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映画「Everything Everywhere All At Once」感想 怪作!「多面的に強い女」をサイケデリックに表現すると・・・
どうも。
今週は映画評を主にいきましょう。これです!
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世界的に話題の映画ですね。「Everything Everywhere All At Once」、これいきましょう。これ、実は僕は結構前に、ちょうど歩けるようになりはじめて最初に見た映画だったりもしたんですが、「日本の公開とかに極力近い方が話題共有しやすいかな」とかと思って待っていたんですけど、目処が立ちそうにないのと、これに合わせてレビューできそうな映画も見つけたので、今のタイミングでやろうと思います。
さっそくあらすじから見てみましょう。
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主人公イヴリン(ミシェル・ヨー)はコインランドリーを経営している中国移民の中年女性。彼女は税務署からの厳しい申告請求に頭を悩ませています。
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娘のジョイとは心が通わず、紹介された彼女の恋人はレズビアン。夫のウェイモンドとは離婚の危機にあります。さらに父親は介護が必要なほど体が弱ってますが、昔からの横暴な親ぶりは変わっていないようです。
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そんなストレスのたまる生活の中、イヴリンは税務署の担当のディードレ(ジェイミー・リー・カーティス)の冷淡で攻撃的な要求の前にパニックになりそうになります。
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そんなとき、イヴリンは夫から不思議なパワーを授けられると
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イヴリンは不思議な幻覚を見るようになります。
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そこには、彼女が香港からアメリカに渡る前に経験したのか、あるいは願望だったのか、よくはわからない世界がちりばめられて登場。
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こんな幻覚も目にします。彼女はこの空間を行き来し、
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気がつくと、高い戦闘能力を持って戦っていました。
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戦う相手には娘のジョイも含まれていました。
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イヴリンは家族のために戦いますが、どこが現実で架空なのかは迷路のようになって・・・
・・・という感じの話です。
・・・いやあ〜、説明しづらいのなんの(笑)。ストーリーそのものは実際問題、非常によくわかんないです(笑)。
これはですね。
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このダニエル・クワンとダニエル・シェイナートという、二人の監督コンビが作ってます。彼らまだ30代の前半という若さ。以前に「スイス・アーミー・マン」というインディ映画、ダニエル・ラドクリフとポール・ダノが共演してカルト受けした妙な映画があるんですけど、それで注目されてた人です。
これ、まず何がすごいかというと、
撮影、何回やったの?
って、言いたくなるくらい、登場キャラクターの変身の数がハンパないんですよ。
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特にミシェル・ヨーは何回衣装チェンジしたんだよと(笑)。この上の写真見るだけで9パターンあるようなんですが、これらが駒切れに登場します。娘のジョイもかなり変身します。
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あと、マーシャル・アートの映画にも結構出てたミシェル・ヨー、ここでもすごくヴァイオレントに暴れるんですけど、身のこなしがさすがに年季入っててかっこいいです。
なんかですね、見てて、クリストファー・ノーランのような、何が本物かわからないめくるめくイリュージョンの世界と、ヒロインもののカンフー映画が合体したような趣で、そういう視点で見ても面白いんですけど、これ、そういう娯楽だけに終わらない含蓄もあります。それは
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中年に移民女性に対する、惜しみないリスペクトの念
これが強烈に感じられるから話がぶれないし、意味がわからなそうな話が壊れずに最後まで見れるんですよね。
彼女は慣れ切れない土地に住む移民であり、親のプレッシャーの下に生きる娘であり、結婚破綻の危機にある妻であり、わかりあえない娘を持つ母である。4方向からのプレッシャーがあるわけです。そうした生活の中、引き裂かれそうになりつつも、ヴァイタリティで結局は乗りきってしまう。そんな、女性像がミシェル・ヨーに象徴的に集約されてますけど、同じような立場にあるあらゆる女性へのリスペクトのように僕にはとらえられましたね。そんな女性の姿を、ミシェルがすごく美しく、しなやかに、、かつ独特のユーモアを持って文句なしに演じきっている。それが、不思議なカルト映画に知的な生命力を与えていると思います。
このようにすごい想像力と説得力に溢れた、これ話題のインディ配給会社A24の作品でもあるんですけど、この内容にして興行でも2ヶ月くらい全米のトップ10に入り続ける異例のヒットにつながっています。
あと、付け加えると
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言われなきゃ絶対誰かわからないジェイミー・リー・カーティスがコミカルな申告書の取立て人を演じてるのと
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旦那さん役、あの「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」や「グーニーズ」で人気子役だったキー・ホイ・クアンですよ!今、ちょうど50歳のようなんですがかつて80sの人気子役だった彼がこうやって40年近く経って新たな代表作を加えたこともうれしいものですね。