シャブージーの全米シングル15週1位に実感が湧いてこない理由
どうも。
今日はこういう話をしましょう。
このシャブージーの「A Bar Song (Tipsy)」。これ、毎週紹介してますビルボードのシングル・チャートだと記録級の15週1位となっています。さすがにそこまで長い1位だと、その年に一番流行った曲、ということにもなるのです
が!
どうしても、その実感がわかない!
そういう話をしたいと思います。
このシャブージーという人、黒人のカントリーシンガーで、ビヨンセが今年3月に出したアルバム「Cowboy Carter」に参加したことで注目されました。
そのこと自体はいいと思うんですよ。黒人のカントリー・シンガーが未曾有の成功を収めた。それはそれで意味あるし、実際、ビヨンセ本人よりもかなり意味があったと思います。Cowboy Carterってアルバム・チャートではかなり前に100位圏外に落ちてる一方で、この曲はまだ流行ってるわけなんですから。
ただ、僕、生活しててですね、この曲が耳に入ってくることがほとんどないんですよ。うちは子供が12歳と8歳なので、流行りの曲というのが彼ら経由で耳に飛び込んでくるものなんですけど、一回も彼らが見てるYouTubeとかtik tokで聞いたことないですからね。
で、その原因がわかったので、ここで言っておきましょう。その理由は
ストリーミング数!
これが実はそんなに多くないんですよね。
そのことは確かなんです。この曲、ビルボードで15週めの1位の週の10月23日付のSpotifyのアメリカのデイリー・チャートで14位です。
この時点で「あれ?」って思いません?これがグローバル・チャートなら27位なんですよ!
だから、おかしいと思うんですよね。僕は普段、Spotifyのチャートを毎日見て、ヒットを実感してますから。その状況でビルボードの話を聞くといつも違和感しかないんですよね。
単純にストリーム数を比較してみましょう。
まず、シャブージーの曲の最新の累積ストリーム数が8億4506万8408であることを記憶しておいてください。
実は
今年のもう1曲のビッグヒット、サブリナ・カーペンターの「Espresso」、これがシャブージーの曲と同じく4月12日にリリースされてるんですけど、最新の累積ストリーム数、14億7600万5373なんですよ。なんと、シャブージーのほぼ倍近くあるんですよ!
この時点で、シャブージーを今年1番のヒットと認定することが結構難しいと思うんですけど、上回ってるのはこの曲だけじゃないです。
この2曲の1週間前の4月5日に出たチャペル・ローンの「Good Luck Babe!」、これも8億5300万5322。これもシャブージーより1000万くらい多いんです。
それだけではありません。
5月4日に出たケンドリック・ラマーの「Not Like Us」、これは8億5671万7128。チャペルより300万くらい多いですけど、これもシャブージーを上回ってます。
5月17日に出たビリー・アイリッシュの「Birds Of A Feather」、13億826万3544。これは大ヒットですね。これに関しては5億近く多いです。
さらに言えばサブリナの次のシングル、これも大ヒットしましたけど「Please Please Please」。これも2ヶ月近く後に出たのに9億2950万3254。
さらに言えば
今年を代表するロングヒットの2曲、テディ・スウィムズの「Lose Control」、これは去年に出た曲、そしてベンソン・ブーンの「Beautiful Things」、これは1月に出ましたけど、これの累積は前者が12億1731万577、後者が14億7644万4003。この2曲とも大きな差があるんですよね。
こういう曲の方がどうしても流行った印象がやはり否めないんですよね。これらの曲は全て巷で耳にする機会、圧倒的に多かったですしね。
では、なぜシャブージーがビルボードであんなに強いのかというと
集計方法!
ズバリ、これに助けられているからなんです。
ビルボードのチャートというのは、ストリーミングにダウンロード販売、ラジオのAirPlayの3つで決まります。今頃、ダウンロード販売なんて集計して何の意味があるのかとも思うんですが、とにかくビルボードはやってます。あと、ラジオ・オンエアというのも、ストリーミングの実情を無視した、いわゆる「かけっぱなし」の状態がある中、主体的な聞かれ方がわかりません。なのにポイント高く集計するんです。
・・なので、正直、怪しいんですよね、ビルボードのチャートって・・。
ただ、ビルボードのチャートに怪しさがあるのって昔からなんです。80年代までは店主の手書きレポートの集計でランクが決まっていたところ、1990年にバーコード集計に変えたところチャートが激変しただの、90年代の後半にラジオのチャートでは何週も1位(今と違ってストリームもないからラジオでのリクエストは当時はかなり切実)になってたのにシングル盤を発売しなかったからチャートの集計対象外になり、そんな実感を伴わないもどかしいチャートが2000年くらいまで7〜8年続いたり、そんな感じなんです。
だから、「ああ、またトンチンカンなことを」とビルボードを40年くらいウォッチしてる身からしたらわかるんですけど、普通の人、そういうこと知らないじゃないですか。だから、もどかしくもあるのです。
なので、まあ、15週1位と言っても参考までに聞いておくくらいにした方がいいと思います。