています。「1番」の音色は作曲家青木朋子さんに書いていただいた「Sundowner」という曲を演奏するための音色です。倍音の乗りが少ない柔らかい音色が特徴ですが、カタログモデルのSeries91には載っていません。Moog博士にお願いして特別に載せていただきました。

「1番」の音色。

 「2番」から「4番」の音色も全体的に柔らかい方向にシフトしています。私がテルミンで演奏する際に用いるのは私のSeries91の「2番」の音色。

 「2番」の音色。

Moog博士がご存命だったころのMoogMusicには(当時はBigBriar社)、音楽家の我儘にも柔軟に応え、寄り添ってくれる姿勢がありました。近頃Etherewavethereminの新型が発売されカスタマイズの相談をメールで送りましたが、返事すらありませんでした。

 私がテルミン演奏に取り組み始めたのは1993年。奇しくもテルミン博士がお亡くなりになった年ですが、4か月のあいだ、同じモスクワの空気を吸っていました。振り返ればテルミン博士がご存命な上、Moog博士とは直接お会いすることもでき、楽器も直接購入できました。二度とやってこない、夢のような時代。

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