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「まず与える」意識によって人生が好転する

仕事をしていると営業を受けたり、相談を受けたり、外部の企業から問い合わせを受けることが少なくありません。魅力的な話もありますが、お断りすることも当然あります。個人的には、自分がまず「何を与えられるか、どんな貢献ができるか」について思いをいたし、「意義」を感じるかどうかが意思決定基準になります。

中には「こんなことができます」と力説されるケースもあって返答に困ることがあります。事前の情報収集は欠かしませんが、初めてお会いする方からいきなり「プレゼント」を持ち出されてもさすがに受け取りにくいです。その対価として「だから私の要望を聞いてよ」と言われることもありますが、いささか無茶がすぎる気がしないでもありません。

なぜならこちらは「まず自分からできることは何か」という姿勢でコミュニケーションを図ろうとしているから。最初に自分だけメリットを享受しようとしていないからこそ余計、「これあげる」という言葉に違和感を覚えます。そしてこの態度、姿勢こそが仕事や人生をよくしていくための糸口になると思っています。

自分の選択によって繰り返し人に何か与えていると、与えることが自分の個性の一部として内面化されていきます。認知的不協和も手伝って、みずから進んで与えると決めたからには、それを変えるわけにはいかない、という意志が強化されます。

人はあるグループに参加すると、どのように振る舞うのが相応しいか、その手がかりを周囲から探すようになります。常に助け合い、公益のために自分を犠牲にし、ギバーが最初にお手本を示すことで、他の人と同じくらい自分も役に立とうという意識が組織に伝播していきます。

自分のグループに属する人々を助ければ、グループ全体がより良い状態になるので、結果的に自分自身も助けることになります。受け取るよりもずっと多く与えるコミュニティの方が愛着と強い結びつきを感じるようになるでしょう。とある実験では、協力的なパートナーと働くときは協力的だったが、競争的なパートナーに替わった途端、態度を相手に合わせて競争的な態度で応じるようになったと報告しています。

与えることによって脳の報酬中枢が活性化することがわかっていて、人の利益のために行動すると、そこから喜びや目的意識などの信号が伝達されます。こうした恩恵は、人のために時間を割いた時にもえられます。「年間100時間」を他者のために使うと決める。週に一度まとまった時間をとって与えることは「他者思考の戦略」でもあります。年間100時間は、週わずか2時間。「まず与える」ことを習慣化するだけで、いいことが起きるのは科学的にも立証されています。

ただし与えすぎると消耗してしまうので要注意。ちょっとした「下心」はあっていい。8割与えて2割のリターンくらいで組織に貢献してみてはいかがでしょうか。

久保大輔




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