日系品質☆妄想考/ep5;欧州の逆襲
島国の歴史、文化に基づくep4(日系品質)では、現在のグローバル市場への優位性確保は、過去の“ガラ携“同様、もはや無理がきた。そんな妄想をしました。
今回は、近頃、関わっている品質マネジメントシステムを絡めて、日系品質改善の今後を考察いたします。
随分前ですが、自動車メーカでの自動塗装に関して、プログラム入力ではなく、職人が実際にロボットを掴んで、手の動きを塗装機にコピーする話を聞きました。小生が、今の会社に入社した頃には、工場の現場にも、職人達がいました。しかし、ここ10年、社内では、見かけなくなりました。製造ラインでの自働化、機械化も進んでいます。その割りには、品質が良くなったのか?と言えば、横ばいか、悪くなった部分もあります。この10年前とは、TS16949(※1)を導入、5年後の頃です。TS16949導入準備は、黒船来襲的な印象でした。CFT(※2)なんか、既に実施している!APQPも新規製品量産化計画書がある!コアツール(※3)での不足も、GRR(MSA)だけ。TS16949なんぞ不要じゃ!そんな状況でしたが、顧客対応の為に導入実施。つまり、当時、そんな黒船は、無用の長物だったのです。しかし、水面下では、前述の島国文化の破綻が進んでおりました。
その顕在化が、TS16949改訂版となる近年のIATF16949(※4)事前準備で、ビックリ仰天!TS16949導入前よりも、不適合が多い。要求事項が増やされたからじゃない。社内では、過去に導入した活動の一部が、廃止されていたのです。そりゃ品質も劣化する訳です。職人達が消えた時期と、TS16949導入時期が重なり、システムマネジメントに移行した事で、品質維持が出来ていた事に気付けなかったのです。
職人達が消えたマイナス要素を、TS16949導入で、担保出来ていた。しかし、その後のリーマンショックでの工数削減により、品質システム実行工数が削られていた。職人達ならば、上司や、間接部門に苦言を言って、品質維持をしたかもしれず。されど、職人達は工場から消え、品質システム実施工数を削るは、マネジメントする上の方々ゆえに歯止めは利かず。
島国文化が製造ラインで機能しない今、グローバルの流れに乗り、品質システムマネジメントでの日系品質復興だ!
島国文化のライトサイド、品質ジェダイ(現場の職人)が消えた今。島国文化のダークサイドは、正に負(シス)の遺産。そんなものは、SDGsで捨ててしまおう!
さぁ今こそ、日系品質の継続的改善には、マネジメントこそが肝である!
とは言え、上は忖度に支えられた歴史、文化で、マネジメントには不案内。さぁどうしよう?!
※1; 自動車産業むけQMS(品質マネジメントシステム)規格書。ISO9001を基に、具体的な要求事項をプラスαすることで、1999年に制定された国際規格。
※2; Cross Functional Teamの略称。新製品量産化活動で、製品設計、工程設計、品質、製造などの部門担当者が集まり、部門横断的に協力、支援し品質を確保する活動。
※3; コアツールとは、APQP、FMEA、SPC、MSA、PPAPの5つの手法で、TS16949に深くかかわる要求事項で、品質確保に有効。
※4; 2016年にアップグレードされたTS16949の改良版で、改良の背景は非常に面白いのですが、ここでは割愛。
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