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レゴってどう組み立てる?【テクニックパーツ 後編】 

前編の記事ではテクニック系のパーツであるアクスルを中心に、プレート、ブリックそしてリフトアームを繋ぎ止めるための方法についてご紹介しました。

後半では、テクニック系のもう一つの接続方法である「テクニック・ピン」による接続方法をご紹介します。なお、今回もテクニック系のパーツを紹介する都合で、2つのタイプの穴が出てきます。

・ テクニック穴 … ●型の穴のこと
・ アクスル穴  … ✚型の穴のこと

それでは続きをみていきましょう。


3. テクニック穴にピンを挿して、束ねる

前項まではアクスル(車軸)を使った接続方法について紹介しましたが、「テクニックピン」を使う方法もあります。テクニックピンは通常、テクニックブリックやリフトアーム同士を接続するために使います

テクニックピンの例

【ワザ1】カタマリ同士を接続する

接続点が多ければ、それだけ接続する力は強くなるので「2つの部分を予め別々に作っておき、後からつなぐ」という使い方ができます。接続するカタマリが、ある程度大きなものになっていても、支える事ができます。

大きなカタマリを接続する例。画像は「バットモービル1989」(76139)より。あらかじめ出しておいた6本の青いピン(左)に対して、後から組み立てた別のカタマリを接続している(右)

特に大きなカタマリを装着するために、強固な接続をする必要があるときは、少なくとも2つの接続点を設けるようにします。この際に、接続点は互いに距離をあけるようにします。(下図参照)

テクニック・ピンでリフトアームどうしを固定するときには、
2ヶ所以上を固定する。このときピンどうしの間を話したほうが頑丈になる。

一方で、接続するカタマリが小さい場合には、接続点は一つで十分な場合もあります。接続が必要な部分の大きさによって、接続点は増やしていけばよいでしょう。

接続する部分がパーツ単体なので、ピンは1本づつで十分。
画像は「90周年限定コレクション」(11021)より。

【ワザ2】組む方向を自由に変える

ピンが挿せる接続用のパーツをピン・コネクターといいます。ピンコネクターの中には、アクスルとピンの穴の向きが直角の位置にねじれているものがあり、こうした「直交コネクター」を使うと、パーツとパーツの間を強固に橋渡しすることができます

アクスル穴とテクニック穴が90度に直交したパーツ「直交コネクター」
パーツとパーツを固定するために、直交コネクターを利用する。
(画像はLego Educationブログより)

また、テクニック穴が2つ空いた「コネクター・ダブル型」や、「Lピンコネクタ」も2つのブリックやリフトアームを並列させたり、直角に接続させるのに有効なパーツです

テクニック穴2つ空いた「コネクター・ダブル型」とL字に穴が配置された「Lピンコネクタ」

【ワザ3】回転を取り入れる

テクニックピンには、滑り止め(英語ではフリクション = 摩擦)の仕上げがされているものがあり、「滑り止めあり」と「滑り止めなし」の2タイプにわかれます

表面がツルツルしていてテクニック穴に挿したときに、穴の中でスムーズに回転するものが「滑り止めなし」です。一方で「滑り止めあり」は、表面にデコボコとした突起があり、テクニック穴に挿したときに穴にピッタリとハマるため多少の力を加えないと回転しません。

「滑り止めなし」は固着させたいもの、「滑り止めあり」は動きを付けるときに使用します。ご自分の目的で使い分けると良いでしょう。

上)投石機に使われたグレーの「滑り止めなし」ピン。レバーを押すとテコの原理で石を発射できる。(下)帆船のマストの芯をくっつけるために黒の「滑り止めあり」ピンが使われている。(画像はそれぞれ、上 SW Advent Calendar 2015 - Day9(75097)、下 60 Years of the LEGO Brick(40290)より)

テクニック・ピンの滑り止めあり/なしは、ほぼ同じ形をしています。そのためお互いを間違えないように明確に色が別れています。滑り止めなしは白や肌色など薄い系統の色が使われているので、比較的かんたんに見分けがつくでしょう。

以下にコネクターピンとアクスルピン(ピンとアクスルが半分づつ)の配色の違いについてまとめておきます。

テクニックピンの種類一覧。長さの単位「L」はブリックやプレートのスタッズ数と同じで、すなわち繋ぎとめることのできる梁の本数に相当する。例えば3Lであれば、3スタッズのブリックの長さと同じであり、3本のリフトアームをピン束ねることができる。(パーツ画像はBrickersより)

【ワザ4】脱着させて遊ぶ

ピンはブロックから抜き差しができるので、ワザ1の逆の要領で、一度作った作品から、カタマリを着けたり外したりして遊ぶのにも向いています。以前の記事で紹介した「バーとクリップ」の関係に似ています。

「ワザ1」の内容とは逆に、接続するピンが少なければ接続は弱くなります。脱着を想定する場合には接続点は少なくない方が取り外しやすいです。

Modular Buildingシリーズでは建物のピンとテクニック穴が用意されていて、別々の製品間をまたいで、お互いに接続できる様になっている。この接続にも「テクニック穴とテクニックピン」が使われている。画像はサンクタム・サンクトラム(76218)Icons 警察署(10278)

