英米記録的ロングセラーに見る「洋楽究極の”1家に1枚”」
どうも。
今日はこういう話をしましょう。
ビルボードとか、イギリスのオフィシャル・チャートのアルバム・チャートをこの時期に見てるとですね、新作より古いアルバムのエントリーが目立つんですよ。これ、ここ近年の傾向ではあるんですけど、年始は特に目立つんです。ちょうどこの時期って、新作があまりでないので、その代わりにロングセラー続けてる旧譜があがりやすくなるんですよね。
これには前から気がついてて、今回、たまたまアルバム・チャートを隅々まで眺めてて、気がついたことがあったのでツイートしたんですね。そしたら、これが結構反応ありまして。
やはり、こういうことって普段情報で流れないから驚く人、多いんですよね。ただですね、このアークティックの「AM」、ラナ・デル・レイに限らず
英米のアルバム・チャートにロングセラーがのきなみ目立つんです!
どれくらいかといいますと、たとえば最新週の全米アルバム・チャート、200位までの中に119枚が1年(52週)以上のランクインなんですよ!実に6割がリリースされて1年以上なんですよ。毎週、あれだけたくさんのアルバムがでてるのに信じられます??それは全英チャートでも同様で、こちらもアルバム・チャートの100位以内に58枚の1年以上作が入っています。
つまり、現在の英米のアルバム・チャートは約6割が旧譜で独占されていることになります。
この傾向は特にここ数年強まっています。なぜなら、現在のアルバム・チャートは、「売り上げ」よりも「いくらストリーミングされたか」で決まるから。
昔だと、売り上げ重視だったから最近のアルバムが強かったんですけど、今のアルバム・チャートは、「世間一般にどれだけ聞かれているか」の実態調査に近いですからね。だから、「古くから習慣で聞かれているアルバムが、より一層強くなった」ということです。
そして、最近の英米のアルバム・チャート、すごいのが、もうランクイン1年以上、3年以上なんていうのは当たり前。それどころか10年以上ランクインしている作品さえ珍しくありません。
では、どんな作品がロングセラーになっているのか。まずはアメリカの上位20枚のアルバムから見てみましょう。
全米最長ランクイン・アルバム(タイトル横の数字はランクイン週数)
1.The Dark Side Of The Moon/Pink Floyd 956
2.Legend/Bob Marley & The Wailers 660
3.Greatest Hits/Journey 650
4.Metallica/Metallica 589
5.Greatest Hits/Guns N Roses 517
6.Curtain Call/Eminem 510
7.Nevermind/Nirvana 506
8.Chronicle/Creedence Clearwater Revival 505
9.Doo Wop & Hooligans/Bruno Mars 501
10.21/Adele 496
11.Greatest Hits/Johnny Mathis490
12.My Fair Lady/Soundtrack480
13.1/The Beatles 454
14.Thriller/Michael Jackson 452
15.Back In Black/AC/DC445
16.Good kid MAAD City/Kendrick Lamar 428
17.Greatest Hits/Queen 420
18.Take Care/Drake 410
19.Rumours/Fleetwood Mac 406
20.Night Vision/Imagine Dragons 406
こんな感じですね。
いわゆる「名盤」も目立つんですけど、意外と最近の作品、多いでしょ?ブルーノ・マーズ、アデル、ケンドリック、ドレイク、イマジン・ドラゴンズと入ってるわけですからね。これらの20枚はすべて400週以上、つまり、8年近くエントリーしていた作品、ということです。
多分、このデータ、見慣れてない人にとってはジャーニーやCCRが意外なんじゃないかな。彼らよりもっと知名度の大きなレジェンドならたくさんいますからね。でも、この両者のベスト盤、アメリカ、ずっとランクインしていて圏外に落ちる様子が全くありません。それくらい定番なわけです。
あと名盤でも、メタリカの「ブラック・アルバム」、ガンズ&ローゼズのグレイテスト・ヒッツ、AC/DCの「Back In Black」とHR/HMの印象も強いですね。
続いてはイギリスにいきましょう。
全米最長ランクイン・アルバム(タイトル横の数字はランクイン週数)
Gold/ABBA 976
Legend/Bob Marley & The Wailers 960
Greatest Hits/Queen 928
Rumours/Fleetwood Mac 871
Dark Side Of The Moon/Pink Floyd 539
