ウクライナ戦争日記
アンネ・フランク『アンネの日記』やエレーナ・ムーヒナ『レーナの日記』、エマヌエル・リンゲルブルム『ワルシャワ・ゲットー』、中井英夫『中井英夫戦中日記 彼方より』等、戦時下で書かれた日記はこれまでに何冊か読んだけれど、昨日読み終えたばかりの『ウクライナ戦争日記』から受けた衝撃はそれらとは全く別物だった。
念のために書いておくが、これはどちらが良いとか悪いとかいう話ではない。
『ウクライナ戦争日記』は遠い昔の戦争ではなく、今現在行われている戦争、終結の兆しの見えない侵略戦争。その戦火に脅かされながらも必死に生きている人たちによって書かれた日記であるということ。自分と同じ「今」を生きている人たちが余りにも過酷な「今」を綴った日記であるということ。そして日記という形で記録を残し、読み手に伝えてくれる人たちがいる一方で、何も残すことが出来ずに殺されてしまった人たちが大勢いるのだということ。今、無事で生きている人たちもいつ殺されるかわからない、そんな不安と恐怖に苛まれているだろうということ。今尚、戦争が続けられているという圧倒的事実を突き付けられたように感じて、読了して一日経った今も動揺を隠せずにいる。
この本について自分に語れることは何もないと思ってしまった。何を書いても嘘臭くなってしまうようで、とても感想の類を書く気になれないのだ。
ロシアがウクライナに侵略戦争を仕掛けてから昨日でちょうど半年が経ったけれど、未だ戦争が終わりそうな気配は無い。それどころかウクライナ情勢への関心が日に日に薄れてきているように感じる。出勤する度に毎晩目にするウクライナカラーでライトアップされた都庁ビルも、随分前から誰も気に留めてはいないようだ。
そうだ、言えること、言いたいことがひとつだけあった。『ウクライナ戦争日記』はウクライナ情勢への関心が薄れつつある今だからこそ読まれるべき本だということだ。売上の一部はStand With Ukrain JapanというNGO団体に寄付されるとのこと。微力ではあっても、それでもこの本を買う行為はウクライナ支援に確実に繋がる。ウクライナの人たちのために何かしたいけれど何をすれば良いのかわからない。自分に何が出来るのだろうか。そんな風に思っている人は手にとって読んで欲しい。