SHINEE 「Kポップの早すぎた実力派」 苦難乗り越え、たくましくカムバック!
どうも。
今年入って実はまだ
Kポップの記事を書いていない!
去年、いっぱい書いたんですけどね。単純に巡り合わせの問題です。
今、ちまたではBTSのMTVアンプラグドがものすごく話題です。僕ももちろん見ているわけで、素晴らしい内容でしたね。そのことについても、今後、余裕があれば書くかもしれません。
が!
個人的にそれより気になることがありました。
それが
はい。SHINEEの復活です!
僕は去年からがKポップ本格的にはまったので、その前史というのは後追いでしか知りません。ただ、その短い期間でやった後追いの中で、この人たちの存在って、僕、すごく気になってたんですよね。
それは
はい。この2017年に自殺して世を去った、メイン・ヴォーカリストのジョンヒョンの存在ですね。
これ、「事件がどう」というのでは全くありません。単純に「Kポップ史上で一番うまいシンガーって誰かな」と思っていろいろ調べた結果、
ああ、この人が一番うまい!
と素直に思ったからです。
まず、Spotifyで曲聞いた時も思ったんですけど、高音の伸びと音域が、この人ちょっとすごいですね。しかも、単にテクニカル的にすごいだけじゃなくて、独特な鼻のかかり方してて、しかも声の通りがすばらしいんですよね。ここまで上手い人は、まだKポップでは聞いたことないですね。どれだけうまいかは、この動画ひとつ見るだけでもわかります。
それ、プラス、僕がSHINEEに注目するもうひとつの理由。それは
Kポップの「ハイパー・ボーイバンド化」を推し進めた先駆者
この功績、もうちょっと語られていいと思いますよ。
わかりやすくいえば、Kポップってそもそもは日本やアメリカのボーイバンドをまねてきた存在だったものが、かなり本格的なR&B、ヒップホップに音楽的にシフトして、今や欧米にさえいない存在になってしまった。そういう解釈を以前からしてるんですね。
たとえば、2000年代前半のKポップ聞くと、まだ参考にされてるのってバックストリート・ボーイズの感じなんですよね。ソングライターでいうとマックス・マーティン。彼のプロダクションがお手本にされている感じだったのに、いつのまにか、それがR&Bに本格的に変わっていった。
Kポップでそうなりはじめたのって、やっぱり2006年頃に、ヒップホップの要素を大胆にフィーチャーしたBIG BANGが出てきたことが大きかったとは思います。あきらかにあそこがゲームチェンジャーであることには変わりありません。
ただ、「それだけじゃないな」という感じは前から感じてて。その後のKポップで時折見られる、あの「誰が一番高いキーを張れるか」のバトルみたいな瞬間。あれ、誰からはじまったのかな。大昔のKポップ、あれはなかったはずだぞ・・・と思っていろいろ遡って結論が出たのが
SHINEEのデビューだったんじゃないかな、と思うんですよね。
英語で書かれたものまで含めて読んでいくと、彼らが所属のSMエンターテイメントで本格的にR&Bに舵を切った作品として、東方神起の4枚目のアルバム「MIROTIC」をあげる人が多いんですね。たしかにこれ、僕も3枚目と聴き比べた場合、えらい違いなんですよ。それこそバックストリート・ボーイズから、ソロになってだいぶたってからのジャスティン・ティンバーレイクくらい違ってて。
ただ、東方神起はこのあとお家騒動あって勢い失ってしまうじゃないですか。そのタイミングで2008年にデビューしたのがSHINEEで。
これ、今聞いてもですね
これがねえ〜。この頃の彼らの音源、改めて聞いてみるとですね
ティンバランドにファレル・ウィリアムスという、この当時のR&B最大の売れっ子プロデューサーのサウンド、真正面から取り入れてるんですよね。このエレクトロ・ファンクのベースの太さとテンポの早さは今聞いても古くなってないですね。
あの時代、これをアイドルでやってたのって、ジャスティン・ティンバーレイクくらいのものですよ。さらにいえば時期的にもリアーナの「Good Girl Gone Bad」とほとんど同じ時期で。
この先端のサウンドで、このヴォーカルなわけじゃないですか。そりゃ、びっくりしますよね。
ただ、僕があの当時評判聞かされてた、「新世代のKポップ」ってBIG BANGと2NE1ばっかりでSHINEEあげる人って僕の覚えてる限りでいなかったんですよね。なんでかな。インディ・ロック聞く人のアンテナでは、よりヒップホップ色の濃いYG系の人たちの方が入りやすかったんですかね。
