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「応答せよ1988」 「韓国の心のふるさと」的ドラマで学ぶカルチュアル・レファレンス
どうも。
「梨泰院」「不時着」以来、Kドラマづいている毎日ですが、いったん新しいものは止めておいて、過去作でこれを見ていました。
はい。「応答せよ1988」。2015年から16年にかけて本国では放送され、日本でも2017年に見れたとのことですが、これを見ていました。理由はこないだ少し紹介した「ホスピタル・プレイリスト」のクリエイターと脚本家が、これで当てた人だったからです。
この「応答せよ」シリーズは3部作で、「97年」「94年」とこの「88年」なんですが、ツイッター検索にかけたら、とりわけ最後の88年、これがとにかく人気がありましたね。聞いた話では、これ、中国でも大ブームだったみたいなんですが、検索ではインドネシア、タイ語もかなり多いんですよね。しかも未だに毎日、かなりの量のこのドラマのツイートが行われています。
それを見て、ちょっと古典化したノリを感じたので、「みたいなあ」と思ったんですよね。で、「ホスピタル・プレイリスト」の作りが、「どうやら第2、第3シーズンを念頭に置いた作りだな」とも感じたので、そんなに慌てて今すぐ全部見る必要もないかなと思ったので、見てみることにしたんですが、
いや〜、素晴らしかった!
これ、誤解を恐れずにいうと
韓国版の「Freaks And Geeks」みたいだな、とおもったんですね。つまりは、過去のある時代に特定してスポットをあて、実在した音楽やカルチャーとともに、その時代を生きた青春群像を笑いと涙で追う感じがね。
興味深かったのは、1988年頃、ちょうどソウル・オリンピックがあった頃の韓国のカルチャーって一般に知らないじゃないですか。だから、すごく興味がありました。そして、すごく学べました!
1988年の韓国というのは、この年に軍事政権がおわり、止められていた西洋文化の影響を受けた近代化が、ここから本格的に進もうとしていた頃です。そんなこともあって、遅れてるところは思い切り遅れてるんですよ。なにせ、「スパゲッティをはじめて見た」とかガスが練炭だったりというのは、1988年当時の日本を覚えている身からしたらちょっとした衝撃です。
だいたい
主人公たちのお母さん連中の髪型がこのおばさんパーマ!「ああ、映像とかで見た昔の韓国のイメージ、たしかにこんな感じだったわ」とも思ったんですけど、これはなかなかに強烈でした(笑)。ちなみに左の人、「愛の不時着」の北朝鮮の主婦仲間のリーダー格だった、ペクサン・アワードで助演女優賞も受賞したキム・ソニョンです。
この人達は、どっちかというとトロット(演歌)を聞いてるような感じですけど、子どもたちと特に仲が悪いわけでもなく、むしろ親子の情愛が強いくらいなんですが
話は近所で幼い頃から共に育った、ヒロインのトクソンと、4人の少年たちの青春物語です。
で、彼らの設定が1971年生まれで僕の1学年下なんですよね。そうしたこともあって、同世代感が強く、「どんな音楽とか聞いてたんだろう」とすごく気になって。
そこで出てきた音楽がまず
日本でも後年、ダウンタウンが「オジャパメン」の名前でカバーした、韓国史上初のボーイバンド、ソバンチャのネタも、こうやってしっかりフィーチャーされています。30年後のKポップを考えると、「当時、これだったのに、今となっては・・・」という隔世の感が強く、かつかなり微笑ましいです。
ただ、この程度は序の口です。このドラマも、このネタは充実したサントラの中心にはならず、かなりディープな、この頃のキッズにリアルに人気があったもののオンパレードです。
かなり下調べしてないとマニアックな世界でもあるんですが、さいわい
韓国オールタイム・アルバム100みたいな資料、つかんでたんですよ!ただ、全部ハングルで書かれてあって、知るのはかなり困難でした。そのためだけにハングルの読み方覚えて、幸いにも固有名詞くらいは読めるようにはなっていたんですけど、
ここの上位に入っているようなアーティストの曲がたくさんかかってます!
