「黒人の考えるロック」もこれまで以上にシーンに意味を持つ!
どうも。
昨日のUKガールズ・バンド、反響大きくてうれしいです。
今日はこういう話をしましょう。
「黒人によるロック」、これがすごく大きな意味を持ってくるようになってきているのではないか。
このことに関して、すごく考えるようになってきています。
「黒人のロック」それ自体は脈々とあるものです。もともとロックのルーツ自体が黒人にあるわけですから、その話をしてもここでは仕方がありません。それよりも、「黒人は表向きにロックを求めない」と一般的に思われていた近年、ロックを志す黒人が急増している。こここそを語っていきたいと思います。
そのことが注目されたのは、やはりこの曲なんだと思います。
やはり、このスティーヴ・レイシーの「Bad Habit」。これが全米1位のヒットにまでなったインパクト、これが想像以上に大きかったんですよね。
これ以降にですね、特にSpotifyに顕著なんですが、ロックのプレイリストに黒人アーティストが増えたんですよ!
これ、画期的なことですよ。それ以前だったら考えにくいことです。ここ最近、Spotifyのロック系のプレイリスト、あれ毎週フィーチャリングされる
アーティストの写真を変えるんですけど、最近、黒人が目立つようになってきてるんですよね。
その象徴的存在とも言えるのが
d4vdですよね。彼がエモ・ラップみたいなところから、ゴスとかシューゲイザーの影響受けたロックの曲を書いて、それがSpotifyのグローバル・チャートで立て続けて上位に押し上げるヒットを記録した。それがさらに、ストリーミング・サービスを管理する人たちの「黒人のロック、いけるんじゃん?」の気運を上げる理由になっていると思うんですよね。
実際、そういう黒人ロックのSpotifyヒットがここのところ続いているんですよね。
イギリスのバカーであったり、アメリカのヘムロック・スプリングスみたいに、ちょっとインディ・ロック的な、それこそ数1000万ストリームのヒットを一躍記録する人たちも出てきてるんですよね。
こういう連鎖反応的な動きというのは、これまで感じた事なかったから驚いてるんですよね。
さらに
このヴァガボンというのは、ミツキの友人でもあるアフリカ移民の女性ですけど、この人も最近、ストリーム周りで注目され始めてますね。
この波はまだアメリカのインディにはあって
このハナ・ジャダグという人に至ってはサブポップですからね。しかも結構ギターロックだったりもして。
では、イギリスに行ってみましょうか。こちらの方も黒人のロック、進んでます。
こっちにおけるスティーヴ・レイシーみたいな立場の人だと
https://www.youtube.com/watch?v=nOubjLM9Cbc
マイケル・キワヌーカがサッと上がるんですけど、この国も多いです。
今、来日中のアーロ・パークスも、セカンド・アルバムと、ライブでかなりロック色を強めてますしね。最初はオルタナティヴR&Bみたいな言い方をしてる人もいましたけど、その後の彼女の人脈、フィービー・ブリッジャーズとかパラモアのヘイリーとか、クレイロとか、人脈も思い切りインディロックよりになってましたからね。
イギリスだとノーヴァ・ツインズとかボブ・ヴィランみたいに、ハードなサウンドを志向する人もいますしね。
これはアメリカにもある傾向でして
ブリンク182のトラヴィス・バーカーの後ろ盾を得ているケニー・フープラや、女の子エモ・バンドのミート・ミー@ジ・アルターあたりがその代表ですね。
こういう例を見てても、すごく黒人のロックも、インディロックからラウドまで多様化してることがわかります。
もちろん中には、ソウル・ミュージック色の強いものもあって
アメリカのバンドだけど、イギリスで受けたガブリエルズなんかはかなりソウル、ゴスペルの影響が強い、トラディショナルなブラック・ミュージックがむしろ売りですね。
あと、最近はですね、ヒップホップの側からのロックへのアプローチの例も目立ってまして
リル・ヨッティが突如サイケデリック・ロックのアルバム出したりしましたね。このパフォーマンスなんて思い切りピンク・フロイドですしね。
https://www.youtube.com/watch?v=vty_xw45KIU
イギリスのヤング・ファーザーズも、それまでのオルタナティヴ・ヒップホップのイメージから、一気にバンド色やゴスペル色を強めたアルバムになっていましたしね。この曲のパフォーマンスなんて完全にロックだし
そして新作を出したばかりのリル・ウージ・ヴァート。すごく大作の長いアルバムでいろいろやってるんですけど、その中にはブリング・ミー・ザ・ホライゾンやBABYMETAL、さらにはシステム・オブ・ア・ダウンの代表曲「Chop Suey」のカバーまでやってますからね。
ウージの場合
予てから熱烈なパラモアのファンで、パラモアの今年のニューヨークのライブにゲストで呼ばれて、目、ウルウルさせながら「俺、感無量っす!」みたいな表情させてたくらいですからね。結構、素で今回のロック化、挑んでいたと思います。
まだまだあげようと思えばたくさん事例をあげられるんですが、これだけでもすごくないですか?
思い出していたのは90年代の初め頃、リヴィング・カラーとかレニー・クラヴィッツとか、はたまたミクスチャー・ロックなんてものがあったのに、「黒人によるロック」ってビッグにならなかったんですよねえ。あの時は結局のところ「黒人らしさ」というアイデンティティのところでヒップホップにだんだん収斂されていった印象があったんですけど、今はむしろ「黒人だからといって、R&Bやヒップホップばかりを聴いているわけではない」という多様性を主張する動きのほうが強くなっているのかな、という気がします。いみじくもSZAの大ヒット作のSOSもそういう感じのアルバムでしたしね。
だからさっきも言ったように、ロック系のプレイリスト、黒人アーティスト、本当に目立ちます。SpotifyにはVanguardというオルタナティヴな黒人アーティストのプレイリストがあって、これもかなりの人数のフォロワーがいます。またApple MusicにはAntidoteという、刺激の強目のインディのプレイリストがあるんですけど、そこにも今回扱っているような黒人アーティスト、多いですよ。
その両方のプレイリストで注目されている、この曲で今日は閉めましょう。