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英米アルバム初登場2位!現在、世界一のカルト・アーティスト、メラニー・マルティネスとは何者か?

どうも。

音楽特集の連続で送る今週の当ブログ。まず、今日の特集はこれです!


はい。現在、アルバム「Portals」が世界中で大ヒット中のメラニー・マルティネス。彼女の特集です。

 いやあ〜、今作

先週、この記事でも書いたようにですね、売れるとは思ってたんですよ。それこそboygeniusよりセールスは上になるだろうとは思っていたんですよ。それが

まさか、今年の女性ソロ・アーティストの発売1週目のアメリカでの売上ポイントで1位になることまでは予想しませんでした!

 ぶっちゃけ、マイリー・サイラスやラナ・デル・レイのアルバム1週目より、メラニーのアルバムの方が売れた、というわけです。

 いやあ、ここまでの盛り上がり、アメリカでさえ予想してたとは思いませんでしたね。実際、ビルボードのおなじみのチャート予想サイトは、このアルバムが実際に稼いだポイントの半分近くしか予想できてませんでしたからね。

 これがいかにサプライズ・ヒットだったかは、こうしたことからもわかると思います。

 おそらく、これは今お読みになってる方の大半が今作で彼女を知った人ではないかと思います。ですが、メラニー、新人では全くなく、これで全米トップ10が3枚目のれっきとした人気アーティストです。

 では、なぜ今までそんなに派手に知られていなかったのか、彼女がこれまでどんな作品を出してきたのか。それを今回は紹介しようと思います。

①どうやってメラニー・マルティネスを知ったか


僕がメラニーのことを知ったのは2016年の10月くらいのことですね。この時期に、翌年にロラパルーザ・ブラジルのラインナップ発表があるんですけど、そのときに彼女の名前があってですね。そのときに、異様に盛り上がっていた人たちがすでにいたんですよ。

で、「誰かなあ」と思ってしばらく放置してたんですよ。そしたら

これ、前のブログの際、2017年2月に書いた記事なんですけど、このときにアルバム・チャートの200位まで見てみたら、彼女のファースト・アルバム「Cry Baby」がチャートイン1年半経ってもまだ200位以内に入ってたんですよ。

「ああ、だから盛り上がってたのか!」と思って調べてみたら、彼女、

アメリカの人気オーディション番組「The Voice」に2012年に出演してたんですね。このとき、まだ17歳。これで、このとき6位になってるんですけど、このときの様子をYouTubeで確認したところ、

おっ、これはすごいかも!

と思ったんですよね。上のブリトニー・スピアーズの「Toxic」の歌い方も相当特殊ですけど

これは彼女がホワイト・ストライプスの「Seven Nations Army」を歌ったときだけですけど、甘えた時の声の表情と、エモーションがこもったときの何かが憑依したかのような声のかすれと裏がえり。この歌い方、めちゃくちゃ面白いな、才能間違いなくあるな、と思ったのが最初でしたね。

 ただ、このときから髪を半分ずつ違う色にしたロリータ・ファッションだから、「変な子」と思う人はやはりいたようですね。あと、本人も言ってるように、歯並びが悪く隙っ歯だったので、それでいじめにあって、彼女自身の内向性を強めてしまい、歌と詩とファッションの世界へと向かわせたようですね。

②カルト名作になったデビュー作「Cry Baby」


そこで

その2017年当時、ロングヒットしていたデビュー作「Cry Baby」を聞きました。このアルバム、2015年8月に出て、そのときに6位まで上がってたんですよね。僕、前のブログの全米チャートのところでそれ書いてたのに、動画紹介しなかったものだから、頭に入ってなかったんですよね。情けない(苦笑)。

 そこで1年半遅れでこれ聞いたんですけど、これが割と衝撃だったんですよ!

