ロックンロールは止まらない!ザ・ハイヴス、想像を超えた復活
どうも。
昨日の慶応高校話、思っていたより読まれてて嬉しいです。
本当はですね、この話をする予定だったんですよ。
はい。ザ・ハイヴスなんですけどね。彼らは実に11年ぶりとなるアルバム
The Death Of Randy Fitzsimmonzというアルバムを出しました。
このタイトル聞いた時に、「あっ、今回、かなり気合入ってるな」と思ったんですよね。このランディ・フィッツシモンズって何なのかというと、ハイヴスってコンセプトが、「謎の男に操られてつくられたバンド」でして、それがランディ・フィッツシモンズだったわけです。なのでですね、これまでのアルバムのジャケ写をよく見ると、影とか足が一人余計に映り続けていたんですよ。それがランディ・フィッツシモンズだったんですが、バンドの影のシンボルだったランディを殺すというのは、バンドとしてもかなり期するものがあったんじゃないかという気がしたんですね。
で、その矢先に聞いたのがこれでした。
もう、ハイヴス印のガレージ・ロックンロール復活ですよ!
「ああ、そう、それよ、それよ!」と言える、ハイヴスじゃないと書けないロックンロール、それが叩き込まれたアルバムでした。それを待っていた人、多かったと思うんですよね。
だって、これ思い出すんだもん。
2002年、この前年にストロークスとホワイト・ストライプスが口火を切ったロックンロール・リバイバル。その2強に続けとばかりにイギリスのメディアに白羽の矢が立てられたのがスウェーデンが生んだハイヴスでした。
この曲はイギリスでもアンセムとなって、アルバムの編集版「Your New Favorite Band」がトップ10入り、アメリカでもTop100に86位ながら入るヒットになりました。ロックチャートではトップ10入ってます。結構期待されてたんですよ。
今回すごいのは、新作がそれ以来の大ヒットになってるんですよね。イギリスで初登場2位。実はこれ、ハイヴス史上、イギリスでの最高位です!地元スウェーデンで19年ぶりに1位、さらにドイツでも同じく19年ぶりのトップ10となる第8位です。
これはもう、立派に復活と言って良いと思いますね。
で、当時から今に至るまでの間、何をしてたのか、というと、まあ期待されたようには行ってなかったわけですよ。
この曲の入った、2004年の「Tyrannosaurs Hives」はそれでもヒットしたんですよ。さっき言った「19年ぶり」の19年前のヒットがまさにこれでしたからね。イギリスでもアルバムは7位まで上がりましたから。
このアルバム、従来のハイヴスらしいロックンロールもたっぷり聞けるアルバムではあるんですが、同時にエレクトロのビート混ぜて実験したりもしてます。そのあたりで若干不満持つ人はいうたようなんですけど、僕は大好きなアルバムでした。
ただ、売れはしたものの、あの年にフランツ・フェルディナンドやリバティーンズみたいに売れたかといえばそうではない。さらに後からデビューしたキラーズとかキングス・オブ・レオンが商業的に一気に浮上してもいた。そんな中でハイヴス、ちょっと停滞して見えたのは確かだったんですよね。
そして2007年にこれが入った「The Black And White Album」というのが出たんですけど、これがコケたんですよ。このアルバムがですね、延期に延期を重ねた末に、いざアルバムが出る頃には押されなかったという、まあ、言うなれば、アメリカのメジャー・レーベルの会社の事情に振り回されたみたいなアルバムだったんですよね。それもあってか、なんか乗り切れなさが残る感じのアルバムになってたんですよねえ。
これでチャート実績はどこでも下がってしまいまして、イギリスでは29位まで最高位落ちました。
続いて、2011年にこの曲の入った「Lex Hives」を出すんですが、これがセールス的に散々な結果になってしまいます。最大の理由は自主レーベルでのリリースになって、プロモーションがうまくいかなかったことですね。あと、今までで一番渋いアルバムだったので、スカッとしたロックンロールがそこまで聞けなかった、というのがありました。
こういう状況でハイヴス、立場的に辛かったところなんですが、しかしちゃんと見る人は見ているものです。
はい。アークティック・モンキーズです。今やある世代以降に関しては世界で一番人気のある彼らがですね、ハイヴスを積極的にツアーのオープニング・アクトに起用したんですよ。
2014年、「AM」のツアーで南米に来た時に、僕、ハイヴス見てます。そして去年の最新作「The Car」のヨーロッパ・ツアーでもハイヴス、オープニング・アクトでした。
ハイヴスはアレックス・ターナーにとって、ストロークスと同じくらい強い影響力を持つバンドです。その一方のストロークスが2020年の「The New Abnormal」で人気が完全に復活しましたけど、ハイヴスもこうして復活しているところを見ると、アークティックのファンによる後追い再発見の効果はあったように思います。
復活するタイミングも良かったと思うんですよね。同時代に人気のあった他のバンドが調子を落としていて、そのタイミングで戻ってきた。そうした時に以前の時代なら、ちょっとコミカルでイロモノっぽく見えてたところ(彼らの場合、そこが最大のネックになっていた気もする、笑)が冷静に実力を見れるようになってちゃんと評価できる人が増えた。ここも大きかったような気もするんですよね。
あと、ロックンロールの醍醐味を伝える立ち位置のバンドが他にいなくなってきてるでしょ?もう、ラモーンズやモーターヘッドは存在しないし、ストーンズやAC/DCだって、そんなに長くやれるかどうかはわからない。となったら、もうハイヴスがそのポジションに一番近いんですよ。その意味で今後、貴重になっていくはずなんですよね。
もう次はですね、アルバムに11年もかけないで、コンスタントにツアー、アルバム出して行って、第一人者としての地位を築いていってほしいですね。それが可能なバンドだと思っているので。
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