2010年代オスカー作品賞ノミネート作品 Fromマイ・ワーストToマイ・ベスト その2 10位〜1位
どうも。
では昨日の続きで、2010年代のオスカーの作品賞ノミネート、全88作をワーストからベストにカウントダウンする企画、今日はいよいよトップ10です。
昨日の投稿でも書きましたけど、もう20位以上はどえを選んでもおかしくないくらい大好きな映画ばかりでしたけど、やっぱり、トップ10ともなると、特別な映画ばかりです。
まずは10位から順に見ていきましょう。
10. La La Land (2016)
10位は「ラ・ラ・ランド」。この映画は2010年代のミュージカル映画としてはやはり最高峰でしょうね。これ、いかにもyoutube世代というか編集世代というか、すごく抜粋的、引用的なのがすごく新しく感じましたね。往年の優れたミュージカルへの細かいオマージュ、そして、そうしたミュージカルに必ずつきものの「記憶に鮮明に残る絵」、これが「これでもか」とばかりに出てきます。まず、オープニングのLAのハイウェイの大写しとそこでの鮮やかなダンス。もう、あれで持っていかれる上に、このポスターの夜空の下のダンスに、プラネタリウムのシーンに。もう、これだけでお腹いっぱいになります。あと、ミュージカルのウィークポイントとしてつきがちな、歌に流れる部分の唐突さが少なく、ライアン・ゴスリング、エマ・ストーン共々決して歌はうまくないんですけど、その分、演技上手いのでソラマとして見れるし、その流れで自然に歌が聞けるのも良いです。
この映画に関しては、こんなの日本でしか起こってないんですけど、ジャズの描写からくる、というかこれ、監督のダミアン・チャゼルの前作「Whiplash」からの八つ当たりなんですけど、「ジャズの描写が悪い」とか「話が薄っぺらい」などという、本筋の流れとは関係ないバックラッシュがありましたけど、個人的には全くどうでもいいです。ジャズ評論の場ではなく、ジャズの一断面を一般オーディエンスにわかりやすくデフォルメしたのにすぎないし、「2人の、売れないで事で苦労する男女が恋愛を通して事故を成長させ、恋に依存せずに生きるようになる」という話が薄っぺらいのなら、ほとんどのロマンス映画成立しないし、加えて「じゃあ、往年のMGMのミュージカルのストーリー、どんなのだったか知ってる?」と尋ねて答えに窮するのはもう目にも見えてますけどね。むしろ、「ジャズの将来を愁う」という監督の中の超個人的な悩みから2つも大ヒット映画作ってしまう才能って、僕はすごいと思うんですけどね。
9.Little Women (2019)
9位は「若草物語」。日本での、あの意味不明のクソ長い放題は僕は使いません(笑)。今年の対象作で最高の映画で、唯一のトップ10入です。この映画で語るべきは、まず監督のグレタ・ガーウィグですね。彼女は2000年代の後半くらいから、アメリカのインディ映画界では非常に有名な主演女優で「マンブル・コアの女王」の異名まで取った人なんですけど、そんな彼女が前作「レディ・バード」から監督に転身。2作連続してオスカーの作品賞にノミネートされました。
この映画、あまりに有名な、19世紀文学の4度目の映画リメイクだったわけですけど、ここでグレタのやったことはかなり画期的です。「レディ・バード」は高校を卒業しての進路に迷う女の子の切実な気持ちを描いた作品でしたけど、この映画では、そうした「人生の岐路」に立たされていたのは位置の時代も同じとばかりに、人生の分かれ道に立った女性たちの姿が複合的にかつ、「レディ・バード」と同様に切実なものとして訴えられます。加えて、やはりヒロイン、20代前半でオスカー4ドノミネートの若き名女優、シアーシャ・ローナン演じるジョーのセクシャリティ問題。ここに大胆に向かいあって歴史検証しているのが見事でしたね!相手が誰もが知ってる19世紀文学であろうと、おそれずに「現代からの視点」で大胆に再解釈して、古典に新しい息を吹きかけたのは素晴らしい創造性。グレタ、まだまだいろいろ傑作、作ってくるはずです。
8.Room (2015)
