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ひらめきは適度な雑音のなかで

アイデアを練る、企画を考える、資料を作成する。これらの仕事には「前段」が必要。おおまかなイメージで物事をとらえ、ひらめきの土壌をつくることです。「抽象思考」とよばれるこの段階は、アイデアを具体化するために欠かせません。人それぞれ「対策」をもっていますが、皆さんはいかがでしょうか?

創造性をかきたてるにはさまざまな、科学的に有効とされる方法があります。一般的には、静かな空間でひとり集中することがそのひとつのように思われがちですが、実はそうではありません。注意散漫のメリットというものがあって、わざと意識をさまよわせるように心がけると創造性が高まるといわれています。

数学の問題を解いている途中に、歴史の問題に取り組む人と、ずっと数学の問題を解き続けた人とでは、前者の方が創造的な思考が働いて回答率があがったそうです。ひとつのことだけに集中すると視点が固定されますが、あえて寝てしまうなど、無関係なことをして強引に頭を切り替えると、確実に面白い発想がわいてきます。

お酒を飲んだ人と、しらふの人では、前者が16%ほどよいアイデアを思いつき、36%ほど問題を解くスピードが速くなりました。お酒の力により脳から適度に注意力がなくなって、リーキーアテンションが起きたのです。部屋にこもる人より、外を歩きながらアイデアを練ると、斬新さが50%、発想量に至っては90%もアップしたという実験結果もあります。立ったまま会議をすると、共同意識がたかまって、結果として多くのアイデアが生まれるともいわれています。

原始のサバンナでかつて人類は、緊急のトラブルに対してスピーディに考え、すぐに斬新なアイデアを思いつかなければ生き抜くことができませんでした。人類の脳内には、高速で思考すると自動的に創造性が上がるような仕組みが備わっているとされています。事実、ハイスピードで本を読んだ人と、普通に読んだ人とでは、前者の方が一様によいアイデアを思いつき、さらに幸福度がアップして生き生きとした表情を見せるようになりました。

頭のなかでいろいろと悩むのではなく、無意識に「イケる!」とピンときたらとりあえず飛びついてみて、そこから徹底的に理論的な検証を進めると成果に結びつきやすい。よい「ひらめき」は意識と意識のはざまにこそ浮かび上がります。できるだけハイスピードにメモを取る、アイデアを書きだすという行為も有効です。

不安や怒り、悲しみや落胆などの感情は、もともと「身の回りに危険が迫っている」事実を示すアラート。ネガティブな気分になると人間の脳は自動的に周囲の状況を細かく分析して危険から逃れようとします。これは分析思考であり、抽象思考の真逆。抽象思考とはその名のとおり大まかなイメージで考えることなので、あいまいな思考は分析に適しません。創造的な作業を行うときは「安全」「守られている」といった感覚が欠かせないということ。

今日は一日中、アイデアを練っていました。過去にインプットした情報を総動員するように、パソコンの引き出しを開けては締めての繰り返し。ポモドーロテクニックよろしく、30分集中したら5分歩く、コンビニに行く、目を閉じる、同僚と話す、テレビを見るなど、凝り固まった思考をほぐすように意識を散漫にしてみました。

基本立ちっぱなし。ご飯を食べる、移動する以外は極力座らないよう努めています。健康的かつ創造性アップを意識して。

久保大輔




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