人間関係は「セルフコントロール能力」を基準に
時間配分を変える。
住む場所を変える。
つきあう人を変える。
コンサルタントの大前研一さんの有名な言葉で、「人間が変わる方法」を説いたものです。中華料理屋に入って「ぜんぜんイタリアンが出てこないね」とぼやく人はさすがにいないと思いますが、「よい人間関係ができていない」のであれば部署の異動を申し出る、転職するなどの行動を起こし、環境を変えるしかありません。
ただしおいしいパスタが食べたければ、入念な下調べやクチコミのチェックを怠らないことが大切。同様に、異動先、転職先の出会いをよりよいものにするためには、事前調査は当然のことながら、自分が目指すべきネットワークの理想形をおさえておくことも欠かせません。
誰と付き合えば人生が好転していくか。
一生モノの友だちをつくるにはどうすべきか。
ネットワークの規模は?
内向的なのに、外交的な人が集まるネットワークに入ってしまうと、成果がえられないだけではなく、疲れてしまいます。マイナスのネジをよく確かめずに、プラスのドライバーで強引に開けようとして、ネジ穴がつぶれてしまって「なんで開かないの??」と憤るようなもの。使い方が合っていないのに無理やり実践すると悲惨な結果を招きます。
ポイントはネットワーキングの基準を定めること。そしてキーワードは「セルフコントロール能力」です。米国・デューク大学の実験によると、セルフコントロール能力の低い人が、自分よりセルフコントロール能力が高い仲間とともに過ごすようになると、誘惑に打ち克つ力が強くなることがわかっています。
セルフコントロール能力は、長期的な人生の成功と大きな相関があるので、セルフコントロール能力が高い仲間をつくることで、本人の成功の可能性が高まるという理屈です。言うまでもありませんが、その逆、セルフコントロール能力が低い人とは付き合わないほうがベター。
上司のグチを言い合うサラリーマン、悪口で騒ぐOLたち。根拠なく感情をぶつけるように話したり、頭ごなしに決めて物事を判断する人は、セルフコントロール能力が低く、一緒にすごすと自分もマイナスの影響を受けてしまい、負のサイクルが加速してしまいます。
米国・ブリガムヤング大学では、「孤独な人がいい人と出会い、充実したコミュニティを手に入れると、寿命が15年延びる」という研究結果を報告しています。禁酒禁煙、健康的な食習慣、定期的な運動習慣よりも、人間関係のほうが健康寿命への影響が大きいことを示唆しています。
私たちがもっとも幸せを感じるのは「自分の人生を自分でコントロールしている感覚」を持てているとき。自分を取り巻く人脈を、自らの意志で選択していくことは、ネットワーキングの成功につながり、セルフコントロール能力をはじめとする個人の能力を高め、幸福度を向上させて健康状態も改善します。人間関係の充実が幸福への第一歩ということでしょうか。
久保大輔
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