8位は「ROOM」。これもかなり強烈な映画でしたね。これで主演のブリー・ラーソンがオスカーの主演女優賞を受賞したほか、インディ配給会社のA24が本作の成功を皮切りに、インディ映画ファンからの大きな信頼と人気のブランドとなった作品でもあります。
これはとにかく話がヘヴィでしたね。10代のときに誘拐され、妊娠させられた生まれた男の子共々監禁させられるという異常な生活環境からの脱出を描いたわけですからね。それだけでもかなり見ていて精神的にぐったりくるものなのに、それがまだ前半で、その事件が終わった後のマスコミをはじめとした周囲の必要以上の騒ぎようと、それに翻弄されるヒロインのさらなる苦悩と、2重の意味で苦しい映画。そんな難役を、まだ当時25歳だったブリーが渾身の演技で見事に話をリアリティ持って成立させています。彼女、この2年前にも「ショート・ターム12」といって、過去に深い傷を背負ったまま更生施設のトレーナーをつとめる役でインディながらに大絶賛されていたんですけど、それと本作で、現在の若手女優を代表する演技派になりましたね。そして、どうしようもなく重いこの題材を、「自分が生きてきた人生」が決しておかしなものとは思わず、環境の変化にも器用に対応できる無邪気な少年、ジャックを演じたジェイコブ・トレンブリー君の演技に未来への希望が強く託せる楽天性があったのも良かったです。
7.Boyhood (2014)
7位は「6歳のボクが大人になる時」という邦題で知られた「Boyhood」。これもまた名作でしたね。監督は「ビフォア三部作」「スクール・オブ・ロック」「バッド・チューニング(Dazed & Confused)」で90sのときからインディ界隈での人気監督ですね、リチャード・リンクレイターがつとめています。
この映画ですけど、そのリンクレイターが、同じ親子役の役者を12年にわたって定期的に集めて少しずつ撮ったものの集大成です。「ビフォア・シリーズ」も、イーサン・ホークとジュリー・デルピーの2人の愛の物語を9年おきに描いた三部作で、見事に「人生の時の経過」を描いた作品でしたけど、この映画も、主人公の、まさに6歳だった頃から、大学へ進学するまでのドラマを描いた、文字通りの人生ドラマ。出演者たちが、本当にリアルに年をとっていく過程に妙なリアリティがあります。また、これはお母さん役のパトリシア・アークエットが離婚後の男運が極端に悪く、それに家族ごと翻弄されるんだけど、そこをなんとか踏ん張って生きていく姿も、微笑ましくも勇気を与えてくれるものです。この映画は、ここで描かれている以外のぢラマもありますね。この映画でオスカーの助演女優賞を受賞した後、パトリシアは、当時、人気低迷中だったんですけど、この後、演技派として復活を遂げ、主に単発のテレビ。シリーズですけどゴールデン・グローブエミーをとる女優に成長。元ダンナ役のイーサン・ホークもかなりの演技派になってますからね。
6.Call Me By Your Name (2017)
6位は「君の名前で僕を読んで」。「Call Me By Your Name」。これも傑作の、青春映画ですね。「ゲイ・ロマンス」ではあるんですけど、その次元を大きく超越した、青春ロマンスで良いと思います。これを見て僕が思い出したのは「ベニスに死す」という文学映画ですね。そこで描かれる美少年タジオは、映画の主役である老境の音楽家を悩ませる存在になるんですけど、この映画はまるでそのタジオが、素敵な年上の美しくたくましい男性に恋をし、風光明媚なイタリアの田舎町で、「性春系コメディ」をものすごく上品に演じた趣でしたね。これが「アメリカン・パイ」とか「スーパーバッド」とかだと滑稽なほどにおバカになる(そこがいいんですけど)ところを、古代ローマ敵国の名残の由緒ある彫刻や、自転車で行き来する田舎の山道といっのどかで麗しい風景、さらに80sにイタリアで流行った音楽たちが、そうした美少年の、ちょっと微笑ましい青春劇を美しく彩ります。