 コンセプトがおもちゃ楽器を使い、赤ちゃん、もしくは小さな女の子の設定のままメラニーが歌うんですけど、リズムがちょうど台頭し始めたくらいのトラップっぽい感じで、歌われる歌の内容は、幼児の視点で見た荒廃した大人の世界なんですよね。

 これ、聞いて僕、「初期のエミネムみたいじゃん!」って思ったんですよね。スリム・シェイディですよ。ただ、決定的な違いは、エミネムが刺激の強い悪ガキ風にそれを表現したのに対し、メラニーの場合は、ひたすら傷つきやすい悲しい女の子の立場で人生の世知辛さを歌ってたんですよね。

この「Pitty Party」という曲は、自分の誕生パーティに人が誰もこなかったことの悲しみを歌った曲。これは1960年代のアイドル、レスリー・ゴアの「Its My Party」をサンプリングして作り変えてるんですけど、こういう古典の引用センスがラナ・デル・レイっぽくてインテリジェンスも感じたし

この「Pacify Her」は「彼女におしゃぶりをさせちゃえ」って曲なんですけど、これは自分の好きな男の子に言い寄る人気のある女の子への嫉妬の曲です。

 これはアルバム全体がほぼこういうコンセプトで構成されてて、「ポップ・ミュージックで体験する児童文学みたいで面白いな」と感心したんですよね。

それで、ロラパルーザも見たかったんですけど、見れませんでした。それは彼女の出番がウィーケンドの真裏だったからです。しかも「Starboy」出して間もない時期の。さすがにそれを逃すわけにもいかず、「また今度ね」だったわけですが

このときのメラニーのロラのライブ、すごく評判よかったんですよ。レビュー読んで「見たかったなあ」と思ったんですが、「まあ、すぐに見れるさ」と思っていたら、思ったより時間がかかったのでした。

③ややコケだったはずのセカンドも・・・


 メラニーが次に動きを見せたのは2019年になります。この年彼女は

セカンド・アルバム「K-12」を発表。この時点で、全米初登場3位までは行ってて、イギリスでもトップ10入ってるんです。

ただ、残念なことに、「Cry Baby」を上回るインパクトは出せませんでした。

ひとつは、このアルバムにアッパーなわかりやすい曲が少なかったこと。ちょっとおさえめなR&Bやレゲエの曲調が目立ちましたからね。

それから、僕はこれを有力視してるんですが、2019年といえば

ビリー・アイリッシュの大ブームですよ!僕は後からハッと気付いたんですけど、メラニーのファンのあいだでは「メラニーが先にやったタイプの音楽をビリーがやって、何倍もうれてしまった」印象がどうやらあるみたいなんですよね。

だって、ヒップホップのリズムを基調としてたダークな歌を、カラフルな髪の子が歌うわけでしょ?そりゃ、メラニーのファン、うれしくはなかっただろうとは思いますよ。先にやった彼女の方が売れなかったんだからなおさらです。


ただ、このセカンド、固定ファンを惹きつける大きな企画はあったんです。それはアルバムをコンセプトとした映画を作ること。

このアルバムは、クライ・ベイビーが少し成長して学校に通うようになるんですが、そこでの人間関係の残酷さや難しさを、子供らしい傷つきやすい繊細さで描いた物語。これがやっぱり、疎外感や心の闇、影を抱えた少女たちにはやはり刺さるわけで、ここでも彼女はカリスマになります。むしろ、ここで築いたファンとの信頼関係が今作の爆発的ブレイクスルーにつながったところはあるような気がします。

あと、

このときちょっとイメチェンして、髪型がマレットになって、眉毛剃ってます。一般的ポップさとはやはり離れていかざるをえないカルト性は相変わらずでした。

④不在気もtik tokで大人気


2020年代入ると、あまり音沙汰なくなった状態ではあったんですが、その間、彼女の人気が水面下で静かに盛り上がります。それを可能にしたのはtik tokの存在でした。

こうしてtik tok動画が彼女の場合、たくさんつくられたんですよね。

実はうちの息子と娘のtik tok経由でメラニーの曲、たくさん耳にしてたんですよ。それで今回、彼女のことが気になっていたところが実はありました。

とりわけ下の「Play Date」。これはファースト・アルバムのデラックス版の追加曲で当初そんなに人気のあった曲ではなかったんですけど、tik tokでのヒットでSpotifyで6億ストリームを記録するほどの曲になりました。

⑤「死からの再生」、最新作「Portals」での特大ブレイク


そして、2022年9月、メラニーの名前がロラパルーザ南米のラインナップで発表されました。その頃から、「ニュー・アルバムはその頃?」と期待されてたんですけど、待望のシングルは3月17日に発表されました。それが

