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10-2.動画で記録するインタビュー

『動画で考える』10.動画を使って対話する

身近な人を相手にインタビューして動画で記録してみよう。

あなたが話を聞いてみたい相手にインタビューしてみよう。インタビューの相手として一般的に思い浮かぶような、ある分野の専門家や、ニュースに採り上げられるような、話題性のある相手でなくても良い。ただあなたが話をしてみたい、身近な誰か、友人でも家族でも、場合によっては街で見かけた初対面の人でも良い。

インタビューを行うのに、まずは何をしなければならないのか。相手にそれを依頼して、承諾を得る必要があるだろう。あるいは承諾を得ないで行うインタビューについて考えてみよう。これは、テレビのインタビューとは違った試みなので、必ずしもその業界の常識に倣ったやり方をとらなくても良い。

相手が家族の場合はどうだろう。改まってインタビューなんて、と思われてまともに相手をしてくれないか、あるいは気安く付き合ってくれるか、いずれにしても完全に拒絶したり無視したりすることなく、やりとりには応じてくれるだろう。そこで普段は聞きにくい、相手も話しにくくて話題に上がることを避けているような内容に触れてみよう。

インタビューは、できるだけキチッと対面して、マイクがあるならそれを相手に向けて、要するに、私はあなたの話をちゃんと聞きたいんです、という状況を作って進めよう。例えば、あなたの父親に、疎遠になって付き合いのない兄弟のことを聞いてみよう。最初は軽く話を進めて、家庭菜園の今年の野菜の生育について聞いてみても良いかもしれない。とにかくいきなり相手が話しにくいことを聞いて、席を立ってしまわないように、少しずつ話題を変えていって、気が付いたらその兄弟の話題になっているというくらいの加減が良いだろう。

父親の、その兄弟に対する感情を少しずつ引き出すように、相手の気持ちに寄り添いながら、慌てず言葉をたぐり寄せていく。父親が、こんなことを話してどうなるんだろうとか、兄弟や家族に聞かせたくないな、とか、いろいろ現実的な問題に思い至らないようなペースで間を空けずに話をつないでいく。

相手の反応はすべてを動画で記録しよう。

テレビや雑誌向けに行われるインタビューは、多くの場合はあらかじめ、質問もそれによって引き出そうとする応答も、事前に決められている。つまり聞かなくてもわかっていることを聞いているわけだが、その応答を本人の口から引き出す、ということに意味を持たせている。本人が自らそう言いました、という証言をとっているのだ。だから聞く方も答える方も、シナリオ通りに淀みなく、やりとりすることができる。

プライベートなインタビューは、あらかじめ用意せずに、こんなことを聞きたいな、といったくらいには頭の片隅にメモを置きながらも、ほぼアドリブでやりとりを進めていく。

だから話はとりとめもなく脇にそれたり、関係のない世間話が突然挿入されたり、急に感情的になったり、話が中断して沈黙が続いたりすることもある。

その全てを動画で記録しよう。

決まり切った話を引き出すのが目的でなく、想定の時間にまとめる必要もなく、常に対話が途切れないように気を遣う必要もなく、ただ全てを記録しよう。

インタビューとは、通常は言葉のやりとりで、その意味では動画で撮影してもその画面は単調で面白みはない。だから撮影のテクニックとしては、質問者と応答者のやりとりを、交互に撮影・編集して変化を持たせたり、全体を捉えるショットで腕を広げたり体を揺すったりする様子を捉え、インサートしたりする。あるいは人物を印象付けるために、顔の表情や目元・口元のクローズアップを挿入することもある。

表情に変化を持たせるためには、おだてたり挑発することもあるだろう。しかしそれはあくまで予定調和の演出に過ぎず、相手が本当に感情的になったり気分を害したりすることは、まずない。

言い間違いや、戸惑い、沈黙の状態に注目してみよう。

一方でアドリブのインタビューでは、そこで何が起こるのか、何に向かって話が進んでいくのかまったくわからない。言葉のやりとりだけでなく、激昂したり長い沈黙が続いたり、歩き回ったりその場を離れて戻ってこない人もいるかも知れない。動画撮影も三脚に据えっぱなしというわけにいかず、手持ちカメラで相手を追いかけながらインタビューすることになるかも知れない。

言葉にならない感情も動画であれば記録できる。表情のちょっとした変化や瞬き、眼球の激しい動き。あるいは手で顔をこする仕草の繰り返し。髪の毛を掻き上げたり、頭皮をひっかいたり。口元をゆがめたり、下唇をかんだり。

発言も完全なものではなく、途中まで話しかけて言い淀んだり、何度も繰り返し同じ言葉を発したり、咳き込んだまま沈黙したり。大きな声で怒鳴ったり、ささやくような声で独り言を言ったり。お互いの話が食い違ったまま、それでも対話が成立しているかのように進んだり。

要するに言葉ではまとめきれないようなさまざまな現象がそこではやりとりされ、その全てがインタビューの一つの形態であると言える。それはそのまま動画に記録され、言葉に置き換えることなく視聴者に届けられ、ある種のメッセージを確かに伝えるのだ。

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