そして、そんな麗しいのにどこか笑える美少年を演じたティモシー・シャラメのつんのめりぶりと、包容力満点の年上男性を演じたアーミー・ハマーとのケミストリーがこれ、見事でしたね。2人とも見た目は、もう、この映画にとってあまりにもパーフェクトだったんですけど、もうカップルのケミストリーとしては100点満点でしたね。この年代の数あるロマンスでも、この2人は限りなくトップに近かったんじゃないかな。ロマンスとしても、青春映画としても、これ、後世に語られると思います。脚本を手がけたのが、90年代に優雅なイギリス映画で一世を風靡した、自身もゲイで有名なジェイムス・アイヴォリーが80歳超えて手がけたこともミソです。
5.Zero Dark Thirty (2012)
5位は「ゼロ・ダーク・サーティ」。これは2009年度のオスカーで戦争映画「ハートロッカー」で作品賞、そして女性初の監督賞を受賞したキャサリン・ビグロウの次作なんですけど、これは前作以上の大問題作です。なにせ、この映画、「国家機密を盗んで脚本にした説」が流れた映画でしたからね。それがゆえに、アメリカ政府から目をつけられ、前哨戦では圧倒的にリードしてたのに、「中東情勢に考慮して」という理由から、これと「アルゴ」がまるまる監督賞ノミネートからはずされて、オスカーでは圧倒的に不利になっちゃいましたからね。実際、「機密が盗まれた」というのは、僕は本当だったと思います。この映画は「オサマ・ビン・ラディンの逮捕には、ある女性捜査官の活躍があった」ことを描いた作品なんですけど、そこで実はCISがのんびりと構えて逮捕に積極的に乗り出していなかった実情が、「さすがにこれ、内部事情がないと書けないだろ、これ」ってくらい、かなり詳細に描かれていましたからね。この当時、ヒットしてて評判の良かった「ホームランド」っていうクレア・デーンズのドラマもありましたけど、あれも話の感じが似てましたからね。なんか、あったんだろうという気はしてます。
この映画、描きようによっては、それこそ誰かさんが監督なら極端な右的な映画になりかねなかったんですけど、「組織の緩慢の実態」と「仲間がテロで犠牲になり、テロリストの状況もしっかり把握できての行動だった」ことを描いているため、すごく説得力があるんですよね。加えて、満足な援護ももらえず孤立しながらも毅然と戦うジェシカ・チャンステインがもう、まぶしくてですね。彼女は2010年代屈指の演技派だと思うんですけど、この10年でもっともハイレベルな争いのときに敗れたのは残念でしたね。あと、キャサリン・ビグロウはこれで「戦争映画」というマッチョで当たり前の世界でフェミニズム映画を成立させた意味でも、これ、偉業だったと僕は思います。
4.The Social Network (2010)
4位は「ソーシャル・ネットワーク」。もう、改めて詳しく言うまでもないですけど、フェイスブック創始者マーク・ザッカーバーグの、かなり早い半世紀。21世紀の世の中で最も若くして成功した実業家による「現代版市民ケーン」とも呼ばれた、これまた傑作ですね。
これ、監督がデヴィッド・フィンチャーということでも特筆すべきですね。フィンチャーって、これまで血なまぐさいイメージがあったのに、今回、当然、血など飛ぶはずがないこの内容を引き受けたとき、ものすごく意外な反応されましたけど、この人の映画、それがどんな内容であれ、ストーリー・てリングで退屈したこと、一回もないし、編集が毎回巧みでテンポあるからすごく見やすいんですよね。彼の映画が題材に関係なく、物語を紡ぐものだという真髄が発揮された瞬間でしたね。加えて、やっぱり音楽ですよ!トレント・レズナーにアッティカス・ロス。この2人によるエレクトロ・サウンドがザッカーバーグの焦燥感と秒刻みで進むITビジネスの神経質なイメージを、見る人の内側からじわりじわりと攻めていくのは脚本以上の演出効果がありましたね。以降、2人はフィンチャーの映画に欠かせない存在となりましたが、これはオルタナティヴ・ロック側の人間としては非常にうれしいものでしたよ。あとは配役のコンビネーションも絶妙でしたね。ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク、アーミー・ハマー、そしてこのとき誰も知らなかったルーニー・マーラ。役者選出でも、あまりに見事でした。
