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『柳田國男全集』の年譜のスキマ③―日本に滞在した人類学者・エンブリー夫妻と柳田國男
『柳田國男全集 別巻1』の年譜は現時点での決定版であることは以下の記事のように度々述べているが、ここに書かれていないこともまだまだあると考えられる。今日は先日発見したその一例を紹介していきたい。
『忘れられた人類学者(ジャパノロジスト) 〜エンブリー夫妻が見た〈日本の村〉』田中一彦は、1935~1936年にかけて熊本県の須恵村に滞在して民俗学的な調査を行ったジョン・エンブリー、エラ・エンブリーの日本での足跡を調査した本である。エンブリー夫妻の日本滞在の足跡が紹介されている中で、以下のような記述をみつけた。
(1935年)9月18日 東京。渋沢敬三の自宅訪問。柳田國男にも会う。「九州に関する幾つかの情報をもらった。とても愉快な人物。大きな書斎があるヨーロッパふうの家を訪問。」(後略)
この本によると、上記の記述はエンブリー夫妻が日本滞在を記録していたフィールドノートを参照したという。この記述から、エンブリー夫妻は同じ日に渋沢敬三と柳田國男に会っていたことが分かる。『柳田國男全集 別巻1』の年譜ではこのことには触れられておらず、同じ日付の内容を確認してみると以下のようになっている。
1935年(昭和10年)9月18日 民間伝承の会の機関誌『民間伝承』(タブロイド版)を創刊する。発行所は、目黒区下目黒の守随一の自宅。当初の発行部数は、300部。
『民間伝承』の創刊と同日にエンブリー夫妻は渋沢と柳田に会っていたようだ。
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