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2020年代前半のベストアルバム 50〜41位

どうも。

では、お約束した通り、2020年代の折り返し地点で現時点でのベスト・アルバムを僕自身の観点から発表したいと思います。

まだ、評価が定まってる時期じゃないし、多くのメディアがやりたがらないのは、そこを恐れてのことだと思います。確かに決定的なもの、見えにくくはあるんですよね。

でも、それ言ってても進まないので、僕はとっとと決めちゃいました。まず今回は50位から41位。こんな感じです!

はい。では50位から行きましょう。

50.And In The Darkness, Hearts Aglow/Weyse Blood (2022)

50位はワイズ・ブラッド。49位までは「これ、シーンに必要だな」みたいな事を優先的に考えて作ってたんですけど、最後の1枚、まだ重要なものとか残ってたんですけど、「最後の最後は僕の好み優先」で、彼女になりました。これはでも、逆に「シーン」とかを優先してたら選べないですね。独特なので。キャロル・キングとエンヤ合体させた人なんて他にいないから。孤高のカルト枠ということで。売れてほしいんですけどね。

49.Take Me Back To Eden/Sleep Token (2023)

49位はスリープ・トーケン。僕はこういうランキングを選ぶとき、会の方になってくると選んでなかったジャンルから選ぶところがあるんですけど、ラウドロックだったらこれかなと。BMTHとかゴーストでもよかったんですけど、それだと10sと変わらないし、だとしたら今、ブレイク三羽ガラス扱いされている「バッド・オーメンズ、スピリットボックス、スリープ・トーケン」の中から彼らを選びました。この界隈で昨今、批評的に人気のプログレ・メタルをエレウトロとかの要素混ぜてわかりやすく伝えてるところが独特だなと思ったので。ルックスも仮面で隠してわからないところがスターバンドの系譜ひいてるし。現在のヒット状況と流れからトップバンドになると思いますよ。

48.Hackney Diamonds/Rolling Stones (2023)

48位はローリング・ストーンズ。今回、大ベテランで不屈というか、「何歳になろうが、キャリアを代表する傑作を出すことは可能だ」と証明するアルバムが3枚あるので、それは是非入れたいと思ってました。その中にこれは当然外せません。なんてったってロックバンドの黎明期からシーン引っ張ってきたバンドが80代になってもキレッキレのロックンロールやるなんて考えられないでしょ?ペレがまだ現役でトップリーグの試合出てるようなもんですからね、それって。実際、年齢変わらないわけだし。ロックンロールっていろんな意味がありますけど、こういうライフタイム基準で見て息の長い、可能性を持った音楽になったものだと感心しますね。

47.Rat Saw God/Wednesday (2023)

47位はウェンズデー。2010年代後半からアメリカ合衆国という国からとんとインディででびゅーす若手バンドというのを聞かなくなって、「この国はロック文化、本当に大丈夫なのか?」と心配してたんですが、2023年、ついに楽しみなバンドが出てき始めました。その筆頭格がノース・キャロライナ
州から出てきたウェンズデーです。シューゲイザーとオルタナ・カントリー足したみたいとか、そういう形容をされるんですけど、もうそういうことよろも僕はモダンなヴォーカル&ギターのコンビネーションのバンドとして理解したいです。女性フロントのカーリー・ハーツマン、そして今、ギタリストとして方々に引っ張りだこ、自らヴォーカルをとるソロ作でも大成功中のMJレンダマン。かつてミック・ジャガーやキース・リチャーズ、モリッシーにジョニー・マーみたいなヴォーカルとギターのバンドの双頭の顔が男女になった。こういう存在から新しいロックの地平が広がるのを期待したいです。

46.Stick Season/Noah Kahan (2022)

46位はノア・カーン。2020年代はtik tokが生むスターが非常に重要になった時代ですけど、その代表の一人がバーモント州のこのシンガーソングライター。若い子たち、とりわけアメリカでまだちょっとバンドというものに距離感があるようなんですけど、バンド・サウンドには逆にフレンドリーになってきていて、そうしたところから選ばれたアコースティック・サウンドがこれです。2022年の秋に出たのに2023年の半ばからヒットして、英米のチャートでトップ行きだしたのが24年に入ってからという、20年代屈指のロングヒットになりました。フォークではあるんですけど、バンド・サウンドのグルーヴ感が軽快で、初期のストロークスとかキングス・オブ・レオンみたいな良さもあるんですよね。今や貴重なヘッドライナー級アーティストなので大事にしていきたいとこです。


45.Beatopia/Beabadoobee (2022)

