遂にアメリカでも!インディ・ロックのチャート・アクションに復調の兆し
どうも。
今日のネタは本来なら先週やる予定だったところだったんですけど、ロシアのウクライナ侵攻で吹っ飛んでいたことです。本当はあのタイミングで、これがやりたかったのです。
いやあ、今年に入ってから
インディ・ロックに勢いでてきてますよ!
もう、ロックそのものが戻ってきてる話は、昨年からオリヴィア・ロドリゴ、マネスキン、マシンガン・ケリーの話でここでも大概やってますけどね。
あと、今週にしたって
グラス・アニマルズの「Heat Waves」、全米シングルで2位ですからね。これ、もっと騒がれていい話だと思います。これ、1位になったら本当に「ロックがこんなにロングヒットで1位になるなんて何年ぶり?」という話になりますからね。
ただ、ここ数週、本当にインディ・ロックを取り巻く動き、良かったんですよ。その例を挙げていくとですね。
まず、ミツキのアルバム「Laurel Hell」。これがかなり全世界的に初登場で大健闘しましてですね。こんな感じです。
アメリカ5位、イギリス6位、オーストラリア7位、アイルランド7位、ニュージーランド14位、ポルトガル23位、ドイツ28位、スペイン41位
ざっとこんな感じですね。もう、英語圏の国ならどこでもトップ10、非英語圏のヨーロッパの国でもそろそろ売れ始めてる、ということです。
https://www.youtube.com/watch?v=BJgIlOguc4U
その影響で彼女、今やってる全米ツアーはどこもソールドアウト。そしてついには、こうやってアメリカの大手局の深夜のトークショーのパフォーマンス・ゲストにまで呼ばれるようになりました。
ここまで出世してるのに、なぜ出世国であるはずに日本でチャートに入ってないのか、理解に苦しむんですけどね。彼女の疎外感につながらなければいいのですが。
そして、今年、いろいろなところで「2022年最高のアルバム」の誉れ高いビッグ・シーフの「Dragon New Warm Mountain I Believe In You」ですが、こちらもチャート的に大健闘です。
アメリカ31位、イギリス15位、オランダ6位、ポルトガル15位、オーストラリア19位、デンマーク22位、ドイツ24位、スペイン52位
ミツキほどではないにせよ、イギリスでトップ20、アメリカでトップ40に、何も初めて入りました。また、非英語圏のヨーロッパでもオランダの6位をはじめ、ミツキよりもチャート・アクションが良かったのも収穫ですね。これで次のタイミングでヨーロッパでビッグになる可能性が出てきました。
というかですね。ここ数枚、「現在のアメリカのインディで最高のバンド」と言われ続けた彼らがですよ、前作までアメリカで100位にすら入ったことがなかったというのは、アメリカの音楽界にとって恥でしかないですよ!
そのことは
去年の4月に書いて反響が大きかった、「USとUKのインディ・ロック、どちらが勢いがあるか」という企画。これを読み直していただけるとわかるんですけど、この時点でアメリカ、2016年を最後に、新規でアルバムのトップ40入りしたインディ・ロック・アーティスト、ゼロになってましたからね。この時点だとミツキで52位、ビッグ・シーフだと100位台ですからね。2020年に年間ベスト級のアルバムで一般層にまでアピールしたフィービー・ブリッジャーズでさえ40位台でしたからね。
まあ、どうやら、アメリカでのロック不振は井戸の底をついて、これから新しいアーティスト、次々とまた出てくると思います。
ビッグシーフもこのヒットで、アメリカのレイトナイト・ショーのパフォーマンス・ゲストになってますね。エイドリアン、またキリッと坊主になってますね。彼女のちょっと不安定っぽそうで全然そんなことないこの歌い方って、女性だと本当に珍しいというか。男でも、それこそ、トム・ヨークが操るタイプの歌い方ですよね、これ。こういうとこも含めて感心します。あと、TVパフォーマンスなのに、ギターの音の英覚醒がすごくかっこいい。やっぱレディオヘッドの理想的な後継者。こういうバンドを、フェスの小さなステージで演奏させるわけにはいきません。
この2つに加えて、アメリカではヒットしてませんが、これも逃してはならないものです。
ブラック・カントリー・ニュー・ロード、BCNRのセカンド・アルバム「Ants From Up There」。これも凄まじい反響を得たアルバムでしたけれど、これ、批評受けだけじゃなく、チャート成績も立派だったんですよ。ざっと言っておきますと
イギリス3位、オーストラリア6位、オランダ9位、ドイツ10位、イタリア74位、フランス144位
イギリス、オーストラリアだけじゃなく、今の時点からもうドイツやオランダでもトップ10入ってて、ヨーロッパで最も英語圏バンドのブレイクが難しいイタリアでもトップ100に入ってて、フランスでも入り始めている。ヨーロッパでカリスマ・バンドになる可能性大ですよ。
ただ、その矢先に
ヴォーカリストのアイザック・ウッド脱退ですよ。もう、これはがっくりきましたね。せっかく、ここからシーンの頂点に立てるようなアルバムを作った矢先だったというのに。
彼らの場合、ソングライティングの中心が誰なのか、今一つ見えにくいところがあって、アイザックの脱退がどれくらいの影響になるのか測りかねるところがあるのでなんとも言えないのですが、もし、違うヴォーカリストでなんとかなるもののようでしたら期待したいし、もちろんその後のアイザックの動向にも注目したいと思います。
このような感じで、ロックの動き。今年幸先いいんですよね。