僕はこれまでのSHINEEの曲だったらこれが好きですけどね。この曲って、歌い始めはティンバランドっぽいんですけど、サビになるとめちゃくちゃマイケル・ジャクソンっぽくなって。なんとなく、この当時の彼らの目指したいラインが見えるというか。ジョンヒョンがすごくマイケル憧れていたようですしね。
で、このあたり、2012〜13年あたりが、韓国で一番人気あった時期だったみたいですね。日本の展開だと、2014〜16年にオリコン1位のようですけど。不思議なのは、これだけの実力がありながら国で一番の人気になったことがなく、後輩のEXOが人気一番になったり、さらにもう2015年くらいからはBTSの天下になったりしてるんですよね。先進的だった存在の割には、なんかもったいない感じがしますけどね、今からしたら。
で、これが入ってるアルバムを最後にして、2017年のジョンヒョンの死があって。
ねえ〜。こうやってみると悲しいですよね・・・。韓国社会でのネットによるいじめ問題の根深さを改めて知ると同時に、Kポップにおけるその代償の大きさを物語ってますよね・・。
ただ、彼ら立派だったのは、これで解散しなかったことですね。2018年には
こうやって、残った四人でのアルバム出して
こうやって4人でしっかりできること示してますからね。
ただ、このすぐあとには
メンバーのうち3人、オンユ、キー、ミンホが兵役について活動を2年ほど休止せざるも得なくなって。テミンはその間にスーパーMに参加して活動続けていましたけど。
で、この兵役が終わっていよいよ
2月23日、アルバム「Don't Call Me」でカムバックとなったわけです。韓国だと新作リリース全般を「カムバ」と呼びますけど、もう、この人たちのこの4年くらいのこと考えたら、「これこそ本当のカムバ」ですよね。
戻ってから、こうしてパフォーマンスもつとめ、新曲披露してます。
このアルバム、早速僕も聞いてますけど、すごくいいです!
なにがいいかって、もう、すっかり彼らの中での新しいヴォーカルのフォーメーションができてることですね。
肝になってるのは、オンユですよね。もともと5人のときからジョンヒョンと2人でハイノート張り上げ合戦してましたけど、それだけの実力があるわけです。しっかりメイン・ヴォーカルはつとまりますよね。また、彼の場合も、単にテクニカルにうまいだけでなく、声がすごく立体的な、一回聞いたら忘れない声質なので、きわ立っってますよね。
あと、今回目立ってるの、テミンですね。この人の場合、もとがメイン・ダンサー、メイン・ヴィジュアルなのでヴォーカル、そこまで目立っていたタイプではなかったんですけど、オンユ、キーの2人の高音系シンガーとコントラストを持たせるような甘い声質のヴォーカルが曲の中でかなりフックを持たせられるようになってますね。スーパーMでも、EXOのベッキョンの合いの手うつ2番手のシンガーやってましたけど、それでだいぶ自信つけた感じですね。これまで以上に彼の声が使えるようになったのはすごく大きいと思います。
もちろんキーも、ラッパーのミンホもしっかり貢献してますけど、以前よりも「ヴォーカルをつなぐ」感じがさらにはっきり出てきてると思いますね。
あと音楽面で言うとR&Bに回帰しているのもポイント高いですね。流行り対処の必要上、フィルター・ハウスみたいなことも前はやってましたけど、正直あんまり似合ってなかったというか、彼らの声が持っている本来のパワーを生かし切ってない印象があったんですけど、それがファンキーなチューンに戻ったことで肉感性をたくましくしてますね。あと、BTSの「ダイナマイト」とかデュア・リパの「Future Nostalgia」で世界的に流行ったディスコ・リバイバル路線、1979年くらいの感じですけど、これもやっぱり、本来マイケル・ジャクソンみたいな路線が好きだった人たちですから合わないわけがないです。こういうとこも含めて、改めてのカムバックであるような気がしますね。
あと、僕的にこれ、気になるのは
Kポップにも「カリスマの遺志をつぐ」路線が生まれたんだな
ということです。
今月書いてずいぶん読まれたコラムでこういうの書いてますけど、そのKポップ版としてSHINEE加わってますね。彼らの歌の実力からして、この先、長くやっていけそうな感じもしてるので、頑張って欲しいですね。