2023年6~8月の、その他の10枚のアルバム
どうも。
今日は昨日の続き、「10枚のアルバム」をやった後には必ず「さらに10枚のアルバム」をやるんですけど、これは今回も同様。
他の候補はこんな感じでした。
はい。これらも好きなアルバムです。語っていきましょう。
実は直前にザック・ブライアンとヴィクトリア・モネに差し替えたので、入る予定だったこの2枚が外れてしまいました。
クリスティーン&ザ・クイーンズの「Paranoia Angels True Love」は2枚組のコンセプト大作。これまでのエレクトロ・インディ・ポップのイメージから一転。ダークでヘヴィなクラブ・サウンドで唯一無二の世界観を展開しています。あの御大マドンナが3曲でバックアップしていることからも、実力の評価のほどがうかがえます。
バーナ・ボーイの「I Told Them…」はやはりアフロビーツの代表選手としての貫禄ですよね。ナイジェリアとイギリス、もしくはアメリカとの橋渡しを絶妙なバランスでやってます。あまり実験的なことをやらず、堅実で分かりやすいことをする人なので飛び抜けた傑作を産みにくい人ではあるんですけど、平均的に常に高い水準であることは評価したいです。
この辺りのオルタナティヴ・ヒップホップは今回、入れたかったんですけどね。
NoNameの「Sundial」は彼女の前作、もう5年くらい前になるのかな、あれに比べたら驚きこそなかったんですけど、それでもやはりネオソウル系のヒップホップとしての完成度の高さが見事です。これも途中まで、10枚の候補に入ってました。何だかんだで。今回レベル高かったなあ。
パリ・テキサスの「Mid Air」。彼らはロサンゼルスの2人組ラッパーんあんですけど、やってることはまんま20年前のアウトキャスト。久々に聴く感覚で嬉しくなってしまいました。まだ意外性がそこまでないので、もう少し工夫できるようになってくるとさらに楽しみです。
ただ、この2つが商業的に今一つピリッとしないのが、今のシーンの悲しいところではあります。
ヒップホップの超メジャーどころではこれも良かったんですけどね。トラップがだんだん飽きられてメガ・ヒットも少なくなってきた中、これは検討したと思います。
リル・ウージ・ヴァートの「Pink Tape」は、彼が予てから語っていた通りのラウドロック好きが炸裂した1枚。システム・オブ・ア・ダウンのかなりそのまんまなカバーから、ブリング・ミー・ザ・ホライズンとの共演まで、かなり振り切ってます。ちょっと長くなりすぎてまとまりがなくなったのでアルバムとしては減点なんですけど、その意欲は買いたいと思います。
トラヴィス・スコッットの「Utopia」は、当初予想されたようなサイケデリック・ロック・アルバムでなく、メトロブーミンが既に示していたような、ベース音をカットしてシンセサイザー・ミュージックの可能性を試したような新型のトラップ。名キュレーターの彼らしく、今回もゲスト多彩で楽しめます。ヒット作として悪くはないです。ただ、前作の傑作「Astroworld」にはだいぶ及ばないし、5年かかって今作というのは物足りないではありません。
アフロビーツもう一発はアシャケの「Work Of Art」。僕はこの人の前作はすごく大好きで年間ベストのトップ10にも入れたんですけど、1年も経たないうちにもう新作です。これも楽曲そのものはすごくいいです。ただ、前作で聞かれた、生楽器演奏をDJ感覚でつないだシームレスでミニマルで壮大な展開。あれがあまりにも好きすぎたので、そこから少し離れた今作、もう少し違うびっくりが欲しかったのはあります。あとバーナボーイの方が今回に限っては充実してたと思います。
続いてはバンドいきましょう。ギースの「3D Country」。彼らはニューヨークはブルックリンの、まだ20代前半の5人組。将来すごく有望です。所属はフォンテーンズDCやアイドルズと同じパーティザンで、プロデューサーじゃアークティック・モンキーズでおなじみジェイムス・フォード。サウンドはストロークスが南部に行ったみたいでかなりユニークです。シングル単位だとベストに入れたくなるくらい魅力的です。ただアルバムになるとやや散漫で、1曲ごとのレベルにまだムラがあるので、そこら辺りを解消すれば将来化ける可能性はすごくあります。
続いてもアメリカのインディです。ユース・ラグーンの「Heaven Is A Junkyard」。これはベッドルーム・ポップの中においてはかなりの秀作ですね。メロディ、コード進行の妙がすごく胸を打つタイプの甘酸っぱさがツボに入ると大きなアルバムです。この手の最近のものの中でも秀逸じゃないかなこれは。今、この辺りが音楽界全体での需要が高くないから「ジャンル内傑作」になっているところがありますが、世が世ならもっと一般人気あるものになってた気がします。
USインディなら、今回はこれの他にアノーニとかビッグ・シーフのバック・ミークのソロも良かったですけどね。
そして最後にブラジルからJaoの「Super」。彼は今28歳の、ブラジルのイケメン・ゲイのシンガー。これ、実際の話、「ブラジルのハリー・スタイルズ」と呼ばれてる人でして、今ものすごい人気です。アリーナ・ツアー即完でしたからね。今、ブラジルでフェス行くようなタイプの音楽リスナーなら、「国内なら男はJao、女はマリーナ・セナ」と相場は決まっているのですが、その意味ではようやくブラジルのポップ・ミュージックも上向き始めたなと思います。「ミナス系」なんて、こっちでは存在、本当に誰も知りませんからね。Jaoも僕は2022年のロラパルーザで見てますけど、その際は「エド・シーランの出来損ない」みたいな感じで良い印象持たなかったんですけど、やはり勢いのある若者、成長が早いですね。インディ・ポップ色の強め方がうまくて、その異名通りので気になってたと思います。