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またしてもSpotifyグローバル・チャートTop100入り!マネスキン「Honey(Are U Coming?)」の持つ意味合い
どうも。
いやあ、またしてもヒット中ですね。
マネスキンのニュー・シングル、「Honey(Are U Coming?)」が9月1日付のSpotifyグローバル・チャートで78位です。168万ストリーム、実際には187万あったらしいんですけど、換算されて入りました。
マネスキン、これで「Mamma Mia」以降に出したシングル、全てリリース初日に100万ストリーム以上なんですよね。しかも今回の曲は長いヒットになった「The Loneliest 」に近い数字でヒットが期待されてます。
いやあ、これでさらに次のアルバムに向けてホッとする展開になりましたね。アルバム「Rush!」は世界で12ヵ国で1位になったとは言え、その後の話題ができてなく、そのまま次のアルバムまでリリースがないと、勢い下がったままで次のアルバム迎えなくてはならなくなりかねなかったので少し心配してたんですけど、これでアメリカでもロック系のラジオ局が盛り上げてその界隈でヒットにでもなれば、次のアルバムに追い風になりますよ。
これ、今回の曲、僕、思うにですね。
9月からの全米ツアー対策
ズバリ、これだと思うんですよ。
マネスキン、今年はツアー年で、上半期はヨーロッパを中心に回ってました。そこでも好調で、下半期も日本、オーストラリア、南米はチケット売り切れです。ただ、、全米ツアーだけチケットの売れがそれほどでもないんですよね。会場広げて、ニューヨークはマジソン・スクエア・ガーデンでやることにもなっていて。きっかけが欲しかったんでしょう。
ツアーは21日からだったと思うんですが、その前には10日にMTVのヴィデオ・ミュージック・アワードでのパフォーマンスも決まっていて、そこに間に合うように新曲だったと思うんですけど、ツアーの合間にレコーディングして、全米ツアー前にしっかりライブ受けする曲をちゃんと仕込んでくるあたり、相当さすがです。
しかもこれ、かなりSpotifyでのプレイリスト展開が大きいんですよね。今回、一番でっかい、Today's Top Hitsには入り損ねたんですけど、ヒットものでその次くらいに大きい「Pop Up」には入ったし、ロック系のプレイリストでは最大の「Rock This」では今週のアイコンになって1曲めになっていたほか、「New Alt」「New Noise」といったロック系の人気のプレイリストで1曲目収録。かなりの押し態勢です。
マネスキンの場合、ヨーロッパの国でのストリームが多く、アメリカがそれを受けてロック系のラジオ局が後追いするのでロングヒットしやすい図式があるんですよ。実はこれは「Supermodel」の時がそうで、ほかの国が去年の5月くらいに売れてたところがアメリカで8〜9月にロック系のラジオチャートで1位になって、それでストリーム数が長いこと減らなかった。実は、ユーロヴィジョンの大ブームのあった2021年の後にこれがあったので、マネスキンの人気、あの異常ブームの後に落ちなかったんですよ。
おそらく今回、これに似たパターンで「Honey」、押す気がするんですよね。9〜10月にアメリカ滞在する際にはテレビでの例とナイトショーのパフォーマンスもやるでしょう。プロモーションに当てると思います。
でも、そこに対して、ジャストな答え出してくるのがまたマネスキンですよね。すごいと思います。今回の曲、これまで以上にライブでのクライマックス向けの、次の代表曲を作ってきたと思います。
あと、「Teatro D'ira」でやってたハードロック路線を戻してきたのもいいんじゃないかなと思います。僕が思うに世界ブレイクの契機になった「Teatro D'ira」って、マネスキンがかなり背伸びしてハードロック、アリーナロックに振り切ったアルバムで、バンドとしても異例の作品だったのかなという気がするんですよね。それを「Rush!」の際に、イタリアでのデビュー・アルバムの頃のスタイルに少し戻して「ファンキーなインディ・ロック調」にして、ハードな側面抑えてた気がするんですね。
ただ、本人たちが思っている以上にハードロックとの相性いいし、そこの部分を遠慮なく生かした感じなのは方向性としては嬉しいですね。しかもそうでありながらこれ、言うなればフランツ・フェルディナンド、あるいはアークティック・モンキーズがハードロックやったみたいな感じで、音の録り方自体はポストパンクのバンドみたいな軽さがあるんですよね。ギターのリフのメロディとスネアの重量感だけがハードロックっぽいというか。ヴィクのかなり太めの跳ねるベースラインと、途中で入るトーマスのカッティングはポストパンク調だったりしますからね。
僕が日本からのツイートで一番好きなマネスキン評は「20年前だったらインディロックと、ラウドロックで別々に鳴らされていたはずのものが同時に鳴ってる」というものでした。まさにその通りです。もっと言うならば、さらにそこにマルーン5とかマッチボックス20みたいなソウルフルなポップ・エッセンスも混ざってます。言うなれば「究極的なミレニアム・ロックの集合体」みたいなサウンドなんですよ。イタリアという、なんのシーンとも絡んでいないところから出てきたが故の折衷感覚なんだと思います。彼らの場合、それが十分オリジナルだし、それで攻めていけば良いと思います。
僕は「Rush!」に関しては、「イタリアでやってたことを国際的なモードで流し込むにはどうすればいいか」のお試しのアルバムだと思っていたので「失敗さえしなきゃ御の字」くらいの位置付けだったんですね。「そこから先をどうするか」の意味で、その次こそ大事だと思っていたのですが、その、予想以上にあまりに早かった一歩としては大成功だと思っていますよ。