3.Silver Lining Playbook (2012)
3位は「世界にひとつのプレイブック」。もう、これも大好きですね、本当に!これは2010年代の前半のオスカーで3度も立て続けに監督賞にノミネートされた鬼才デヴィッドOラッセルの、破綻したロマンティック・コメディですね。僕がこれ高く評価するのは、2010sって、いわゆる古典的な、もう1920年代からずっと存在する「ロマンティック・コメディ」というトラディショナルなジャンルが本当に逆風だったじゃないですか。僕は基本、この上位見ていただいてもわかると思うんですけど、ロマンスものって、もしかしたら一番好きかもしれないくらい好きなんですよね。それがあまりに時代遅れ扱いされているのが、なんかくやしいとこがあったというか。この映画は、主演の2人のシチュエーションを極端なまでに破綻させることによってやっと面白いロムコムとして成立させることができましたよね。これくらいしないと、今はロムコム描くのも楽じゃないんだなとも、これ見て思いましたね。でも、それを演じたのが、ブラッドリー・クーパーとジェニファー・ローレンスの2人で本当に良かった。この2人見てると、話はすごくドラッグ中毒や自閉症、鬱ときわめて今日的な内容なのに、かけあいそのものは1930年代のハリウッド最初の黄金期のケイリー・グラントとキャサリン・ヘップバーンあたりのロムコムの組み合わせと全く変わらないあうんの呼吸がある。この「新しいんだけど、すごく古典的」な要素も僕のハート、くすぐりましたね。よく考えたら、この2人、この10年で共に4回ずつオスカーにノミネートされているんですよね。組み合わせとして、男女で最高だったことはこの事実でもわかります。
くわえて、デヴィッドOラッセルの毎回描くところの「愉快な家族崩壊劇」としても、これ、最高でしたね。90sの「アメリカの災難」というベン・スティラーの映画からこの人、一貫してこのテーマ描くんですけど、これの前の「ファイター」とこれは、彼のそんな真骨頂が発揮された映画でしたね。ブラッドリー・クーパーの両親役のロバート・デニーロとジャッキー・ウィーヴァーが共に助演でノミネートされたのも納得です。
2.12 Years, A Slave (2013)
上位2つは黒人映画です。僕の場合、90sにスパイク・リーにジョン・シングルトンと、ブラック・ムーヴィーにハマったクチなんですけど、2010sにはそれがさらに前進した時代になりましたからね。作品のクオリティとしても、黒人製作者、すごい人、出てきてると思います。
まずは2位、「それでも夜は明ける」。「12 Years, A Slave」ですけど、これはアメリカではなく、イギリスの黒人監督スティーヴ・マックイーンが感得した映画です。彼、レギュラー出演者がマイケル・ファスベンダーであることからもわかるように、人種にこだわった映画を作る人では決してないんですけど、これは、過去のどんな告示差別を扱った映画の中でも、これを上回るものを僕はいまだかつて見たことないですね。
これは19世紀のアメリカで実際にあった実話をもとにした手記の映画作です。主人公はその当時、差別の比較的少ない地域で優遇され、学もある黒人だったところが、手違いで奴隷として売られ、12年ものあいだ奴隷労働を強いられる、という壮絶な話です。中でも一番強烈だったのは、「学があるのがわかると殺されるから、必死に無学であることを証明しなければならない」というとこですね。これ、もう世界観がまんま「1984」とかの近未来SFとか、ディストピアとか、そういうものに共通する流れですよね。「」バカじゃないと洗脳できないからやっかいだ」という理由からですよ。人種差別ひとつにも、こうした恐怖のメカニズムは流れていたわけだし、それは決して人種差別に限ったことではないのだという、ユニバーサルなメッセージ性が強く感じられましたね。アメリカ産の人種差別に反対した映画だと、このメカニズムを描いたものまでは見たことなかったですね。あと、アメリカのそれと比べてエモーションが極端なまでに抑えられてて、妙に静かで冷静なところもこれ、怖さを増長させていましたね。