Bat Out Of Hell/Meat Loaf 522
Number Ones/Michael Jackson 478
(What’s The Story)Morning Glory?/Oasis 471
Curtain Call/Eminem 444
+/Ed Sheeran 423
Back To Black/Amy Winehouse 406
Greatest Hits/Foo Fighters 387
Definitely Maybe/Oasis 387
Time Flies 1994-2009/Oasis 384
AM/Arctic Monkeys 383
The Sound Of Music/Soundtrack 374
The Very Best Of/Fleetwood Mac 360
The Ultimate Collection/Whitney Houston 356
Nevermind/Nirvana 350
Greatest Hits/Simon & Garfunkle 348
なんか、真ん中にオアシスが3枚、デーンと入っているところに、改めてこの国での彼らの人気ぶりを感じさせます。
あと、アークティックの「AM」、強いでしょ。実は1stもこのリストにもう少し(25位)で入るところでした。そして、イギリスでは「Back In Black」ではなく、エイミー・ワインハウスの「Back To Black」が人気です。
さらに、フー・ファイターズ、ホイットニー・ヒューストン、マイケル・ジャクソン、サイモンとガーファンクルが本国アメリカ以上の強さを見せているのも気になりますね。
イギリスは300週、つまり6年チャートインすると20位くらいにいけますが、300週超えはあと7枚あって、The Immaculate Collection/Madonna 347、Greatest Hits/Guns N Roses 345、X/Ed Sheeran 340、Bridge Over Troubled Water/Simon & Garfunkle、Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not/Arctic Monkyes 322、In The Lonely Hour/Sam Smith 318、South Pacific/Soundtrack 315の計7枚です。ガンズのベストはここでも入ったわけですね。
そして、英米ともに20位以内の最長エントリーになったアルバム、これは6枚ありました!
はい。この6枚ですね。ボブ・マーリーのベスト盤「レジェンド」、ピンク・フロイドの「狂気」、フリートウッド・マックの「噂」、ニルヴァーナの「ネヴァーマインド」、エミネムのベスト盤の「カーテン・コール」、そしてクイーン最初のベスト盤「グレイテスト・ヒッツ」。この6枚が究極の洋楽一家に一枚アルバムかな。これにガンズと、それからマイケル・ジャクソンの「スリラー」が惜しかったんですよね。
ボブ・マーリーは英米でともに2位のぶっちぎりな強さでしたね。「狂気」「噂」「ネヴァーマインド」、あとクイーンのベスト盤というのはすごくわかるんですけど、エミネムの根強さに驚きましたね。やっぱり、まだ、こと一般の音楽ファンでヒップホップだと、彼のイメージがあるのかなあ。
そしてですね。今年の、おそらく7月頃、通算1000週を達成しそうなアルバムがあります。これです!
はい。それがABBAの「Gold」。イギリスであと24週で1000週。20年がかりのヒットとなります。
それから、同じくイギリスでボブ・マーリーの「レジェンド」、アメリカでピンク・フロイドの「狂気」がずっとチャートインし続ければ、これらも1000週、年内に達成します。
すごいでしょう?19年以上ヒットしている作品が3枚も実はチャートに入ってたって。こういうことは普段語られないから気がつきにくいと思います。
あと、こういうのの面白いのは、随時追加があることです。最後に、1年後に上のトップ20に入れそうなアルバム、アメリカで400週、イギリスで300週のランクインになりそうなアルバムを紹介して締めますね。
アメリカは結構目白押しですよ。ビートルズの「アビー・ロード」が395週、トム・ベティ&ザ・ハートブレイカーズの「Greatest Hits」が391週、ラナ・デル・レイの「Born To Die」が375週、ボブ・シーガーのベスト盤が357週、ドレイクの「Nothing Was The Same」356週、トゥパックのベスト盤が355週。このあたりが一気に来そうな気がします。トム・ペティにボブ・シーガーというのがアメリカらしいですね。あと、個人的にはラナに記録を伸ばしてほしいところです。
イギリスだとビートルズの「1」が297週、アデルの「21」が291週となっています。
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