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レゴパーツ 呼び名の基本 "パーツ番号編"

 レゴパーツの分類方法を紹介した前回記事をお読みいただいた方の中には、「分類はわかったけど、その中からパーツを探すのはなんだか面倒…」「目的のパーツはもう決まってるのに、もっと効率のいい方法ないの?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
 この記事では、数多あるレゴのパーツを色も含めて(一意に)特定する調べる方法について、説明をしていきます。レゴのパーツを特定できれば、自分の作品づくりのために、ECサイトでパーツ単位の購入をしたり、そのパーツが使われている公式セットを調べたりすることができます。


バイネームでのパーツの特定方法

レゴの型番体系

 レゴには各製品(セット/キット)ごとに固有の商品IDと、各部品ごとのパーツIDが振られています。英語と日本語とで呼び方が異なるので注意が必要です。レゴ関連の情報サイトやECは、残念ながら英語サイトの方が多いので、以降の記事では実際に検索することを意識して、原則的に英語側の表記を優先します。

アイテム番号(Item No./セット番号)

レゴはその長い歴史のなかで様々な公式セットを販売してきました。各セットにはタイトルや名前が振られていますが、中には似たような名前や重複もあります。
 例えばスター・ウォーズシリーズの代表的な宇宙船であるミレニアム・ファルコン号は、レゴが同シリーズの展開を初めて以来、25種類の異なるモデルが発売されてきました。(今後も増えるでしょう)
 こうした異なるセットをユニークに識別するためのレゴの商品番号の体系が「アイテム番号」です。2023年現在5〜7桁の番号で表され、セットの箱や袋、組み立て説明書に印刷されています。
 アイテムナンバーは、レゴショップでの注文や、組み立て説明書のダウンロードなどの際に、目的のセットを見つけるために使います。

箱に印刷されたアイテム番号(画像はLego.comより)

デザイン番号(Design Number*)

*後述するBricklinkではItem No.と呼ばれています、紛らわしい…

 セットと同様に、使われているレゴパーツにも固有の番号がついています。「デザイン番号」はパーツの番号体系のうち、「部品の形状」を表す4〜5桁の番号です。(このとき、色は関係ありません)

同じ形状のパーツには、同じデザイン番号が振られている。
上段は3004、下段は3710

 デザイン番号は1968年にレゴ社の社内で使われ始めたと言われており、3001番から始まり、古くからあるパーツは一定のルールに従って採番されています。

  • 3001〜3009 ブリック、Duploブリック

  • 3020〜3036 プレート

  • 3037〜3050 スロープ

  • 3068〜3070 タイル

 残念ながら現在はパーツの種類が増えたことにより、上記以降の採番ルールは崩れてしまいました。特に1990年代中盤からは「30000」から始まる5桁の番号が使われはじめ、新しいパーツが誕生するたびに、番号はランダムに振られているように見えます。そのため欠番も存在します。
 レゴのパーツの中には、特定のセット/シリーズのために開発され汎用性がないためにシリーズの展開修了と同時に製造中止となったもの、より堅牢性や接続性を向上させるための再設計によって改良バージョンが誕生したために使用されなくなった旧式パーツなどもあります。
 実はこのデザインナンバーは、パーツ自体に刻印されています。部品を裏返して目を凝らすと、うっすら文字のようなものを確認する事ができます。非常に小さい文字で、パーツの色によっては見づらいものも多いので肉眼で番号を読むのはほぼ無理でしょう。では現実問題として、どうやってデザイン番号を探すのか、という問題については後述します。

デザインナンバー3032番「4 x 6プレート」の、実際の裏側
ミリ単位の細かな文字で番号が刻印されている。(写真はBricksetより)

エレメント番号(Element Number)

 ブロックの形状に加えて、レゴの部品には色のバリエーションもあります。この"色と形状の組み合わせ"で一意に特定されるパーツ番号のことを「エレメント番号」と呼びます。

最近の組み立て説明書では、最後のページにパーツリストがあり、
それぞれにエレメント番号が振られている(画像はLego.comより)

 エレメント番号は6〜7桁で表現されています。エレメント番号は当初、デザイン番号(4〜5桁)+色番号(2〜3桁)の組み合わせで体系立てて採番されていましたが、このルールも現在は破綻しています。そのため、パーツを選んだり購入するときに私たちユーザーが意識する必要は、特にありません。