演技陣も最高でしたね。主演のチエテル・エイジョホーは当然のこと、これではじめて姿を見たルピタ・ニョンゴ。彼女はこれでオスカーとりました。後、マイケル・ファスベンダーにポール・ダノの2人のレイシストの対象的な恐ろしさ。そして、この映画の出資者にしておいしいとこ最後に持っていってしまったブラッド・ピット(笑)。コンビネーション、完璧だったと思います。
1.Moonlight (2016)
そして1位はやっぱりこれなんですよね。「ムーンライト」。2016年、ウォーレン・ベイティと彼に封筒渡した人のミスで、「ラ・ラ・ランド」が作品賞取り消されたときのウィナーとなった映画がこれです。そのせいで、「ラ・ラ・ランド」のファンからは、この映画の監督も、出演者も、当時まだ一般的な知名度もなかったことも手伝って、文句言われもしましたけど、僕は「ラ・ラ・ランド」大好きでしたけど、全く文句を言う気にはなりませんでした。だって、これ、本当に時代を象徴する、ものすごい映画だと思っていたから!
これ、なにがすごいかというと、「黒人の悲惨な境遇を描いた映画」であるのの延長としてのゲイ・ロマンス、いわば、「黒人」「LGBT」のふたつを一挙に2つ成立させた、「マイノリティの、そのまたマイノリティのための映画」なんですよね。そこがまず、思い切り2010sですよね。個人的には、まずそこがすごいなと。黒人映画って、黒人のコミュニティの壮絶な悲劇性を描くことが多いんですけど、コミュニティにおいてはマッチョが強いので、この2つの概念ってなかなかくっつかないんですよ。ただ、監督のバリー・ジェンキンスは、話を3つに区切って設定することでこれを可能にしてしまった。主人公のいじめられっこの少年が、父のいない、母ジャンキーの状態で、包容力あふれるドラッグディーラーに見ぬ「父」の姿を見たことから男性に興味を持ち、いじめられっ子のままティーンエイジャーになった少年が、愛した男性を掴んだかと思ったら裏切られ、その心の傷から、見かけはマッチョなドラッグディーラーになり、生活も信じられないくらい裕福になったものの心は空虚で、結局は・・・という話の展開に、「なぜ、男性を愛するようになったか」の状況背景が説得力を持って描かれるのと、そこに相も変わらず改善されない、多くの黒人が直面している生活の姿を晒すことでひとつのプロテストにもなっている。このストーリー・テリングは見事だったと思います。
しかも、その描き方が、後ろで流れる緊迫感伴った弦楽音楽もともなって、美しくかつスリリングに、そしてポエティックに描かれるんですよね。これも、これまでの黒人映画では全く見られなかった手法。むしろヨーロッパ映画、あるいは近世のイギリス貴族描いたみたいなセンスだったのもインパクトありましたね。これ作ったバリー・ジェンキンス。この人、ストレートの男性なんですけど、全くもって信じられないセンスです。この10年、ジョーダン・ピールとか、ライアン・クーグラーとか、エイヴァ・ドゥヴァーネイとか優れた黒人映画監督でてきてますけど、こんなセンス持ってるのは彼だけですね。それが次作の「ビールストリートの恋人たち」でも一貫してるんですよね。あれも「私はニグロではない」で有名になったゲイの黒人作家ジェイムス・ボールドウィンの小説の映画化だったんですけど、同じようなポエティックな描写で。この感性、本当にオリジナルなものなので、しばらく追随者も出てこないと思います。この10年では最高の逸材なんじゃないかなと思ってます。
・・・と、いうのが、僕の2010年代のオスカー・ノミネート作のベスト映画なんですけど
僕が2010年代で最も好きな映画は、まだここに出てきてません!
ということで明後日、番外編として
「2010年代のオスカー作品賞にノミネートされるべきだった映画トップ10」
これをやります。お楽しみに!