星空の下【あなたへの詩】 vol.2
星空の下、果てしなく続く大地。
月と満天の星に照らされキラキラと輝く砂漠。
周りには誰ひとりいない。
足元を見てみると、月に照らされて光の絨毯が。
導かれるように歩いていくと、遙か遠くに光を放つ建物が。
それは、宮殿。
賑やかな音楽と、人々の歓談の声。
中へ入ってみると、華やかな装いの人々が楽しそうに談笑したり、踊ったりしていた。
その中でも、1 人輝きを放つ男性が。
浅く椅子に座り、周りにいる人々を笑いの渦に引き込んでいた。
何故か、彼から目が離せなくなった。
彼をただ見ていたいと、思った。
楽しそうに笑う彼の声を、笑顔を。少しでも傍で。と。
一晩中、彼をただ見続けていた。
人々の談話が耳に入った。
彼はこの宮殿の王子だと知った。
彼には心に決めた女性がいるという事も・・・。
叶わない恋だと知った。
それでも、ただ彼の傍にいたいと思った。
宮殿で働ける仕事を探し、時折、見かける彼の姿に幸福を感じ過ごしていた。
人は欲深い。
彼を見ているだけでいいと思っていたはずなのに、想いは募るばかり・・・。
彼と話がしたい。
願った。少しでいいからと。
幸運なことに、彼と共に過ごせる仕事を言付けられた。
彼と同じ空間で過ごせることが、彼と言葉を交わせることが、夢のようで。
とても幸せな時間だった。本当に、幸福な時間。
それから、少しずつ彼から声を掛けてもらえる事が多くなった。
とても、嬉しかった。
話が出来るようになっただけで、充分だと。
でも、心は言うことを聞いてくれなかった。
彼と話をするだけで。彼が傍に来るだけで、鼓動が激しくなり、手は震えた。
誰にも気付かれないように・・・。
彼は、私が想ってはいけない人。
そう、これは叶わない恋・・・。
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