 とはいえ、当初のエレメント番号の体系ルールはどうだったのか?気になる方もいらっしゃると思うので、少しだけ色番号とエレメント番号の経緯を紹介します。現在のレゴづくりに役立つ知識ではないので読み飛ばしていただいても構いません。


  1. 色番号の体系の複雑化

    • 色数の増加

      • 当初、レゴの色番号は2桁で、純粋に色の違いだけを表していました。01番の白色から始まり、21は赤、23は青、24は黄色、26が黒…などです。

      • やがて90年代の後半〜2000年代にかけて、レゴ社が作り出す色数は爆発的に増加していきます。レゴの公式なカラーパレットと色番号の対応は、2016年にレゴ社が公式カラーチャートを公表するまで知られていませんでしたが、その時点でソリッドカラー(ベタ塗り)43色、クリアカラー(透明)14色にのぼり、色番号は3桁になりました。

      • 色とは別に、そのうちレゴ社は素材の仕上げ加工にもこの番号を使い始めました。例えば、パーツにシルバーの塗料を塗る加工を施した「Cool Silver, Drum Lacquered」を298などとしました。

    • 単色では表現できないパーツの出現

      • 近年では「窓のパーツで、赤い窓枠+透明のガラス」「恐竜の翼で、ベースは緑・赤い模様入り」など、2つ以上の素材や色から成るパーツが出現しました。これらのパーツには、新たに500番台が採番されています。

  2. デザイン番号の増加

    • デザイン番号の項目で説明したとおり、色番号だけでなく90年代の半ばからはデザイン番号も増加していきます。それまでシンプルなデザイン番号4桁+色番号2桁だったエレメント番号は、4桁+3桁、5桁+2桁などが登場し、区切りが分かりづらくなってしまいました。

  3. エレメント番号体系の見直し

    • 複雑化するエレメント番号は1994年にレゴ社にSAPが導入されたのを契機にリセットされ、以降に登場したパーツには新たに4100000から始まる7桁の連番が割り振りされるようになりました。2020年時点の最新データでは、6000000番台の番号が割り当てられています。

レゴ社が2016年に公開した公式カラーチャート(画像はbrickset.comより)

 このように、従来は関連性のあったエレメント番号、デザイン番号、色番号の3つの体系は、現在ではそれぞれが独立管理される結果となりました。しかしながら古くからあるブリックやプレート系のパーツには一部、デザイン番号+色番号の名残が残っています。
 例えば、本投稿の上の方で画像で紹介した1 x 4のプレートは、赤色は371021、黄色は371024、緑色は371028、青色は371023、白色は371001となっています。


番号の調べ方

エレメント番号の特定方法

 確認したいパーツが手持ちのレゴセットに含まれていれば、組み立て説明書の最後のページか、外箱の横にセット内のすべてのパーツ一覧とエレメント番号が記載されています。(一部、小袋のセットやノベルティ商品などは書いていないこともあります)
 自分が持ってるセットにはない、説明書/箱をなくしてしまったという場合も大丈夫です。レゴ公式サイトでは、過去に販売された公式商品の組み立て説明書のアーカイブを公開しています。アイテム番号で検索すれば、お目当ての説明書をダウンロードすることができます。

パーツの一覧は、箱の側面に載っていることもあります。

デザイン番号の特定 - 3つの方法

【方法1】パーツ一覧をデータベース化しているWebサイトを調べる。
例えば、Rebrickable.comではこれまでに販売されたパーツを、画像イメージ付きの一覧として公開している。

ドロップダウンメニューから「Bar」カテゴリを検索した結果。アンテナやフェンスなどのパーツが画像付きで見つかる。上部の4〜5桁(+a/bの文字があることも)が「デザイン番号」
(画像はRebrickable.comより)

【方法2】Bricklink Studioのパーツ番号を確認する。
 Bricklink Studioは、PCのデスクトップ上で3DCGのレゴモデルを作ることができるデスクトップアプリケーションです。Bricklinkは当初レゴのファンコミュニティとして誕生しましたが、2019年にレゴ社から買収され、レゴグループ参加となりました。したがってBricklink Studioはレゴ社の準公式アプリと言えるでしょう。
 Bricklink Studioでは、ユーザーは使いたい部品を自由に選び、自分の作品を作ることができます。部品を選ぶ際に、画面の下部に選択中の部品のデザイン番号が表示されます
 StudioはBricklink.com上の部品データベースと統合されているため、現在入手不可能なパーツや生産されていない色を把握することができます。また欲しいものリスト、EC機能と統合されているためStudio上で部品を選択し、Webサイト経由で購入するということができます。