たとえば
「韓国ロックのパイオニア」と呼ばれたバンドで、上のオールタイムでトップ10に2枚入ってるバンド、サヌリムは2曲がかなりの頻度でフィーチャーされています。この人達も
こうやってEXOと世代を超えた共演やってたりします。
あと
その上のオールタイムで2位になり、「韓国のビートルズ」とまで呼ばれたトゥルグッカも頻繁にかかります。この曲はまさにその最大の名盤の曲なんですが、これと
このバンドの人が後年ソロになってからの代表曲のこの曲。これがかなりドラマの盛り上げで使われます。
あと、登場キャラクターたちが大好きな人として描かれるのが、このイ・ムンセという人ですね。彼は80sの韓国で屈指のバラードシンガーで、上のオールタイムでも複数のアルバムが実際に入っているんですけど、この動画でもわかるようにかなり歌が上手い人です。
ちなみに劇中で、ヒロイン・トクソンが聞いているオールナイト・ニッポンみたいなラジオ番組があるんですけど、それのDJをやってたのがイ・ムンセだったようですね。こういうことも英語版のwikiを読んで知りました。
あと、音楽のシメは、このドラマのオープニング・テーマになったこの曲。これは、劇中でも第7話で紹介されますが、МBC、この当時、2局しかなかった放送で若い人はどうやら国営のKBSじゃなくこっちに夢中だったみたいなんですが、この局が当時年末にやってた大学生の音楽コンテスト番組で、シン・ヘチョルという人がいきなりこれで出てきて、かなりセンセーショナルだったようなんですね。これも上のオールタイムで、この曲の入ったアルバムが50位台、後に組んだNEXTというメタルバンドでトップ10に入るなど、韓国では大きかった人だったりします。
この他にも、あと数アーティストが、上のオールタイムから、この番組に曲がかかってたりします。
これ、見てですね、「日本も同じようなことすればいいじゃん。曲なら、これよりももっと豊富にザクザク出てくるのに!」と思って、ちょっと悔しい思いもしながら見てました。日本のドラマとか映画の造り手で、こういうカルチュアルレファレンスを粋に使える人材、出てこないのかな、と思いましたね。こういうの使えたら、こうやって知りたいと思って努力する人もいるから、絶対文化的に意味あると思うんですけどね。
・・と、こうして韓国のカルチャー的なことにかなり興味を抱けるところも優れているのですが、これ
ドラマ、コメディとしても素晴らしい!
このドラマ、放映当時の韓国のケーブルテレビでの視聴率記録で1位を記録(放送先は「愛の不時着」と同じTVN)してるんですけど、それも納得です。まず
トクソンが本当にいいキャラなんですよ!すごくかわいいのに本人にその意識がまったくなく、男の子達のグループでは表面上、いい意味で女として扱われず、自然と混ざっている。そして、女の子たちのあいだでも、ちょっとナードな女の子のグループにいて。性格はすごく明るく、音楽聞くとまっさきに踊り、上の姉さんとけんかしたり、情けないことがあると子供みたいな泣き方したり。その評定のひとつひとつがチャーミングで、どんなときも一生懸命で。
そんなトクソンを
幼馴染で、韓国では誰でも知ってる囲碁の天才少年でもあるテクと、もうひとりの少年ジョンファンが裏で奪い合う、というお話です。
このテクが、「この子、すっごい美形だな」とおもわせ、同時におっとりとした独特の喋り方が妙にセクシーだから、「売れそうだな」なんて思ってたら
とっくの昔に大スターでした(笑)
彼、パク・ボグムといって、今やもう美青年の代名詞的存在で、ドラマも主演で当たり前くらいの人気になってるようですね。今年後半にも、ネットフリックスでも放映されるTVNのドラマで主演、しかも「パラサイト」に出てくる女の子が相手役みたいなんですけど、これ、楽しみですよね。さらに言えば、「梨泰院」の最終回だけ出てきて、スアをハッとさせる美青年役が彼でした。
そして、テクに負けちゃうジョンファンの方がですね
なんと現実世界ではカップルになっている、というウソみたいなオチまであります(笑)。この2人とも、ドラマ後もかなり売れっ子みたいですね。
このドラマはさらに、トクソンの姉ポアと幼馴染のスオの恋愛、テクのお父さんとスオのお母さん、さっきのキム・ソニョンですが、この2人の恋愛。家族同士の思いやり、不器用なジョンファンのトクソンへの届かぬ思いで泣けて、なぜかジョンファン一家が奇人の集まりでやたらと笑えたりとか、見せ場が結構あります。
その中で
「梨泰院」のチャンガ会長チャン・デヒが、ここでは全くの別キャラクターで登場してくるところも見ものです。ここでは完全なコメディ・キャラでそのギャップに驚きますよ。
これ、20話もある上に、1話あたりがかなり長いので疲れますが、文化知る上でも作品的にも心打つものがあるのでおすすめですよ。
こ