「ヒロインがレズビアン」の事実を宣伝で隠匿! せっかくの「ブックスマート」公開も
どうも。
たまにこういうことやりますけど、「これは問題だ」と思ったので、やらせてください。
アメリカで昨年公開された青春コメディの傑作「ブックスマート」がようやく日本でも公開されます。
これはブラジルでも、アメリカからたしか2、3週間遅れてだったと思うんですが、公開されて
その当時、ここでこうして絶賛記事書いたんですよ。本当にこれ、2007年の「スーパーバッド」以来の青春コメディの傑作ですよ。しかもそれを、女の子の側から、いまどきの10代の女の子が社会的に抱える問題も絡めながら進める、ストーリー的にも非常に深みのある映画です
が!
日本での宣伝が、非常におかしなことに!!
ちょっとこれ、本国側が知ったら国際問題にもなりかねないひどさなので語らせてください。
まず、このトレイラーからして違和感です。これが日本版のトレイラーなんですが
このアメリカ版のトレイラーと見比べて
何かが違いません?
これ、日本版だと、ヒロインの2人が「卒業パーティ」に乱入する理由が、片方の女の子の観点からしか描かれてないんです。大柄の子の方ですね。彼女はビーニー・フェルドスタインって言って、かのジョナ・ヒルの妹。「レディバード」でのシアーシャ・ローナンの一番の親友の女の子の役、演じたことで知ってる方もいらっしゃるかとも思うんですが。逆にアメリカのトレイラーでまず最初に出てくるのは、もう一方の側の子の理由です。しかし、それが一切、出てこないんですよ!
これはつまり、
もうひとりのヒロイン、ケイトリン・ディーヴァーの役どころがレズビアンという設定の説明がされてないんですよ!
この映画は、片方は「自分の容姿のイケてなさを見返してやろうと、尊敬できる女性を目標に頑張ってきた勝ち気な女の子が、パーティでもイケてることを証明してやろう」という女の子(これもアメリカ版のミシェル・オバマやギンズバーグ判事のモノローグが外されているからいまいち不明瞭)と、ある少女に「レズビアン・クラッシュ」を抱いてしまった女の子が卒業パーティで告白を試みる物語です。
上のトレイラーでは、後者の話が存在しないことのようになっています。
そして、これ、日本の宣伝側で、かなり意図的に自主規制してる疑いが持たれます。
だって
このプレス用の宣伝でも、レズビアンの事実が隠されているだけでなく、曲回されたストーリーまで書かれてさえいます。なんでしょう。「ガリ勉2人」って。ケイトリン扮するエイミーの設定って、別にガリ勉でもなんでもないんですよ。クラスの中で醒めてて、友達がビーニー扮するモリーしかいない。そういう設定です。モリーの方はストレートなので互いに恋愛感情はなく、エイミーはちょっとボーイッシュな感じの女の子に恋心をいだいている。そういう説明がめんどくさかったのでしょうか。
そして、
こちらの日本の公式サイトでも「レズビアン」の文字、そしてそれを思わせる表現が一切出てこないんですよ。別にエイミーがレズビアンである事実は、映画の導入部分で明かされることなのに。
そういうことを抜きにですね、「テイラー・スウィフトが絶賛」だの「新種の革新的なコメディだ」とか言ったところで、それを紹介する側が事実をこんなふうに隠したらその魅力がその時点でだいぶ削がれるんですよ。
だいたいこの映画そのものが、アメリカの公開から1年3カ月も遅れて公開ですよ。その間、飛行機の機内放送とかネットで見た人も日本では少なくないはずなんですよ。そんな情況での宣伝でこれってちょっとありえないなと。
そもそも、この日本での宣伝って
監督のオリヴィア・ワイルドをはじめとしたアメリカ側にはちゃんと許可を得た話なんでしょうか?絶対に許可、出るわけがない話だと思うんですけどね。だって、ストーリーの大事なところが端折られたわけですから。中国とか北朝鮮じゃあるまいしね。
あと、日本のサイトでもうひとつつっこむところがあるとしたら、ケイトリンの代表作に
ネットフリックスのドラマ「アンビリーバブル」があることが欠けてます。これ、日本でも見る人は結構話題にしてたのに。彼女はこれのヒロインのひとりで、レイプ告白を行う10代の女の子の役で出て、ここでも話題になっています。彼女はこれでゴールデン・グローブにもノミネートされてます。
それにしても、女性の表現に関してのこういうことが多すぎですよ。