「ロックの殿堂」 2020年の殿堂入りアーティスト選考について
どうも。
「ロックの殿堂」のインダクティーズ(殿堂入りアーティスト)が1月15日に正式に発表されました。
今年は、この6アーティストでした!
はい。では、ランダムに語っていくことにしましょう。
やっぱり、デペッシュ・モードとTレックスが一番うれしかったですよ。そりゃ、やっぱりイギリス人なんで。
それは僕がイギリス人をひいきしているという意味ではありません。「ロックの殿堂」がこれまであまりにもアメリカ的視点にこだわりすぎて、イギリスのアーティストを不当に無視し続けていたからです。
だいたい、キュアーとかデペッシュ・モードって、アメリカでも人気あったし、もう世界的な基準で見たら、北欧も、東欧も、南米も、どこでも人気あるんですよ。そういう国際的なアーティストがイギリス人だからという理由で不当に無視され続けていたのは許しがたかったからですね。これは本当に「悲願」といった感じでしたね。
Tレックスの場合も、どうしてもグラムロックって、インターナショナルに成功したのボウイだけだし、70s前半のTレックスの現象的な大ブームもイギリス・ローカル(日本も人気あったけど)のイメージが強かった。
でも、後世に、いわゆるグラムメイクだけじゃなくて、トラディショナルなシンプルなロックンロールの基礎になってるところがあるんですよ、Tレックスって。「Get It On」とか「20th Century Boy」とかって、今やロックンロールの基本アンセムですからね。
あと、これはそんなに言われているわけではないんですけど、T レックスって、プリンスにも似てるんです。1曲、露骨なパクリある(「CREAM」と「Get It On」のことです)し、プリンスがロックンロールやるとき似てます。あと、あの歌い方ね。鼻声でビブラートかけた、あの感じ。ソックリなんですよ。そういうとこも評価のポイントになってればいいな。
続いては
ノトーリアスBIGとホイットニー・ヒューストンです。
ビギーは、宿命のライバルだったトゥパックがすでに殿堂入りしてるわけですから、入らないわけには行かないと思います。僕はヒップホップは「レベル・ミュージック(反抗の音楽)」として解釈しているので、大いに歓迎です。しかも、パックにせよ、ビギーにせよ、もう、死後2世代にわたって、ラッパーを志す少年少女にとっての目的となり続けているくらいに、黒人社会に生きる人達にとって切実なラップをやったでしょ?どちらかというと、トゥパックが生きていく上での希望を与えるようなところを、ビギーは今のエモ・ラップに近いような、現実の悲しみや苦悩を真正面から受けとめるタイプで、そこも好対照なんですけどね。2人して、ラッパーの影響力としては、もうトップクラスです。
いまだにね、アメリカのあからさまにメタルヘッドな野郎たちが、パックとかビギーの殿堂入りに関して「あいつらはラップでロックじゃない」とfacebookのコメント欄で書きなぐってたりする光景、いまだに見ますけど、こういうのこそ、「無意識のうちのレイシズム」であり、「自分たちがロック最高の理解者」だとばかりに、驕り高ぶった勘違いをもたらしてしまうのです。毎年必ず見つけるのでうんざりはするんですけどね。そういう輩が存在することが、ロックを前時代のものに見えさせる悪い理由を作っているとさえ思います。
ただ、そんな僕でも、ホイットニーに関しては疑問符が残ります。なぜなら、彼女の場合はロックとの接点が殆ど見えないから。ある時代までのロックというのは、ブラック・ミュージックからの影響を取り入れたものだったりもするから、その2つの関係が密接だったりもするんですけど、彼女、基本がバラッディアーで、ロックに影響を与えうるグルーヴなんて何もない(去年、殿堂入りしたジャネットにはそれがある)。彼女がロックの殿堂に入るんだったら、バーブラ・ストライザントとかシェールがこれまで外されていた理由がなくなってしまいますよ。そうなったら、もう、「ロックでも、ポップでも、細かいことはどうでもいい」となって、批評性もへったくれもなくなりますからね。
ひとつロックっぽい要素があるとしたら、それは晩年、悪い男にだまされて、ドラッグで過去の栄光を踏みにじられた悲劇性でしょうかね。あれは本当に可愛そうだし、その件でボビー・ブラウンって本当に許せないし。ただ、そのことを作品として昇華させた名作みたいなものがないのも残念ですけどね。
ナイン・インチ・ネイルズに関しては、ここ数年、毎年候補にあがっていたので時間の問題でしたけどね。インダストリアル・ロックの大衆化の代表的アーティストだし、ウッドストック94でXジェネレーションの象徴となるべき瞬間も作ったし、更に現在は時代を代表する映画音楽作家にもなっているし。その意味では文句なしに妥当かなとも思いますね。
そして
今回、ドゥービー・ブラザーズがファン投票推薦で選出されました。「ファン投票という形でなければ選びたくなかったという本音」が見え隠れしますけど(苦笑)。
ただ、このバンド、面白いのは
2つの時期で全く異なる音楽性でそれぞれ人気があったのは面白いとは思いますけどね。僕は上のトム・ジョンストンの時期より、マイケル・マクドナルドのホワイト・ソウル路線の方が圧倒的に好きなんですが。
でも、今回物議をかもしたのは
ドゥービー、ファン投票3位だったんですよ!
実はファン投票1位はデイヴ・マシューズ・バンド、2位がパット・ベネターだったんですよ。普通だったら「ファン投票で1位なら選出」じゃないですか。でも、それでも選ばれない。そんなに殿堂に入れたくないなら、選ばなきゃ良いじゃないか、と思うんですけどね。
デイヴ・マシューズの場合、ネックになるのは、あまりにも「保守的なヤッピー御用達バンドのイメージが強すぎる」、パットの場合は「オペラ、ミュージカル系のシンガーを改造してロックシンガーに仕立てた過去」を問題視してるんだと思うんですけどね。
あと、今回落選したことで話題になったアーティストとして
サウンドガーデンがあるんですが、彼らは早く入れるべきだと思います。だって、グランジってそもそも彼ら周辺からはじまったものなんだから。その事実はわすれられているようなので、然るべき機会にしっかり語りたいんですけどね。
あと、
ジューダス・プリーストもここ数年、候補になってますね。この人達の場合はロブ・ハルフォードがゲイ・アイコンになっていることを考慮してのことがあると思うし、僕もそこは共感ポイントでもあるんですけど、純粋にメタルそのものの影響力では、国際的にメタル界ではキング的人気になっているアイアン・メイデンの方が先だろ、とは思うんですけどね。
そんな感じでしょうか。僕の予想だと来年はフー・ファイターズ、再来年にはジェイZが入ると思います。
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