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世界のチャートを席巻するハリー・スタイルズより日本で売れる洋楽って、どんなの?

どうも。

先週話した話題の続きですけど、

結局、ハリー・スタイルズの「Harry's House」、日本盤のアルバムが発売された結果、オリコンの初登場順位は35位でした。

う〜ん、たとえばこれが「フジロックのヘッドライナーのバンド」とかならまだ気にしないんですよ。「それなりに知名度あるな」くらいの数字だと思います。しかし、このアルバムって、先週も言いましたけど、日本以外のほとんどの国で全て1位なんですよね。日本だけ極端に数字悪いというのもなあ。

だって、今回のハリー、日本通をアピールしてて、タイトルが細野晴臣の「HOSONO HOUSE」に由来してるは、1曲目が「Music For A Sushi Restaurant」だし、今週には

日本の人気コンテンツである「THE FIRST TAKE」に出演して生歌を一発録りで聞かせたりもしてるんですよね。そこまでしてるのに、この数字とは。しかもワン・ダイレクション時代には全てアルバムがトップ10入りしてたのに・・・。

 で、こうしてオリコンとビルボード・ジャパン(こっちは43位でした)のチャートをにらめっこするじゃないですか。そうしたら

ん???


と思うことがでてきました。

というのは、今日本で一番売れてる洋楽はハリーじゃないから。

では、どんなアルバムやアーティストが売れてるのか。ここで見てみましょう。

一番売れてるのは「トップガン マーヴェリック」のサウンドトラックですね。これ、映画はもう世界のどこでもかなりの大ヒットです。日本でも「なつかしい!」と反応したアラ・フィフ、アラ・フォー、多かったと思うんです。1986年版のときはサントラがバカ売れして「Danger Zone」とか「Take My Breath Away」みたいな大ヒット曲が出たから、それでサントラも買わなきゃ、と思った人もいるかとは思います。

が!

今回、サントラは世界各国、どこもそんなに売れてないんです。

日本だと総合チャートのトップ5に入ってるんですけど、そういう売れ方をしてるのは他にスイスとオーストリアでトップ10に入っているだけですからね。イギリスはチャートの対象外にされてて、アメリカだと17位。ドイツやフランスでも10位台の後半です。

 欧米だと、おそらくレディ・ガガの先行シングルの受けが良くなかったのが響いてそれがぬるいチャート・アクションにつながっているのではないかとも思われるんですけど、日本はおかまいなく売れてる感じですね。

 まあ、これはまだわかるんですよ。そこまで違和感は感じません。

しかし、次にあげるものはちょっとびっくりしましたね。

オリコンでハリーの真上の34位に初登場したのが、なんとマイケル・モンローですよ。元ハノイ・ロックスの!

 これは、ちょっと唖然としましたね・・。いやあ、かっこよかったですよ、ハノイ・ロックス。80s前半の作品は僕も結構好きです。ガンズ&ローゼズに影響与えたのも事実です。

 だけど、だからといって今のハリー・スタイルズより売れるアーティストか、と言われればねえ。日本では着実にソロ作もこの10年で出せばチャートはいるヒットにはなってたようなんですけど、他の国でランクインしてる痕跡というのはないんですよね。本国のフィンランドなら、彼、リアイリティ・ショーの「The Voice」の審査員やってるので有名人ではあるんですけど、でも、せいぜい、チャートに入るほど売れる国って、そのくらいしかないんですよ。そんなアーティストが世界一売れてるアーティストに勝つというのもね。ちなみにハリー、フィンランドのチャートでも1位です。

それから

ここ数週間で20〜40位台でうろうろしていたのがマイケル・シェンカー・グループの「Universal」。これもびっくりでしたねえ。

だって、マイケル・シェンカーって、ハノイよりもさらに前ですよ!1980年とか81年に人気がピークでしたからね。日本でフライングVのギター弾くといえば象徴的存在でしたし、忘れもしません、1982年2月発表のミュージック・ライフのバンド部門の人気投票でもう少しでクイーンに勝って1位になりそうだった僅差の2位。ものすごく人気あったんですよ。

 ただ、その当時はイギリスでも人気あったものの83年くらいまで全英トップ10入ったあとはそういう人気無くなって、チャートに入るような存在ではなくなってたんですね。

 ただ、今回のこのアルバム、メタル人気の復活のプラットフォームになっていますドイツ、ここはシェンカーの出身地でもあるんですけど、13位まであがって復活してることにはなってるんですよ。日本だと20位です。

 まあ、良い言い方をすれば、「ドイツと足並み揃えて復活した」とも言えるんですけど、英語圏ではどこもチャートインしていませんから、ほとんどの人にとっては「局部的なヒット」にしか見えないのも事実です。

 しかも日本の場合、他の国がどこもチャートに入っていない状況の中、日本だけでシェンカーのアルバムが90s、00s、10sと100位以内に入り続けたんですよね。ドイツでさえチャートに復活したの、2作前のアルバムにすぎないのに。ちなみにドイツでもハリーは1位になってます。

だから、モンロー、シェンカーのこういう話聞くとどうしても思い出してしまうのが

この名作映画「スパイナル・タップ」のラストシーンでの「欧米のマーケットでつらくなっても、俺たちには日本がある」というオチを思い出すんですよねえ。これが映画の世界だけのシャレではなく、現実の世界で起こっているというか。しかもこれ、1984年の映画ですけど、それから40年近く経っても有効などころか、世界で最も売れるアーティストの日本での人気凌駕するほどまでに勢いがあるって、それって果たして健全なことなのかとは、どうしても思ってしまいますけどね。

「日本だけ特殊でなぜ悪い」みたいな人もいるとは思うんですね。ただ日ごろ、今の世界の音楽シーンをチェックして、「これこそが今、全世界で聴かれるべきだ」みたいなものを紹介している立場から言わさせてもらうと、「まあ、ダイハードに局部的に売れててもいいんだけど、他の世界の人とこ洋楽でコミュニケーションとるのが難しくなりそうな勢いでは売れないでね」とは思いますけどねえ。まあ、そうなってしまう背景には「少子高齢化」もあって若者が少なく、かつ洋楽離れしてることもあるとは思うんですけどね。

あともう1枚ありますね。

このチェインスモーカーズのアルバムですね。彼らって、EDMブームの末期の頃、2016年くらいに「Closer」が世界でもバカ売れして、翌年に出たアルバムも全世界でトップ10入って。日本でもそのデビュー作は6位もヒットと、めずらしくタイムラグのないヒットでした。

ところがEDMブームがこのあとすぐに終わり、人気も急下降。4枚目となるこのアルバム「So Far So Good」はアメリカで最高106位、イギリスはチャートインせず。チャートインした国もカナダ、オーストリア、ベルギーのみで、その中ではカナダの45位が最高なんですね。

ところが

日本ではオリコン22位のビルボード・ジャパン10位!

それどころか

100位以内に4〜5週間入り続けた!

まあ、ファンの義理堅い人情は、人気の落ちたアーティストにはありがたいんですけど、「時代の空気が変わったのが読めないファンの人たち」の勢力が、欧米での次のトレンドの流入をさえぎってしまうことは、これまでの日本でも非常に多かったんですよね。ここはレコード会社の判断にも問題あるんですよね。時代が変わったのを自覚せずにプロモーションして、「なんでそれが今頃そんなに?」という結果を出して、今、本当に売らなきゃいけないものが不調に終わる。こういうこと繰り返していたら、日本の洋楽流通、ずっと周回遅れのままですよ。

 ちょっと考えた方がいい状況だと思います。












































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