【第三十回】 何者にもなれなかった50男の物語
職場へ行く気が全く無くなった
妻には過去ぼくのような状態に
なった同僚が居たらしく理解して
くれていた
かなり助けてもらい負担も減った
妻は良く支えてくれたと思う
ぼくは仕事を休み内科へ行った
医者に身体は大丈夫と診断され
心療内科へ行ってはと勧められた
鬱病は新しい病気で心療内科の
ドル箱となる商品
当り前のように医者には典型的な
鬱病と診断された
本当に鬱かどうかはどうでも
よかったのかもしれない
ただぼくは自分の現状に疲れてた
結局
医者の診断書が欲しかっただけ
だったと思っている
自立支援医療制度を受け
1割負担で病院にかかった
休職期間中は傷病手当で過ごし
そのまま休職期間を目一杯休み
退職した
ぼくは傷病者だったので自己都合
でも待機期間はなく
すぐ失業手当を貰うことができた
そして定期的に相談窓口に行けば
ハンコを貰える優遇も受けた
失業者になったぼくは妻と自費で
店をやろうと企てた
過去の失敗から初期投資と
固定費にお金をかけたくなかった
もし店が失敗してもいいように
保険をかけ住居付店舗を探した
時はコロナ
自粛期間に入り正直
店を始めてから軌道に乗せる
自信は全く無かった
それにあの時の覚悟だと絶対
また失敗していただろう
結局妻もぼくも本当にやりたい
事ではなかった
クレヨンしんちゃんの街に
フードテーマパークみたいな
ところがありぼくらは悩んだ
結局大家が僕らの前に知り合いと
話をつけていた感じで全然話が
進まなかったので契約解除した
この時80万位の敷金が必要
だったが結果として契約しなくて
良かったと思っている
ぼくには信念が欠落していた
何が何でもやり遂げようという
強い意思こそ店を続ける秘訣
中途半端に開けた店は金をドブに
捨てるようなものだろう
契約が破談になるとすぐにぼくは
宅建の勉強を始めた
今回の件で自分の中の理想的な
不動産屋を目指そうと意気込んだ
熱しやすく冷めやすい性格のため
一年半毎日15時間勉強に費やした
通常3か月ほどの勉強でも行ける
らしいがぼくは頭が悪い
保険と時間をかけ学習時間を長め
にとってひたすら勉強し続けた
ひたすら勉強すれば絶対に合格
出来ると信じて過去一頑張った
模擬試験でも特Aランク
イイ感じだ
絶対合格出来ると自信満々だった
そして試験当日
その年の試験は苦手な民法が多く
29点というざまに終わった
不合格と分かった時妻は泣いた
彼女は傍で勉強するぼくをずっと
見ていたから悔しかったと思う
そしてぼくは灰の様に燃え尽きた
目一杯頑張った分脱力感も半端ない
もうこれ以上頑張れないとなり
翌年のリベンジは諦めた
でも結果的に良かったのかも?
落ちたとわかった途端不動産業に
一気に興味が無くなっていた
多分宅建に受かり不動産屋に就職
してもすぐに興味が失せてたはず
それに50代で宅建の資格を持つ
不動産業の素人なんてどうよ?
試験に落ちたぼくは間髪入れず
前からの夢であったタクシー乗り
になった
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