45位はビーバドゥービー。早いペースでアルバムを出すビアですが、僕が選んだのはセカンドのビートピアですね。彼女って出てきた時のイメージが「90sオルタナ大好き少女」的なイメージで、最初の方はそっちでファンつけてた印象だったんですけど、このアルバムでもっと器用なソングライターだったことを証明しましたよね。その象徴がボサノバの「The Perfect Pair」で、そこからストリングスのバラードとか渋谷系みたいな曲とかもこなしたり。彼女がストリーミングで人気伸びたのがまさにその時期なんですよね。彼女は本来根っからのロック少女なんだけど、器用すぎる才能ゆえにそれ以上のものを求められそうな感じはするんですけど、ソングライターとしての能力はこの世代でもかなり上位。まだ25にもなってないのにね。僕はすごく楽しみです。


44.Prelude To Ecstasy/The Last Dinner Party (2024)

44位はThe Last Dinner Party。こないだの年間ベストでも5位に入れたばかりですけどね。このアルバムって、何がいいかって「ロックのヒット・アルバムとしてのスケール感」がどっしりあることなんですよね。そこが早くから新人離れしてるというか。ケイト・ブッシュとクイーンとABBAが合体した感じとか、普通ありえないでしょ?そこのところで完成されすぎた感じがして慣れない人、あるいは、最近、ロックっぽい女性シンガーは聞くようになったけどまだガールズ・バンドという形式に距離感がある人が、まだ彼女たちにクリックしてないのかなと思います。前にレビューした時も言いましたけど、この作品そのものはUKロックの今の傑作です。あとは時代そのものがいつ彼女たちと完璧にハマるか。そこだけですね。


43.Desire, I Want To Turn Into You/Caroline Polacheck (2023)

43位はキャロライン・ポラチェック。この人も20sで旬な人の一人ですけど、数ある女性アーティストの中でもインディ・ロックファンとの親和性が高いですね。それは彼女が00年代の後半、MGMTとかヴァンパイア・ウィークエンドがいたニューヨークのブルックリンのシーンでチェアーリフトのシンガーとして一部で注目されてましたからね。その後、ビヨンセに曲書いたりしてて成功した後に2019年にソロ・デビュー。そこからチャーりXCXやクリスティーン&ザ・クイーンズと組んだりするようになって名前あげてるうちにこのセカンドで評価一気に上げて。彼女の場合、エレクトロが主戦場で、そのセンスで勝負の人ではあるんですけど生演奏的なグルーヴ感
取り混ぜてくるのもすごく上手なんですよね。インディ・ファンとの親和性はそういうとこでも高い気がしてます。

42.What's Your Pleasure/Jessie Ware (2020)

42位はジェシー・ウェア。一瞬忘れられがちになるんですけど、2020年代前半って、UKクラブ・ミュージック・ディーヴァが密かに強い存在感を示した時代でもあるんですよね。カイリー・ミノーグの何度目かのブームがあったり、90sからの大ベテランのロシーン・マーフィーのブレイクもあった、うんと若くなるけどそのあとのRAYEもそうかな。、そもそものきっかけが2020年のパンデミックの頃に出たジェシーのこれですね。エイミー・ワインハウス・フォロワーみたいな形で当初はR&Bっぽい売り方で成功してたけど、だんだん飽きられてきてた中、本人が引退も覚悟で作ったら、それがシーンをこじ開けたという。UKロックにも長けたポール・エプワースがバックアップしたこのアルバム、ハウスをはじめとしたUKクラブ・ミュージックの伝統とジェシーらしいソウル・テイストがうまくケミストリーを起こした傑作ですね。ジェシーはこの後の「That! Feels Good!」も同様の充実作。もう完全にUKお代表するディーヴァです。

41.Collapsed In Sunbeams/Arlo Parks (2021)

41位はアーロ・パークス。この人も極めて20sっぽい存在ですよね。肌の色ゆえにR&B的な捉えられ方をとりわけこのデビューの時にされてはいましたけど、蓋開けてみたら「イギリスからのビリー・アイリッシュへの回答」みたいな作風で。この頃にはカーディガンズにさえ似てましたからね。彼女の場合は、本当にいろんな意味でボーダーのない子で。それはジャンル的なところからジェンダーに至るまで。そういう境界線がいい意味で全然見えない。そういうこともあってか、この頃からフィービー・ブリッジャーズとかパラモアのヘイリーみたいなタイプに可愛がられてましたけどね。彼女、この次の「My Soft Machine」ってアルバムでは、もっと大胆にロックに寄っていくんですけど、この流れも今日的というか、既存のR&Bでは自分の価値観を表現しきれないような、例えばスティヴ・レイシーとかレイチェル・チヌリリとか若いロック系の黒人アーティスト増えてきてますけど、その代表的存在にもなっていきそうな気配ですね。

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