マーベルで振り返る僕の2024年上半期
明けましておめでとうございます。2024年はnoteで長文感想を書き始めた年だったけど、最初は備忘録程度のつもりだったのが予想以上に色々な人から「読んだよ」と言ってもらえて本当に嬉しかったです。同時に「こんな文法めちゃくちゃなひっでえ文を他人が読んでいるのか…」という怖さもあったけれど、これからも自分が楽しめる範囲でいろんな感想を書いていきたいと思います。
新年一発目なので、今回は僕にとっての2024年という年を、マーベル・コミックスの思い出と共に振り返っていきたい。「印象には残ってるけど長文書けるほどの内容がないな…」と思っていたこととかにも触れられるいい機会なので、いろんな思い出に触れられたらなと思う。
一月:アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド
一月の思い出といえば、友人と大阪旅行に行きUSJに行ったこと。最後に行ったのが2015年、キャプテン・アメリカのTシャツを着て行ったらスタッフさんが「エイジ・オブ・ウルトロンはもうみましたか?」と声をかけてきてくれたのを覚えているので、もうかなり前になる。
USJと言われてまず僕が思い浮かべる、半分象徴のようになっていたスパイダーマンが、去年で終わってしまった。そこまでテーマパークに詳しくはないけれど、日本でスパイダーマンのアトラクションに乗れるのは最後かもしれないと思うといてもいられなくなって、急いで予定を立てたのを覚えている。
前々から思っていたけど、このアトラクションはかなり変。スパイダーマンが闘う敵は宿敵シニスター・シックス…ではなく、メンバーが5人しかいない「シニスター・シンジケート」なる集団。「グリーン・ゴブリンが出てくるかな?」と思っているとホブゴブリンが出てきて「あの叫び声はヴェノムかな?」と思っているとスクリームが飛びかかってくる。多分メインの悪役ドクター・オクトパスが霞まないようにあえて微妙な敵を選んでいるんだと思うけど、やたらとマイナーなキャラをチョイスしてくる奇妙で楽しいアトラクションだった。並び列のパネルにはデアデビルやブラックキャットといったキャラの紹介文が並び、本番が始まる前から「このアトラクションは本気でコミックを再現しにきてるぞ…」とゾクゾクする。ディズニー主導の展開がほとんどMCUベースになっていく中、USJのスパイダーマンはコミックの世界観を満喫できる貴重な体験にもなっていた。
僕が遊びに行ったのは終了日の前日で、結局4時間以上並んでなんとか一回だけ乗れた。寂しいけれど最高に楽しい思い出でした。さらばスクリーム、また会う日まで。
二月:ハワイ旅行
二月は社会人として初めての長期休暇をとって、祖母とハワイ旅行に行ってました。観光地を巡ったりご飯食べたり、いろいろ楽しいことはあったけど、アメコミファンとして見逃せないのが現地のコミックショップ。オアフ島でかなり有名だという「アザー・レルムズ」にお邪魔した。
本棚にぎっしり詰まったコミックたちにテンションは上がるし、ハワイ出身でお店と親交も深いというスタン・サカイが書いた「ウサギ・ヨウジンボウ」の限定カバーや、ハワイのローカル出版社が出しているハワイ神話をモチーフにしたコミックなど、ここでしか手に入らないであろうアイテムもいっぱい買えて大満足だ。
やはりせっかくアメリカに来たなら現地のコミックファンと話してみようと思い、拙い英語で店員さんや他のお客さんに話しかけてみたけど、みんな本当にいい人で色々な話を聞くことができた。わざわざ長いリストを作って新作を漁りに来ていたおじさんが昔日本で暮らしていたことがあったり、店員さんにドニー・ケイツの作品がないか尋ねたところ「ハワイのイベントでケイツと話したことがある」と言われてひっくり返りそうになったり、規格外のエピソードやオタク度合いの規模に「これが本場か…」と戦慄していた。普段はコミックファンの知り合いと話す機会はなかなかないがゆえに、こういう機会は本当に嬉しかった。
三月:ムーンナイト #30
本来は2023年の十二月に発売したコミックだけど、僕はTPBが出るまで待って読んだのでこんな時期になってしまった。
