2021年注目の音楽傾向(1)90sリバイバル
どうも。
年間ベスト・アルバムを出したついでに、2021年の音楽的傾向について語っていくことにしましょう。
でも、「21年の」というより、「21年から今後」といった方がより正しい気はしてますけどね。
まず、今回の1回目は
90sリバイバル
これについて話すことにしましょう。
90sリバイバルって、これまで「ありそうで、なかなかなかった」ものでもあります。というのは、やっぱ90sって、これ、どこの国でもそうですけど、「その後の文化の流れを決定付けた時代」ですからね。だから、当たり前すぎるからなのか、なかなか起こらなかったんですよね。
ただ、それでも、さすがに30年近く経ってくると、さすがに「起こらないことに限界」があるのか、今年になってやっと90sリバイバルを強く感じる流れが出てきたので、ちょっと紹介したいと思います。
これ、実はパターンがふたつあります。ひとつはR&Bです。
その代表格が、これ、結果的に
ジャズミン・サリヴァンのこの「Heaux Tales」というアルバムですね。
すごくダウン・テンポのゆったりしたR&Bですよね。聴いててこれ
なんか90sの半ば以降のスローなタイプのR&B思い出すんですよね。Rケリーがアイズレー・ブラザーズの影響を受け始めた頃の作品だとか、メアリーJブライジとかですね。特にメアリーってなかなか再評価ないなと思ってたから、そろそろ来るんじゃないかなとは思ってたんですけどね。
ジャズミンのこれ、たしかに今年の初め頃に出た当時、かなり話題にはなってたんですよね。ただ、彼女って、別にこれで90s回帰になったわけでなく、2000sの終わり頃からずっと90sR&Bの後継者的なイメージあったので、やってたことに時代が付いてきたイメージなんですけどね、僕にしてみたら。だから、ピッチフォークの年間ベスト・アルバム1位と聞いて、「えっ、そこまで??」と思う気持ちは正直ないではありません。
僕はむしろ
サマー・ウォーカーのこの「Still Over It」というアルバムの方により新鮮な90sリバイバルを感じますけどね。
これもなんか聴いててアリーヤとか思い出すんですけどね。サマーみたいに90s生まれでこの時代の音楽に間に合っていない人が遡って彼女なりの90sを追体験する、みたいなことの方が、より再発見的に僕には感じるんですけどね。
あと、こういう直接的な90s表現だけでなく
トラップやってる人の中でも、ドン・トリヴァーあたりにも90sテイスト感じる瞬間があったりとかですね。この人の場合、より「ヴォーカル」の比重が高くメロディックなので、余計にそう感じるのかもしれませんが
もう、間も無く出るロディ・リッチのアルバムからの先行トラックのこの「Late At Night」も、もうかなり90sR&Bにふりきっててですね。これ聴いてても「ああ。流れこっちきてるなあ」と思ったし
来年こそ待望のアルバムを出してくるだろうと思われるSZAの最新シングルもなんか90sっぽい曲なので、なおのことそう思ってるところです。
では、続いてロック行きましょう。
おそらくこれ、表向きには
突如ポップパンクに転じたマシンガン・ケリーだったり
オリヴィア・ロドリゴの大ヒットしたこれとかに感じる人も多いでしょう。
「それって2000sリバイバルなんじゃないの?」という意見もあるかと思うし、僕もそれは否定はしません。ただ、2000sのメインストリーム・ロックって、90sのオルタナと成分的に基本、同じなので90sでもいいと思ってます。
とりわけオリヴィア、アメリカだと、上記の曲以外の曲でもしっかりロック認知されてきてるんですけど
実際、ローリング・ストーンでも90sを代表するフィーメール・アイコンだったアラニス・モリセットと対談企画が行われたりもしてますしね。
あと、マシンガン・ケリーのポップパンク〜エモ路線だと
今年これもヒットしましたね。ウィロウのこの曲もかなり濃密に90sです。この曲に関しては特に90s寄りですね。微妙な翳り加減がね。
あと、秋にでたセカンド・アルバムで一気に注目度あげたスネイル・メイル。そもそもは彼女やサッカー・マミーみたいな2018年くらいに出てきたインディ・ガールズが今の流れを先んじたところがあります。ビーバドゥービーとか、今年のペイル・ウェイヴスが出した、あれはモロに初期アヴリル・オマージュなのでまさにearly2000sですけど、そういうのもここからつながってきているものでもあります。
ただ今年僕がもっとも、「あっ、これ、90s戻ってくるかも」と思わせたバンドはこの人たちなんですよね。
ターンスタイル
僕の年間ベストでも彼らの「GLOW」というアルバムを7位にしたんですけど、あのアルバムは今年のいろんな年間ベストでも軒並み上位です。
なんか聴いてて初期のフー・ファイターズとかオフスプリングとか、90sの後半のオルタナ・ラジオ局がよくかけてたタイプのバンドを思い出させるんですけど、それと同時に
ジェーンズ・アディクション思い出す瞬間もあってですね。
ヴォーカルの声質が似てるからなおさらそう感じるんだと思うんですけど、王道なメロコアとかグランジよりはちょっとひねった感じとかですね。
ジェーンズでいうと、偶然にもこれも似てるなあと思ってるのが
実はマネスキンでもあって。彼ら、サウンドはそこまで90sだとは思わないんですけど、「ハードなギター・サウンドでファンキーでグラム」っていったら、それ、ジェーンズですよね(笑)。
あと、僕の周囲から、マネスキンに関し「初期レッチリを感じる」という人もいるので、ジェーンズとレッチリ、全く同じシーンの出身なので、そこでも親和性ありますしね。
あと、この他にも90sを思わせるものって
アーロ・パークスにも90s思い出すという方がいますね。それは多分
この辺りのことを指してるんじゃないかと思うんですけどね。似てるんですよ。アーロとニーナの歌い方とか、カッティング・ギターの使い方とかね。
こんな感じでしょうか。
まあ、ビリー・アイリッシュにも「ポーティスヘッドやフィオナ・アップルを感じる」という意見はあったので、2年くらい前から90s回帰はあったのかもしれませんが、それをより強く感じたのは2021年でしたね。これ、まだ続く気がします。
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