コーヒーにまつわる音楽 vol.04
Belle & Sebastian "She's Losing It"
セミが今年は僕のもとによくやってきます。日本では、セミの一生は短く、儚いイメージが強いのでなんとなく寂しさがつきまといますよね。しかし、中国ではセミは復活の象徴だそうです。今まで眠っていたものが地中から蘇ってくるイメージでしょうか。眠っていたものが呼び覚まされるイメージ、好きです。視点を変えてみるって大切。
そして、セミ。地中で幼虫のときは5〜6年過ごし、成虫になってからも環境さえ整えば1ヶ月は生きるとのこと。なぜか1週間のイメージが強いですよね。対してカブトムシは幼虫期間は1年ほどで、成虫してからは1ヶ月〜3ヶ月の寿命。もしかしたら、短く儚いのはカブトムシのほうかもしれません(笑)。
ということで、今回のコーヒーにまつわる曲は、Belle & Sebastianの"She's Losing It"です。彼らはスコットランドはグラスゴー出身。日本ではベルセバなんて呼ばれています。とにかく一曲一曲の完成度がとても高い。そして印象的なのが、彼らのアルバムの邦題。If You're Feeling Sinister は「天使のため息」、Fold Your Hands Child, You Walk Like a Peasantは「わたしのなかの悪魔」です。
僕はこの訳者はすばらしいなぁって思ってしまいます(元ロッキング・オンの山下えりかさんでしょうか)。Belle & Sebastianの世界観を崩さずに母語が違うリスナーに彼らの音楽を届けようという気持ちが感じられます。※他のアルバムには耐えがたいカタカナタイトルのものもあります。訳者が違ったり、国内版プロデュースする側のセンスが変わったのでしょうか。
彼らの音楽のメロディーだけを聴くと、ギターポップ的で可愛らしさを感じるかもしれません。でも、歌詞を読むとかなり辛辣なこと、赤裸々なことを書いていて、僕はむしろ彼らはパンクバンドに近いなぁって感じます。勝手にTelevision PersonalitiesやBilly Bragg、そしてなぜかThe Cureをイメージしてしまいます。
彼らの曲を聴き直していたら、アメリカのバンド The Innocence Missionを思い出しました。The Innocence Missionのやさしさ。そこに世にある毒を調味料として加えるとBelle & Sebastianな感じです(笑)。このShe's Losing Itが収録されたTiger Milkも素晴らしいアルバムなので聴いてみてください。
意訳するのも段々と楽しくなってきました。この曲はLisa、Chelsea、そして I の立場を想像するのが楽しい曲でした。 あ、肝心のコーヒーですが、the first cup of cofee tastes like washing upのラインで出てきます。washing upは恐らくマウスウォッシュかなぁ。マウスウォッシュのような味のコーヒー。もちろんまずいですよね(笑)。
Belle & Sebastian "She's Losing It"
Lisa knows a girl who's been abused
It changed her philosophy in '82
She's always looking for a fight
She keeps the neighbors up all night
リサはひとりの苦しめられてきた女の子を知っている
1982年にすべてが変わったんだ
彼女はいつもケンカをしていて
近隣の人も迷惑顔
I go to her when I'm feeling slack
The girl's using me as a punching bag
I think that I could help her out
But the girl's got a lot to be mad about
気分が乗らないときに彼女のところへ行っても
僕にまで火の粉が飛んでくるだけ
彼女を助けられたなら
でも彼女の怒りは収まらない
And in the first moment of her waking up
She knows she's losing it, yeah, she's losing it
When the first cup of coffee tastes like washing up
She knows she's losing it, yeah, she's losing
Yeah, she's losing it
朝に目を開けたら
彼女は大切なものを失っていることに気づくはず
はじめてのコーヒーの味が最低のとき
彼女は大切なものを失っていることに気づくはず
きっと気づくはず
Lisa met Chelsea at the knocking school
Chelsea didn't feel like following the rules
So they left the place for another school
Where the boys go with boys and the girls with girls
リサは共学のつまらない学校でチェルシーに出会った
チェルシーは校則なんて従わない
そして彼女たちは一緒に別の学校に転向したんだ
女子校にね
Chelsea was the one who's been abused
It changed her philosophy in '82
She says, "Inch for inch and pound for pound
Who needs boys when there's Lisa around?"
チェルシーは苦しめられてきた張本人だった
すべては1982年に変わってしまった
"変えられるものと変えられないものがあるのよ"と彼女は言った
リサがいるのに誰が男を必要とするっていうの?
And in the first moment of her waking up
She knows she's losing it, yeah, she's losing it
When the first cup of coffee tastes like washing up
She knows she's losing it, yeah, she's losing it
She goes to the mirror to put on her stuff
She knows she's losing it, oh yeah, she's losing it
When she doesn't speak to anyone until four o'clock
She knows she's losing it, yeah, she's losing it
Oh yeah, she's losing it
朝に目を開けたら
彼女は大切なものを失っていることに気づくはず
はじめてコーヒーの味が最低のとき
彼女は大切なものを失っていることに気づくはず
鏡を見ながら顔に化粧をするとき
彼女は大切なものを失っていることに気づくはず
朝の4時まで誰ともしゃべらないとき
彼女は大切なものを失っていることに気づくはず
きっと気づくはず