「強いヤツをからかってこその笑い」って概念、どこかの国に消えてない?
どうも。
今日、何を書こうか迷ってたのですが、ちょっと気になる話を耳にしたので書いておきますね。
これですね。日本で話題になってるでしょ?もう、かなり腹立たしいというかですね。これ、例えば僕の知ってる人でも「アイドルで売れなくなる=ヌード写真集」的な発言を何年か前にうちわの会話でしたヤツがいて、まあ、彼には悪いけど、ちょっとその後のお付き合いは個人的にそれまで通りにならないなとその時思ったんですけど、それよりも程度としてかなり悪質なものをこんなに公の場でやるのか・・・と思って呆れましたね。
岡村氏はなんか聞いたところによると、去年も外国人差別的な行為をやって問題になってると聞いてます。根本的に人権意識、低いんだなと思いますけどね。
まあ、彼に限らず、所属の吉本も「弱いものをいじる笑い」ってことで特に松本人志が文化人路線でコメンテーターとかはじめたあたりから叩かれるようになってきていたのは僕もfacebookとかツイッター通じて知ってたし、その一方で、政治家とか権力者をネタにした笑いなんかほとんどやらない、という話も耳にはしてます。
・・・なんなんでしょうね。
それは特に、僕がここ10年、外国暮らしをしてるから余計にそうなんでしょうけど。
最近、アメリカのコメディでも主体なのって、「権力者を叩く笑い」なんですよね。この「サタディ・ナイト・ライブ」でのアレック・ボールドウィンのキツいモノマネなんて流行って数年立ちますけど
それこそSNLの最新エピソードでも、アメリカでコロナ研究の権威で引っ張りだこで有名になったファウシ博士をブラッド・ピットが演じて、トランプのコロナ理解と対策、からかいましたからね。
あと、もう、このテの「政治風刺ショー」っていうのが、もう欧米圏ではあたり前にあるんですよね。日本だと、あまり知識もないのに、お笑いタレントがコメンテーターやっては、逆に政府持ち上げたりしてるでしょ?ここで写真あげてる人がやってることは、それとは全く逆のことです。
僕の住むブラジルでだって
クソ大統領ボウソナロのパロディを体張って、命かけてやってるコメディアンがいて、すごく人気ですよ。マルセロ・アジネッチっていう人なんですけどね。ネトウト勢力強いのに、本当によくやってるなと思います。
この感覚で、むしろ当たり前なんですよ!
だいたい欧米圏だと、ミュージシャンも俳優も、そしてコメディアンも大概がリベラル、左派で、保守派の場合は大概が嫌われ役に回る、といった感じが普通になってますけど、
別に政治的じゃなくても、そもそも「笑い」って、
少数派が権力者、叩くものなんですよ
それはもう、100年前からそうで
チャップリンの映画なんて見るとわかると思うんですけど、いつも警察からかって逃げるギャグでしょ?
アメリカのクリスマス映画定番の「素晴らしきかな、人生」でも、人々に住宅を高額で売りつける悪徳銀行家が仇役でしょ。
そういうとこまで遡らなくても
80年代のティーン・ムーヴィー流行りの時でも、悪役は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のビフとか、ジョン・ヒューズの映画でも必ずと言っていいほど、クラス仕切ってるタイプのやつとか先生だったし
2000年代のコメディ・クラシックとなった「ミーン・ガールズ」でも、有名になったヴィレンは意地悪チアリーダー・タイプのレジーナ・ジョージですよ。
「最近の笑いはポリコレがキツすぎて、笑えねえ」なんて言ってる人、いますよね。でも、欧米の笑いの場合
マイノリティの笑いは、マイノリティ側からの自虐的なもので、他人種がやると顰蹙を買います
例えばユダヤ系の自虐はウディ・アレンがユダヤ人からの視点でやるから面白いし
黒人のコメディもこの「Blackish」だったり、アイス・キューブの「フライデー」とか「バーバーショップ」とかドナルド・グローバーの「アトランタ」みたいに黒人視点で黒人の生活のちょっと笑えるとこまで描くから面白いし
これなんて、もう本当に大好きなんですけど、この「ビッグ・シック」みたいに、パキスタン移民が911以降にアメリカでいかに迫害にあっているか、パキスタン家庭がいかに世間レベルで見て保守的か、など、社会、文化的な問題も知的に盛り込んだ素晴らしい笑いなんかもあるわけです。「言葉狩りでネタがない」なんて、大嘘なんですよ!
こうしたとこ、対応しないと、日本、笑いの面でも国際的に取り残されるんじゃないかなと思いますけどね。