ちなみにピンは、テクニック系だけではなく、システム系にも同様の形状のパーツがあります。特に脱着させて遊ぶようなを仕組みの場合はテクニック・ピンよりもシステム系のピンの方がオススメです。
(引用した公式画像を否定することになりますが。)

なぜならば、テクニックピンを使うと、カタマリを切り離したときにピンが抜け、その際に2つのカタマリのどちら側にピンが残るかは運しだいとなるからです。意図しない方にピンが残ってしまって、後から手で付け替えるという手間がかかります。

テクニックピンでの接続は、抜いたときにどちらにピンが行くかわからない。

小さな問題かもしれませんが、ピンがブリックと一体になっているテクニック系のパーツではこうした事象は起きません。

テクニック・ピンでもシステム系のピンでも、どちらでも似たような構成ができる場合には、システム系のピンを使ったほうが、使うパーツ数も減らせて、組み立ても簡単になります

4. "スタッズ付き"ピンやアクスルに、チューブをはめる

テクニックピンやアクスルには、先端がスタッズやチューブ状になっているものがあり、これらの部分にはシステム系のブリックやプレートをはめる事ができます。

先端がスタッズ/チューブになっているテクニックパーツたち

特に上の図の左から二番目、先端がスタッズになっているピンを1/2ピン(ハーフピン)と良い、これを1 x 1のテクニック穴のあるブリックにはめることで、ちょうど「2面ポッチブリック」と同じ様に、スタッズをヨコ向きに出すテクニックとして使うことができます

ハーフピンをつけたテクニックブリックと2面ポッチ。
どちらもブロックをヨコ向きに着けられるようになっている。

このときに注意しなければいけないのは、システム系ブリックとテクニック系ブリックの絶妙な大きさの違いです。実は同じヨコ向きに穴が開いているパーツでも、テクニック穴とシステム系の「2面ポッチ」や「ヘッドライト」では穴の中心位置が少し違います(テクニック穴の方が上にある)

(左)テクニックの穴の方が(右)システム系のブロックよりも高い位置にある。なお、この左右のブロックもお互いに繋ぐのは「反則技」とされる。
(画像はTiago Catarino氏のYouTube動画より)

結果として「テクニック穴+ハーフピン」と「2面ポッチ」では、カタチはよく似ていますが、寸法的には別物になっています。従って、手元にパーツが無いからといって「テクニック穴+ハーフピン」と「2面ポッチ」を混在させて、両者を繋いではいけません。ブロックを歪めたり傷つけたりする原因になります。

ヨコ向きにスタッズを生やしたいシチュエーションでは、2つの方法のいずれもだいたい同じに仕上がりになるので、どちらを使っても構いません。しかし「テクニック穴+ピン」を何らかの理由で1ヶ所でもつかったら、ほかの部分でもその方法を貫き通さねばならない、ということになります。

ニューヨークシティ(21028)では、最終的にビルの側面にタイルを並べたいがために「テクニック+ピン」を使用している。ステップ9で黒いパーツを差し込むために、2面ポッチでは都合が悪かったのだろう。このときの選択が後段まで影響している。

「テクニック穴+ハーフピン」では穴の位置が上がっているということは、上にパーツを載せるときにも影響を受けます。先程と同様に、これも禁じ手とされている構築方法で、パーツに負荷をかけるため避けましょう

テクニックピンにプレートをつなぐと、0.12mmだけブロックからはみ出る。この上にプレートを載せるとちょっと浮いてしまうので、NGとされる。(画像はBricknerd.comより)

なぜテクニックの穴と、システムの穴は位置が違うのか?
 
システム系の穴は「バー」が差し込めるサイズ、テクニック系の穴は「アクスル」が差し込めるサイズで設計されていて、テクニック系の方が穴は大きいです。

 このとき、もしもシステム系と同じ位置で大きな穴を開けてしまうと、テクニック系ブリックの下に別のブロックをはめたいときに、下方向からのスタッズを受け止めるための距離を確保できないという問題が起きるのです。
(アクスル穴の周囲を支える壁の厚さも必要で、さらに下からくるスタッズには「LEGO」の刻印もされてるので相性が悪い)

 そこでレゴ社のデザイナーたちは、テクニックシリーズを開発したときに、テクニックの穴の位置を0.12mmだけ上にずらすことによって、下からのスタッズが十分入るだけの容量を確保することになったそうです。


テクニックパーツのつかいどころ - 全体まとめ

スタッズが上とされるシステム系ブロックとは異なり、テクニックパーツは基本的にアクスルやピンなどで互いを接続するため、リフトアームなどのパーツには明確な上下がありません。

上下がないからこそ自由にパーツ同士を組み合わせることができるのがテクニックパーツの魅力です。

次回は、最後の接続法である「ヒンジ」について扱いたいと思います。

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