この「Death」という曲。彼女はとうとう、人間の顔であることさえやめたと話題になりました(笑)。

それはとりわけ

ビヨークと比較されてしまうことになりました。ビヨーク・ファン、実はこの件でカンカンで、「メラニーごときがビヨーク様の真似をした」と、今、メラニー・ファンとの間で仁義なき戦いを展開してます。ひどいのになると、レビュー総合サイトのユーザー欄に乱入して酷い点付けたりね。ビヨーク・ファンって年齢層高い割におとなげないのでこっちがビックリしてしまったんですが、欧米の女性シンガーのファンダム、こういう世界でもあります。

これを新曲として僕はロラパルーザに臨んだわけですけど、出発前にSpotifyしらべたら、なんと1週間で1000万ストリーム超えてたんですよ!

 これに僕、びっくりしまして、「これはただごとじゃない!」と思ったので、注目しようと決めたんですね。

 そしてブラジルのロラパルーザでは

https://www.youtube.com/watch?v=ylc2Qw5pj8Q

ステージ上でも素顔を見せず、この格好で歌ったわけですよ。

この時のライブは、前半はファースト、セカンドの曲を順にやって、残り半分が、(この時点で)1週間後に発表されるアルバムの先行披露会だったわけですけど、このときの新曲群の印象が僕にはすごくよかったんですよ。それでアルバムへの期待値がすこぶる高まっていたわけなんです。

中でも

この「Void」はその中でも特に耳に残っていた曲でした。これがセカンド・シングルに選ばれた結果、アメリカのSpotifyで彼女自身初となるトップ10入り、7位を記録します。グローバルでも33位。見事な大ヒットです。

そして、アルバムの発売日には、アメリカでは収録曲13曲全曲、グローバルでは7曲がトップ200入りしました。

 これ、今回重要なのは、これらのメッセージがすごくポジティヴなことです。

 「Death」とつけてはいますけど、これ「Back From The Death」、つまり「死からの再生」、新しい自分についての歌なんですよね。「Void(空洞)」にしても、「この空洞から抜け出したい」という歌で。

 これ、今回のアルバムのコンセプトがですね、前作のラストにクライ・ベイビーが死んじゃうんですよ。そこからのつながりになってるんですけど、いわば幽霊の状態なんですね。それで今回、こういう風貌になってるんですけどね。これでラストが、ママの胎内に戻っていくという話。つまり、この次のアルバムでは別のキャラクターが生まれるという、前降りでもあって。メラニーの作品は、こういうコンセプチュアルなドラマ性もファンを惹きつける理由となっています。

 あと、サウンド面に関して言うと、実はロックファンが一番聴きやすい作品なんですよ。今回、かなりロック方面に振ってます。「Void」がそうだし、「Battle Of The Larynx」「Evil」もそうですね。今まであまり聞かれなかったエレキギターのリフが強調されてて。そして、そういう曲で、彼女の単独ソングライティングならびにセルフ・プロデュースになってるところも興味深いところです。

 あと、歌詞はポジティヴではあるんですけど、同時に

オリヴァー・トゥリーという、今、クラブ系で売れっ子になってる、イギリスでもこないだトップ10ヒット出してましたけど、彼との泥沼破局を赤裸々に歌ってるものもあって、女の子のファンはそこに注目してますね。geniusの歌詞検索で1位になってましたからね。「Nymphology」って曲がそれにあたるんですけど。彼がすごく女性蔑視的な発言をしたことに関して、その言葉を引用してのアンサーソングとして話題になってます。

 こういうこともあって、もう今、本当に大人気です。小耳に挟んだ話だと、カルト・アーティストの割にもう定着してるのか、来週もビルボード、トップ5以内らしいんですよね。長いヒットになりそう、そして、これからさらにファンつかんでいきそうな勢いです。

ちなみにメラニー、SNSでは激烈に強く、インスタで1400万人、tik tokで700万人フォロワーがいます!新しい音楽の波は気づかないうちにやってきてるのです。

 あと、それにしてもですね

ラナ・デル・レイ、ビリー・アイリッシュ、メラニー・マルティネス。ダークなカリスマ女子の時代ですね。なんかその昔における、ニュー・ウェイヴ少年たちにとってのジョイ・ディヴィジョン、キュアー、ザ・スミスというか、その女の子版というか。その下に現在のサッド・ガールズのムーヴメントもあって。そういう意味でも見逃せない動きでもあります。







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