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映画「1917」感想 手法とアイデアは立派。でも、これがオスカー大本命??

どうも。

今日、明日はオスカー絡みの映画の追い込みです。実質、これでおしまいになります。

まずはこれです!

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はい。「1917」。ゴールデン・グローブの映画ドラマ部門の作品賞と監督賞、その後も、PGA、DGAの2つのギルド・アワードを受賞して、一躍オスカー争いのトップに立っている映画です。果たして、どんな映画なのでしょうか。

さっそく、あらすじから見てみましょう。

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ときは1917年4月。第一次世界大戦で、イギリス軍の陸軍部隊デヴォンシャー第2戦隊が、いったん退散したと思われていたドイツ軍から、奇襲攻撃で狙われるという情報を、英軍の別の部隊が耳にしたところからはじまります。

ただ、困ったことに、通信回線が切れてしまったことで、第2部隊には連絡できません。

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そこで英軍のエリンモア将軍は、2人の若い兵士、ウィル・スコフィールドとトム・ブレイクの2人に、第2部隊まで伝令に行く命令を出します。第2部隊にはトムの兄もいました。

ただ、「走っていけ」と言われても、第2部隊があるのははるか遠い先。到着はいつになるか読めないくらいです。ただ、伝令をつたえないことには、第2部隊がドイツの奇襲攻撃にあって1600人の部隊が大打撃を受けてしまう。

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「殺させるわけにはいかない」。トムとウイルの2人は必死の思い出大地を駆け巡ります。しかし、その道は想像以上に厳しいもので・・・・

・・・と、このあたりまでにしておきましょう。


これはですね、

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監督のサム・メンデスのおじいさん、この方が第1次世界大戦の伝令係をやっていたとのことなんですが、それをもとにオリジナルで作った物語です。

これなんですが、ひとつ言えることはこれ

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どちらかというと、戦争映画よりサスペンス

ですね。

見ていて主眼はですね、ちゃんと伝令が無事に届けられるかにあり、そのスリルのドキドキ感と、達成感にあります。

となると、これ、「どこかで似たようなものを見たことあるな」と思ったらこれ

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「ダンケルク」みたい!

あの映画も、「戦争の悲惨さ、虚しさ」といった従来の戦争映画とは違って、「英軍が脱出して命拾いすること」を描いた映画で、そのスリルとスピード感が目立っていた映画だと、少なくとも僕は解釈していました。だからあれも、「サスペンスみたい」という意見は、公開当時よく耳にしたものです。

 ただ、「ダンケルク」見たときに思ったのは、「サスペンスとしては面白いけど、戦争ものとしてはみれないかも・・」ということでした。それはやっぱり、戦争映画に必要な、おそらくジャンル映画の中ではもっとも許されるところの「悲しい」だとか「憤り」とかの感情的な部分、これがすごく抑えられた冷静すぎるタッチだった。これが見ていてやっぱり違和感あったんですよね。

そこへ行くと、この「1917」の場合は、サスペンス的ではあるものの、戦争映画本来の、「こんなことがあってはならない!」の気持が強く喚起されるような、むごく悲しい戦闘シーンはさけられないほど出てきて、見ていてかなりエモーショナルになります。つまり、「ダンケルク」が先に示した手法的な新しさの中に、トラディショナルな戦争映画の良さもしっかり併せ持っています。このあたりで、「新しい戦争映画のあり方を示している」と、高い技術的な評価をしている向きは、いろんな情報を見聞きするに、やはり多いですね。そこの点では、僕自身もこれ、「うまい映画だな」という印象、これは否定しません。

が!

でも、オスカー、これでいいのかなあ・・。

この印象が、正直、ぬぐえないんですよねえ。

これですね、

うまいんですけど、作品にカリスマ性がないんです!


これ、たしかに作品としては「うまい」です。だけど、出てる役者さんが無名ということも手伝ってか、とにかく印象に残りづらいんです。

しかも、今回の対抗馬、これですよ。

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こういう3つの映画があって、監督、ポン・ジュノ、クエンティン・タランティーノ、マーティン・スコセッシという、映画史に名を残すことが決定的な3人の、キャリアの中でも上位に入るような作品ですよ。それらに本当に勝つようなインパクトのある映画なのか?僕にはそこのところが、大いに疑問です。

まあ、これはサム・メンデスという人の宿命なのかもしれないな、とも思うんですけどね。

もし、彼が今回のこの映画で作品賞、監督賞を受賞すれば、オスカーでは2度目ということになるんですけど、じゃあ、彼がそれを最初に成し遂げた年に公開された別の映画と比べて

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デヴィッド・フィンチャーの「ファイト・クラブ」、ポール・トーマス・アンダーソンの「マグノリア」、そしてサム・メンデスの「アメリカン・ビューティ」。オスカー圧勝したの、「アメリカン・ビューティ」でしたけど、どれが一番記憶に残ってないですか?20年前のこれらの映画の現在の人々の記憶への残り方と同じことが、ごめんなさい。今回、また起こるのではないか、という気がしてならないんですよねえ。メンデス、他の映画もそんなに強い記憶には残らないタイプじゃないですか。そこのところのカリスマ性のなさがなあ、どうしても気になるんですよねえ。











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