2020年屈指の覚醒アルバム! 全英初登場2位 21歳、デクラン・マッケンナの「Zeros」
どうも。
いや〜、ここ最近、こればかり聴いてます。これです!
はい。デクラン・マッケンナのセカンド・アルバム「Zeros」。今週の全英・アルバム・チャートでの1位はローリング・ストーンズの「山羊の頭のスープ」の再発盤だったんですが、わずか800枚差でこれが2位でした!
いや〜、びっくりですよ。だって、ごめんなさい。本当に全く期待していませんでしたからね。
これが2017年、デクラン君がまだ18歳のときに出たアルバムだったんですけど、これ、期待された割に正直全然物足りなかったんですよね。聞き返したんですけど、やっぱり主な理由は彼の声が幼く細すぎて、トラックもなんかお膳立てされてる感じがして自分の物にできてない感じがしたんですね。
それが
いやあ、この曲にまずびっくりしましたね。まず、歌にすごく自信を持った感じがして幼さから脱皮できてるうえに、サウンドの骨格がすごくどっしりとバンドサウンド然としてるんですよね。
中でも、耳を引くのはギター・サウンドなんですよね。しっかり、リフからうねるグルーヴで曲をかけてるのがすごくロックンロールの基本が守られてる感じでね。しかも2分台の後半からのソロもトーンとエッジがすごくあって。そこまでに到達してるわけではないけど、ジョニー・グリーンウッド意識してるかな、という感じもあり。
そしたら、これ、どうやらデクラン本人が弾いてるみたいでですね。「リフはTレックス意識した」と言ってますね。どうやらギタリストとしての才能がかなりあったようです。
Tレックスといえば、今回、彼はかなりグラムを意識したようで
これなんて曲名からしてボウイなんですけど、曲そのものもまんま1971〜73年のボウイなんですけど、この映像見たらわかると思うんですけど
この女の子が弾いてるんですよね。彼女はイザベル・トーレスといって、イギリスのセッション界ではかなり有名な人みたいですけどね。デクランのツアーにはファースト・アルバムのときから参加していて、今回のアルバムでもギターはデクランと彼の連名になっています。すごく絵になるので、ライブでは、これ、かなりのウリになると思いますよ。
この曲もすごく「スケアリー・モンスターズ」の頃のボウイみたいですけどね。影響を感じさせる中に、彼独自の間合いを感じさせたりもできていてね。この曲も後半でキメのギターソロがあるんですけど、これ
こっちだとガラッとイメージ変わってアコースティック・ヴァージョンなんですけど、彼自身の喉が本当に強くなったと感じさせる上に、後半のソロもイザベルがジャズっぽいアレンジで弾いてたりね。バンド内セッションもすごくエネルギッシュでクリエイティヴな感じがこういうところからも想像できます。
これもアート寄りグラムな感じの曲ですけど、「Life On Earth」という言葉にまたボウイファンとしてはニヤリです。
ただ、たとえば、この曲の一説に「For What It's Worth」とバッファロー・スプリングフィールドの名曲の名前を入れていたり、フォークや80sのイギリスの渋い名バンドのウォーターボーイズの引用をかなりやってたりすると言ってますね。詳しくそこまで見切ったわけではないですが、そういうところでも、単にグラム・リバイバルにならないよう、しっかり独自性出そうとしてることがうかがえます。
いや、良いと思いますよ。しっかりオマージュを捧げる対象がありつつも、そこに自分なりの消化の跡を見せて自分の成長につなげるというのは。歴代の名アーティストたちがずっとやってきたことです。それが、1998年生まれの彼にも受け継がれたというのは喜ばしいことです。
いやあ、それにしても、この夏のUKロックは覚醒組が多い。前に記事組んだクリーパーもそうだし、マジック・ギャングってバンドがあるんですけど、彼らもパワーポップからTHE1975的なソフィスティケーションを覚えてメロディに立体性が出てきて。いずれもチャートで成功を収めている(クリーパー5位にマジック・ギャングは16位)のもミソです。
また、特集すると思いますけど、この3、4カ月、イギリス、本当に息吹き返してますよ。
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