2021年から続いていたジェド・マッケイのムーンナイトの一応の最終回。この後同じ製作陣ですぐに「ヴェンジャンス・オブ・ムーンナイト」という続編が始まるから厳密には最終回ではないんだけれど、話の内容はこれまでのムーンナイトの物語を締めくくる最高のラストだ。
月の神コンスに別れを告げ、ムーンナイトが新たな正義を追求しようとし始めるところから始まった本作。仲間も増えて街の平和に近づいていけば行くほど、ムーンナイトことマーク・スペクターの欠陥もより明確になっていく。より純粋な正義を導こうとすればするほど、それを扇動するマーク自身が純粋ではないという矛盾が浮き彫りになった。そんな物語は、最後の闘いでムーンナイトが死亡し、彼の弟子になっていた吸血鬼のリースが跡を継ぐことで結末を迎える。新たにできた仲間のことを思いながら最後の闘いに挑み、命を散らしていったマーク。彼の悲願は、自分が死んで純粋なリースがその座を継ぐことで達成されたのかもしれない。主人公の死という悲しい結末ながら、やっとマークが目指した理想が現実になったラストはあまりにも美しかった。
四月:イモータル・ソー #5
2023年より連載が始まった、アル・ユーイング作の「イモータル・ソー」をついに読み始めたのが四月。特に最初の物語のラストの回にあたる#5が素晴らしい話だった。
今度のソーの敵は「神々にとっての神」というエルダー・ゴッド。突如地球を大嵐で襲うトラノスを倒すため、様々なヒーローを連れたソーが激闘を繰り広げる。
ソーがゴッド・オブ・ストーム、嵐の神ならば、トラノスはゴッド・オブ・スーパーストーム、すなわち大嵐の神。ソーのパワーさえ大幅に圧倒してしまうトラノスの力にヒーローたちは大苦戦を強いられてしまう。そんな中ソーはあえてムジョルニアをトラノスに捕ませることで、ソーの持つ雷神のパワーをあえてトラノスに奪わせるというとんでもない作戦を決行するのだった。
まだ科学の概念がない時代、人類は嵐や雷によって命を落とし、常に自然に怯えながら生きていた。そんな時に人々を勇気づけるために生まれたのが神話だ。我々の見えないところで神々が闘っていて、その結果が嵐なのだ。嵐を司るのは心優しい神ソーで、勇敢な彼は人類を守るために闘ってくれているのだ、と。ソーの力の本質とは嵐や雷を起こすことではない。それらを鎮めることこそが、ソーが生み出された所以なのだ。
ムジョルニアを手にしたことで逆に弱体化してしまったトラノスは、不吉な予言を残しながら地球を去っていく。これから続くマイティ・ソーの冒険の始まりとして、そして「ソーの力とは何か」という本質を描き切った話として、心に深く残る1号だった。
五月:フリー・コミックブック・デイ
アメコミファンにとって見逃せないのは毎年恒例のFCBD。無料でお試し版コミックがもらえるという初心者フレンドリーなイベントでありながら、今後の重要な展開の予告という意味でオタクにとっても見逃せないイベントだ。
今年のFCBDはこれから大きく広がっていくアルティメット・ユニバースに加えて、僕が今一番楽しみにしているシリーズでもあるヴェノムの新展開や、今年ブランドを一新したX-MENなど、ワクワクするラインナップでいつも以上に楽しみにしていた。
「いよいよアルティメッツが始まるのか…」という感動や、相変わらず訳のわからない展開をして読者の予想をいい意味で裏切ってくるヴェノム、今年は例年以上に楽しめたイベントだったし、予告のその後の展開もちゃんと追いかけられたので非常に満足。
六月:アメコミビブリオバトル
昨年3回参加させてもらったアメコミビブリオバトルに初めて出会ったのが六月。詳しい感想なんかも別記事に書いてるけど、日本でアメコミファンと話せる機会に飢えていた僕にとっては最高の出会いでした。
アメコミのあるあるや好きな作家の話で盛り上がれるのは最高に楽しいし、玄人だらけの他の方の話を聞いていると「アメコミってこんなに広い世界なんだ…」と改めて思う。アメコミを読み始めてそこそこ時間が経ったけど、ここ数年で一番刺激をもらったイベントでした。また参加したいし、ちゃんと紹介するコミック決めておかなきゃな。
かなり長くなってしまったので今回は一旦ここまで、2024年下半期はイベントがかなり充実していたので早く書きたいから、近日中に続きもあげると思います。それでは2025年も楽しいアメコミライフを!