映画「リトル・マーメイド」感想 2023年版、長い目で見て作って意義のありそうなこと
どうも。
今日は映画レビューいきましょう。これです!
「リトル・マーメイド」。定番ディズニー映画の実写リメイクですが、今回はヒロインのアリエルが黒人であることが話題になっていましたよね。これの感想をいきたいと思います。
よく知られた話ではあると思うので、今回はあえてあらすじの話をせずに、思ったことだけを書こうかと思います。
まず、今回のヴァージョンを見て、率直に思ったのが
すごく普通な映画
と言うことでしたね。
ディズニーの映画の中の一環として、とびきり優れてるとか、後世に残る名作だとか、そういうことを思ったわけではありません。むしろ丹念に「ディズニー映画として、ものすごく標準的な話を作ろうとしているな」と言う印象でした。
でも、
それこそがむしろ大事な映画なのかな。
そう思いましたね。
この映画、もう、王道なくらい「ディズニーらしい映画」なんですよね。
それはこの
ディズニーの実写映画での初の黒人ヒロインを迎えたことで、より一層、「いつも通り」を強調したのかな、との印象を受けました。この曲のアレンジにしても、昔ながらのブロードウェイ調に、いかにもなディズニーの綺麗な歌い方でしょ。
これ、アプローチ変えようと思えば変えれたんですよ。なぜなら
ハリー、もともとはR&Bデュオ、クロイー&ハリーの片割れですからね。この曲のアレンジをR&Bとかヒップホップ調なんてこともやろうと思えばできないわけではなかったんです。でも、やらなかった。
なぜか。それは
黒人っぽさを外見以外のことでアピールしてしまえば、「ああ、やっぱり黒人はこういう感じにしないと配役できないな」という印象を与えてしまいかねないからです。
そうではなく、他の白人、いやそれがラテン系でもアジア系でもいいと思うんですけど、他のどの人種であろうと、ディズニーらしい役が演じられる、そのことをアピールする必要があったと思うんですよね。
その意味でハリー、僕はすごく合格だったと思うんですよね。もともと彼女、クロイー&ハリーの頃からすごくチャーミングで可愛いなあと思ってたんですけど、この役もハマってたと思うんですよね。これまでのディズニー・プリンセスで思い浮かばれがちな「真っ白な肌に大きな目」という美的基準と違うというだけで。それに、ディズニーのヒロイン・キャラに求められるのって、清純っぽさとか、上品さとか、言動の爽やかさとか、そういうものも必要なわけでしょ。その点において、ハリーは基準をみんなクリアしてたんじゃないかと思います。
あと、ヒロインが黒人だからといって、必要以上にストーリーを人種問題だったり今日的な社会問題とか混ぜる必要も僕はなかったと思ってます。そうすることによって、見る側に必要以上に人種問題を意識させてしまうことでかえって「やはり白人でないと、こんなに違和感出るんだ」と思わせることにもなってしまう。それよりは、さっきも言ったように「いつもながらのディズニーの王道に、これまで機会のなかった人種の人を違和感なくフィットさせる」、こここそが重要だったんじゃないかな、という気がしてます。
ただ、これを一緒に見に行っていた、7歳のうちの娘がすごく興味ふかいことを言っていました。彼女、正直な話、あまり乗れなかったみたいなんですよね。その理由として、アリエルが、ちょっと違うと思った、と言ってるんですよね。
これを聞いてですね、ディズニー側が実のところ、一番気にしてたポイントこそ、ここだったのではないかな、と思ったんですよね。ぶっちゃけ、トレイラー流してこれまで何を言われようと、そこまで気にしてなかったんじゃないかな、と思ったんですよね。ディズニーとして気になるのは、やはり見る一番のメインとなる、小学生や幼稚園の女の子たち、彼女たちがどういう風に受け止めるか、だったんじゃないかと思うんですよね。だって、「お姫様」に対しての美的感覚を学ぶの、その年代ですからね。その大切な時期に、これまであまりにプリンセスのイメージを白人に結びつけ過ぎていた。だからそこに、「黒人のアリエル」を突然加えることは彼女たちのこれまでの学習的な感覚からしたら違和感あったと思うんですよね。
でも、いいんですよ。ここからその偏った美的感覚を修正していければ。大人たちと違って、子供は「そういうものなのか」と一旦納得すれば順応できますからね。その意味で今回の「リトル・マーメイド」はそのための第一歩だったのではないかと僕は思いましたね。
そして今回のこの実写版を機に
1989年の、このオリジナル・アニメの方も見てみました。ディズニー・プラスで配信されてるのでね。
で、これ、見てみたんですけど
オリジナル、かなり雑な映画だったんだな
と思ってしまいました。
なんかですね、絵柄そのものも雑な感じだし、それ以上にテンポと脚本ですね。オリジナル、尺が1時間30分ない、かなり短い映画なんですけど、テンポと歌と小気味よいジョークをあまりに優先しすぎているがためか、会話が淡白で、話がロジックに進んでいる感じがほとんどしないんですよね。
アリエルがなぜ地上の人間の世界に惹かれるのか、アリエルの父であるトリトン王がなぜにアリエルの地上息を反対するのか。オリジナルだと、そういうとこがすごく淡白なんですよね。
それが今回だと
名優ハビエル・バルデムがわかりやすく演じています。ハビエル、この少し前にはワニと踊るおじさんの役やってましたけど、急にキッズ・アピールの人になってて、その違和感でも笑えます(笑)。
ハビエルとハリーの絡みを濃く、強固なものとしているがために、この話そもそもの父と娘の絆がすごく強調された作りになってたんですよね。その点で言えばオリジナルより断然上です。
それから
海の魔女ウルスラ役を、もう見た目のイメージ通りにメリッサ・マッカーシーが「ほぼ、これが求められてた!」と言える完璧な演技やってましたね。アニメでのえらくあっさりしたウルスラより、しっかり怖さも表現できていたのでさすがでしたね。
あと、蟹のセバスチャン、鳥のスクッティーが、実写だけど、無理に本物の動物に見せてなかったのも好感持てました。ここ最近のディズニーの実写路線って「ライオン・キング」も「ジャングル・ブック」もそうだったんですけど、無理に本物の動物を使ってる感じを出したいのか無表情な動物の顔のままで演技させてしまって、なんか剥製見てるみたいですごく気持ち悪かったんですよね。今回は、そういう声が聞こえてきてたのか、無理に動物の生々しさを出そうとせず、違和感を出さないように丁寧に作っていましたね。
その意味では今回の映画
すごく丁寧に作り直してもいたんだな。
とも思えて、そこも印象をあげたポイントでもありました。とりあえずは、製作して正解だったと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?