Bricklink Studioの画面の一部。画面の下部にデザイン番号「3710」と
パーツの名前「プレート1 x 4 厚さ0.6スタッズ分」が表示されている

【方法3】エレメント番号から推測する(おまけ)
 
前述の通りエレメント番号とデザイン番号との間には、一部関連性があるパーツもあります。「3始まり」のエレメント番号(3始まりは6桁)を見つけたら、そのうちの上4桁がデザイン番号になります。しかしながら実際のセットで使われているパーツのうち、この方法が取れるものは非常に限られています。

ヨーダのジェダイ・スターファイター(75360)で使用されているパーツ例。
3始まりのエレメント番号は一部に限られる。また同じデザインでも色によってエレメント番号が全く違うケースも見られる。例えば同じ1x1プレートでも、黒とグレーでは別体系となっている。
(画像はLego.comより)

結局、番号がわかってどうするの?

 紹介したBricklinkなどのデータベースでは、パーツに関して様々な情報を調べる事ができます。自分の創作活動としてオリジナル作品を制作するという目線で、以下に代表的なデータ項目と使用例を示します。

  • 市場で現在出回っている色の一覧 …自分が制作をするときに、どの色を使って良いのかが分かります。せっかくオリジナルのモデルを組み上げても、存在しないブロックだったということが防げます。

  • 販売された年代 …現役の部品かどうかが分かります。廃盤になってしまっている部品は、取引価格が高騰したり、中古品でしか入手できなくなります。また自分の作ったモデルの設計図を公開して他の人に作ってもらいたいときにもパーツ入手のハードルは高まります。

  • パーツの取引価格 …過去の販売実績や現在の販売価格のデータを見ることができます。自分が作ったモデルで高価なパーツを使用している場合、より割安な他のパーツに交換できないか、検討するヒントになります。

  • そのパーツが使用されている公式セット …ときには部品をバラ売りで購入するよりも、市販の公式セットを購入したほうが割安になることもあります。またバラ売りでは在庫がないケースなども公式セットからほしい部品をピックアップすることになります。2014年の調査では新品のレゴ公式セットの場合、1パーツあたりの平均価格は10.4セントでした。(約15円、23年8月現在)したがって、それよりも遥かに高い値段で取引されているパーツの場合、公式セットの購入も視野に入ります。

  • 現在の販売状況 …Bricklinkなどの販売プラットフォームでは、パーツをバラ売りで購入する事ができます。現在そのパーツの在庫を持っている販売店名、在庫数、販売単価などを調べることができます。

後述する謎パーツ「68211」のデータベース。
2020年から現在まで販売、6色展開、37の公式セットで使われていることなどがわかる。

 パーツを自分の作品に組み込むべきかを考えるため以外にも、そもそもどのような用途のパーツかを知りたいという場合に、「そのパーツが使用されている公式セット」を検索する機能は使えます。
 例えば、私が以前レゴ・ディスカバリーセンターの量り売り「Pick-a-Brick」を利用したところ、見慣れない木の枝のようなパーツ(デザイン番号68211)が混入してしまっていたということがありました。このような場合には、実際の公式セットを調べることで使用例を確認することができます。

「パーツ67211」の様々な用例。コート掛け、木の枝、矢筒から出た矢、ミニオンの頭の毛など、
実際のセットを調べると様々な"見立て"を見つけることができる。

自分のオリジナル作品に活かす

 レゴ公式のセット商品しか購入したことはないという方は、これまでパーツの番号を意識する機会はあまりなかったかもしれません。ところがオリジナルで作品を制作しようとする際には、どうしても追加のパーツが必要になってきます。パーツの固有番号がわかると、希少性や取引価格を参考にそのパーツを採用すべきか検討したり、あるいは実際の購入までのプロセスをスムーズに行う事ができます。ここで紹介したテクニックを使って、みなさんの作品制作に取り入れてみてください。

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