見出し画像

映画「西部戦線異状なし(2022)」感想〜92年前の戦争映画の名作オリジナルと比較して

どうも。

このところ、映画、ドラマ、見てますけど、その中からレビュー行きましょう。今日はこれです!

ネットフリックスで話題ですね。ドイツ映画「西部戦線異常なし」。これを行きましょう。

 この映画、すごく評判のいい映画で、次のオスカーん国際長編映画賞のドイツ代表で、現在、12作品までに絞られた候補にも残ってます。下馬評から考えて、最終的な5作品のノミネートにも残るでしょうね。

 ただ、この映画、リメイクでもありまして

かつて、ハリウッドで映画化されてまして、そのときにオスカーの作品賞をとっています。それが1931年のこと。映画の公開が1930年。92年も前の、すごく古い映画なんですよね。

 今回、このオリジナル映画との比較で語っていきますが、まずは今回の映画の概要を語ることにしましょう。


 舞台は1918年のドイツ。主人公ポールは、第一次世界大戦の最中、学校の先生から戦意高揚を散々煽られ、「戦争に参加することこそ、父親の誇り」と熱狂的に信じ、友人たちと喜び勇んで軍に志願します。

ただ、いざ戦場に赴いてみると現実は甘いものではありません。そこで繰り広げられるのは

泣き声をあげて逃げ出したくなるような過酷な現実でした。周囲では、自分の友人を含む同僚の軍人たちが次々と死体となっていき、、自分にもいつその瞬間が訪れるかわからない。

こうした現実の連続に、ポールは次第に戦場で喜んでいるどころでなく、むなしいまま麻痺していき・・・。

・・・という感じです。


これ、オリジナルはどうかというと

基本ラインは全く同じです。凄まじい戦場で愛するものたちを失って行き、戦争自体に強い疑問が生まれながらも、命令に従わざるをえないまま麻痺していくポールが描かれます。

2022年のヴァージョンがオリジナルと異なるのは

わかりやすく伝えられるものがなくて恐縮なのですが、やはり技術力ですよね。戦闘シーンの凄まじさ、多角的になった撮影、そして効果音。これがことごとく現在仕様にパワーアップされてて怖いんです。特に音。すごくけたたたましくデカくて、これが戦場のリアリティと恐怖心をあおるんですよね。

あと、カメラワークが、真上からのショットを横向きに見せることで、戦士遺体の見せ方がより残酷なんですよね。このあたりはうまいと思いました。

あと、映画のカラー全体に薄いブルーがかかってるんですけど、これも不穏な空気を漂わせていて効果的でしたね。

あと

オリジナルでは描かれなかった、政治家や軍の高官たちの交渉シーンなどが出てきて、ドイツの戦局がどうだったかも伝えてるんですよね。これ、原作小説があって僕は読んだことないんですけど、こっちにはあるのかな?このあたりも、戦争そのものが多角的に見えていいとは思います。

 こういう風に説明すると、この映画、オリジナルよりだいぶ改良されたように聞こえると思います。

が!

申し訳ないけど、僕は1930年版の方が感動したんですよねえ・・・。


これがなぜかといいますと

①戦闘シーンは1930年代当時として破格だった

 大学生の時に見て感動して、今回、30年ぶりくらいに見返したんですけど、感動超えて衝撃受けたんですよね。これ、1930年の映画にして、その後の戦争映画の迫力に全く負けてない壮絶なバトルなんですよ。

 すごいですよ。あの当時のハリウッド、そんなに技術あったわけじゃないのに。だって、1930年って言ったら「キングコング」とか「オズの魔法使い」より前ですよ!この2作も、ロウテクな中での創意工夫が今もすごいとされている作品ですけど、それよりも前の技術でのちの戦争映画に負けないリアリティとスケール感って、そうとうすごいですよ。そこがまず、すごい衝撃だったんですね、見返して。

②テーマ性がより絞れている

あと、戦局がどうだったか、当時よりも戦闘シーンをアップグレードされたものを見せられてもどこかグッと来づらかったのは、ちょっと見せ方にブレを感じたからだと思います。

オリジナルの方がですね、より「戦地で戦争に幻滅するポール」と、戦場での日常にフォーカスしていて、見る人の意識により直接的に訴えるんですよね。

個人的には、ポールが学校に戻ってきて、学生たちに戦争の厳しい現実を語って、戦争を賛美する以前の自分達のような学生から非難を受けるシーン、これが削られていたのが残念でしたね。ちょっと説明的に付け加えすぎたと思う人もいるとは思うんですけど、これがあったからこの戦争映画のテーマ性がより強まってたと僕は思うんですけどねえ。

③ラストシーンの変更は残念

あと、このオリジナルは、このラストシーンがゆえにかなり有名になっているんですけど、この名シーン、どうして変えてしまったのか。これが与える芸術的なまでのインパクト。これこそがこの映画の肝の一つでもあったのに。ラストに関しては2022年版は印象に残らないもので終わってしまっていましたね・・・。


・・・という感じです。いずれにせよ、両方とも、今の世の中に見るのはすごく意義のあることだと思うので、見ることをオススメします。








いいなと思ったら応援しよう!