ネットフリックス「アンビリーバブル たった1つの真実」 性犯罪について知っておいたほうがいいこと
どうも。
今週は書くこと多くはあるんですが、これも語っておきたいことです。
それは海外ドラマ関係なんですが
ネットフリックスでやってる「アンビリーバブル たった1つの真実」、これを先日、ようやく見終わりました。
これの配信が始まったの自体は9/13なのですが、始まった当初2週間ぐらい見れなくて、先週から1日1本のペースで、限定シリーズなので8話、全部意味終わったところです。
これ、もうご存知の方もいらっしゃると思うので、このドラマを知らない人だけのために簡単に話の筋を説明しますと
このドラマなんですが、別々の話が同時に進行するという、珍しいタイプのドラマです。
まず、アメリカ北西部のワシントン州では、2008年、ティーンエイジャーのマリー・アドラー(ケイトリン・デヴァー)が警察にレイプ被害にあったことを報告します。
しかし、彼女は気が動転して記憶があまりにもあちこちに飛ぶので、取り調べに当たった刑事は信用しません。加えて彼女は元々身寄りがなく、里親に育てられ。現在は問題児請負のプログラムに出されていて、そこでも「問題ありの少女」と見なされていました。つまりは、愛情がなかなか注がれないことで、事態をますます悪くしていました。
マリーが信じられない警察は、彼女を「嘘の届け出を行った」ということで虚偽証言の罪状で起訴します。彼女は弁護士をあてがわれ裁判にも臨みますが、「嘘はついてないと思うのに・・」というモヤモヤした気持ちを持ちながら、「あなたは嘘をついた。失望した」などと一方的に自分を責める周囲に嫌気がさしながら辛い日々を送っていました。
続いて舞台は2011年のアメリカ南西部のコロラド州。小さな町の警察で刑事を務めるカレン・デュヴォール(メリット・ウェヴァー)は、連続レイプ犯人の逮捕に全力を尽くそうとしていました。
彼女はレイプ被害者の女性たちから被害状況を聞き出そうとしますが、限られた彼女たちの証言から犯人を推論することはなかなか容易ではありません。被害となる証拠も少なく、しかも性犯罪は早く解決しないと捜査打ち切りの早い類の犯罪でもありました。
その被害状況から、カレンは別の地域の警察の犯罪捜査課の女部長ラスムッセン(トニ・コレット)と共同で捜査を行うようになります。カレンは当初、上から目線のラスムッセンの態度に抵抗を示していた桃の、事件解決を強く望む2人の気持ちは、やがてその距離を近づけていくことになりました・・・。
・・と、ここまでにしておきましょう。
これなんですが、
元々は、2015年にレポートされ、やがてピューリッツァー賞まで受賞したスクープに基づく実話です。
僕はこのドラマ当初はですね
このブログでも以前紹介しました、青春コメディとしてはかなりの傑作だった「Booksmart」の主演でもあったことで、マリー役のケイトリン・デヴァーの存在が気になって見たいと思いました。その映画でも、ここでもケイトリンは、ちょっと影のある複雑で捉えにくい屈折さを持った女の子の役を演じていましたが、次第に話そのものに惹かれていきました。
というのもこれ、「レイプ犯罪の課題」として、よく耳にしていたこと、そのままだったから。
僕もポルトガル語翻訳の仕事で、レイプ犯罪に関して訳したことが何回かあるんですけど、こうした犯罪の問題として、被害者の精神的なトラウマが大きすぎて、証言したがらないというのがあるんですよね。それを思い出したくがないがゆえに、口にすることを嫌がってしまい、その気持ちを伝えることができなくなってしまい、それが結果的に犯人逮捕の阻害になってしまうという。今までは「そういうものなのか」と思って捉えていたんですけど、これを見て「こういうことなんだな」と思いましたね。
あと、ここでもマリーがあやふやになったことで、検察官が威嚇的に「嘘ついてないか?」となったことで、逆に訴えられてしまうんですけど、証言者に対しての世間の猜疑心がことのほか強いこと。これも問題だなと。すぐに「ハニートラップだったんじゃないか」とかなんとか。こういう偏見も、ほかの犯罪に比べて強いんじゃないかなと思います。
確かに、このドラマでのマリーのように、すぐに自暴自棄になりがちでコミュニケーションも遮断したがるタイプの場合、非常に難しいところもあるんですが、耳を傾ける側の人の辛抱強さ。これも絶対必要なんだなと思いましたね。こうした、屈折して見えるマリーのような態度、これがどうして生まれたのかの背後にも、レイプが遠因で絡んでいる場合があるので。そこまで考えてケアしないといけないことなんだなと思いましたね。
でも、僕の言ってることも、これ、割に最近の記事での対策で書かれていたようなことで、2008年当時ですから、ここまでの研究って、まだ実はあまり進んでなかったことのような気もします。「捜査取りやめ」の期間が、アメリカでさえもあまりにも短い様とか見てて驚きましたからね。
あと、犯人探す側もこれ、大変な犯罪なんだな、ということがわかりましたね。基本、こうした犯罪って民家が多いから防犯カメラなんかがあるようなところではないし、しかも暗いところで起こるから被害者の特徴が捉えにくい。加えて、さっきも言ったように被害者が詳細に語りたがらないでしょ。これではさすがに探すのは難しいです。
このカレンのような、正義心と責任感の強い人が存在してやっと解決するようなことなんだなと改めて思いました。逆に言えば、ここまでの人がいないとなかなか解決しないというのはもどかしいものなんだなとも感じましたね。
ということでこれ、「レイプ犯罪の理解のための第一歩」としての学習効果が非常にあると思いましたね。とりわけ、これ、むしろ男性こそ知っておくべきではないかな。
あと、今回のこのドラマですけど、二つの話がなかなか交錯しません。なので、「一体、どんな風にしてこれ、話が結びつくんだろう」と不思議にもなるんですけど、その「結びつく瞬間」がすごくカタルシスがあるんです。ここは演出、脚本としての素晴らしさですね。しかもベタベタにくっつくんじゃなしに、不意に接近するんですよね。そこもかなりの見所です。
あと演技陣も理派ですね。映画でも今や実力派女優の見本みたいになっているトニ・コレットは当然の貫禄の演技だし、さっきも言ったマリー役のケイトリンも訴えかける演技をするんですが、今回、僕は
カレン役のメリット・ウェヴァーの演技に惹かれましたね。この人、パッと見で地味で、声も高くゆっくりしゃべって柔和な印象があるのに、でも、しっかりと芯の強さと不屈の意志を感じさせる。それが見ていてすごく自然なんですよね。オーヴァー・アクティングに頼らないでこれを表現できるというのはかなり立派なものだと思いました。
この人のこと、よく知らなかったんですけど、彼女
「ナース・ジャッキー」とか「ウォーキング・デッド」に出てたようですね。両方ともあまり見なかったドラマなので「なるほど」とだけ思ったんですけど、前者では彼女、
エミーの助演女優賞も受賞してたんですね。そのことはなんとなく覚えてたんですけど、こういう演技派だったんですね。経歴読むと、どうやらこれまでコメディ系の方が多かったような感じで、「体の大きな女優さん」のイメージだったようですが、今回のドラマだけ見ると、そういうことが意外に感じられるくらい、体型も普通に見えますし、かなり方向転換してきてたのかな、という風に感じましたね。彼女、今後、いろんなところで目にする女優さんになると思います。
こんな感じですが、これ、今からでも遅くないので見た方がいいと思います。