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映画「ナイブス・アウト/名探偵と刃の館の秘密」感想 スター・ウォーズep8の汚名返上!ライアン・ジョンソンによる上質ファミリー・ミステリー

どうも。

今日も昨日に引き続いて、映画レヴュー行きましょう。これです!

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この「ナイブス・アウト」という映画。興行的にもヒットしましたし、現在、オスカーレースにも参戦。何部門かはノミネートされそうですけど、作品賞が現在、当落線上にある作品でもあります。どんな作品なのでしょうか。

早速あらすじから見てみましょう。

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ストーリーは、人気推理作家ハーラン・ソーンビー(クリストファー・プラマー)が急死するところからはじまります。彼の巨大な屋敷に住む子どもたちは「自殺」と判断して物事を先に進めようとしますが、

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ちょっと、とぼけてそうで、実は鋭い推理眼の持ち主、ベノイト・ブランク探偵(ダニエル・クレイグ)はそう見ていません。

この件で怪しいと目されたのは家族みんなで

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父の著書の出版管理をする長男のウォルター(マイケル・シャノン)。

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ライフスタイル系の実業家、ハーランのなき息子の未亡人ジョニ(トニ・コレット)。彼女には娘メガン(キャサリン・ラングフォード)がいます。

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そして、不動産ビジネスの大物でもあるハーランの長女リンダ(ジェイミー・リー・カーティス)。彼女には夫のリチャード、さらに

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放蕩息子のヒュー(クリス・エヴァンス)が’いました。共通して言えるのは、全員が腹黒そうということです。

しかし、ハーランの死に関する事実は

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この家に仕えている給仕、南米出身の若い女性マルタ(アナ・デ・アルマス)が全て知っていました。話の前半は彼女のモノローグが大半です。

マルタによると、彼女は、家族の誰にも心を開かなくなっていたハーランの唯一の友人になっていました。しかし、ある夜、思わぬハプニングが・・・・。

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家族がみな、自分の心配をする中、ひとり、バカ息子のはずのヒューだけがマルタに近づき真相を問いただそうとしますが・・・。

・・・と、ここまでにしておきましょう。

これはですね。

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「スター・ウォーズ」の「最後のジェダイ」の監督を努めて、コア・ファンからかなりの批判を浴びたことで有名になってしまったライアン・ジョンソンの新作なんですけど

この人、才能、間違いなくありますよ!

もともと、彼、ジョセフ・ゴードン・レヴィットの出世作となった「ブリック」とか、ブルース・ウィリス主演の「ルーパー」とか、ミステリーの名手として知られていた人です。これまではクライム系だったり、SFまじえたものだったりしたんですけど、

今回はSF的な要素は一切使わず、超王道のヒッチコック・スタイルのミステリーを、ユーモアを交え作っています。

脚本を手がけているのも彼自身です。

そういうものを見るのって、今や劇場ではなかなかみられなくなってるだけに、かなり貴重だと思いましたね。

これ、何が良いって

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実は話自体が、頭から終始ネタバレしながら進んでいるのが新鮮でしたね。「あれ、なんで最初にすべてを明かしながら進んでいくんだろう?」と、これでまず、狐につままれたような気分になります。しかし、それこそがこの映画の最大の強みです。その目的の合点が行ったときのスカッとした爽快感がいいんです。

そして、これ、ストーリーだけではありません。集められた、錚々たる実力派の役者たちもそれぞれにみんないい味出してます。

中でも

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これのダニエル・クレイグがいいんです!

僕、個人的にはこれ、ジェイムス・ボンドやってるときより、むしろいいくらい。なんか、すっとぼけて、ジョークもかなり言ったりするんですけど、いい感じの脱力っぽさ。そういうのをむしろボンドのどきにもうちょっと出してほしいと思えるくらいにいい。映画祭によっては主演男優にノミネートされてもいますけど、これ、配給先、もう少しシリアスに考えて、オスカーで推すこと、考えても良かったような気がしてます。

ただ、それ以上に

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この実質上の主役、アナ・デ・アルマスがいいんです!彼女といえば

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彼女は「ブレードランナー2049」でのジョイ役で有名になった人ですけど、あの映画ではどちらかというと演技よりセックス・アピールで評価されてたフシがあったんですけど、今回のこの映画で、かなり演技上手い人なのが証明されましたね。実際、ゴールデン・グローブのコメディ部門では主演女優でノミネートされていましたけど。彼女、その美しい瞳に訴えかけるものがあるし、スペインの人なのに英語も全然問題なくしゃべれてるし、演技の表情もすごく豊かです。本作の成功で、今後、ハリウッドのAクラス扱いになるんじゃないかな。すごく人気出そうな気がしてます。

それプラス

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クリス・エヴァンスもいいですよ。彼、どうも「キャプテン・アメリカ」以外での役が世間にあまり浸透していない印象があるんですけど、今回のこの、もっともミステリアスな役柄もうまくこなしています。「役者としての器用さ」ということでいえば、同じマーヴェルでクリスでも、クリス・ヘムズワースが早くからコミカルな演技でアピールしてたりしますけど、こちらのクリスもなかなかいいですよ。そういう意味では「キャプテン後」をアピールできていたように思います。

この「ナイブス・アウト」ですが、これ、配給先がもっとプッシュしてたら、もう少しオスカーでシリアスに見られたはずなんですけどね。どうやら、それの取り掛かりが遅れたらしく、オスカーでは少しのノミネートで終わりそうですが、もっと劇場で見たいタイプの、良質な中規模予算映画ということでも、もっと価値をありがたがるべき映画です。すごく、本来の映画らしい映画。

ヴィジュアル・エフェクトを使わないで、ストーリー・テリングと役者の演技だけで十分に見応えある作品を作る。昔なら、これが当たり前だったものですが、それが当たり前じゃなくなりつつある時代に、意味のある映画だと僕は思いますね。


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