優れたリーダーの共通項を読み解く
出版記者会見の準備。担当は、事前に届く記者の質問を手直しすること。メディアの気持ちは十分わかるのですが、会見の主目的である「本のPR」に合わせて若干の修正をしなければなりません。言うまでもなく私は、本書を読み、しっかりと内容を把握しておきます。
2日で一気に読了。赤線を引き、あとでエクセルに落とし込んで、パワポ一枚で簡潔に内容をまとめます。博士論文を執筆するにあたって何度もやってきた作業なのでお手の物。ヴェンゲル氏の通訳とのコミュニケーションもうまくいきました。会見がいまから非常に楽しみです。
氏の著書は事前にもう一冊目を通していて、「サッカーの監督」に興味がふつふつと。今日はまた別の監督の自伝を手に取り読みふけっていました。わが心のふるさと、リバプールの監督。リーグ優勝やヨーロッパの大会でも優勝をもたらしてくれた大好きな方。けっこう長大な本でしたが明日には読み終わりそうです。
2人は外見や性格が正反対、というイメージでしたが共通点が多いことに驚くなど、比較する楽しさにも恵まれました。主観的な印象ではなく、客観的で信憑性のある情報をたくさん得て比較することの大切さも学べました。自分勝手に、思い込みや偏見でテキトーなこと言ってはいけませんね(自戒)
「リーダーシップ」というくくりで見ていくと、ビジョンや方向性の話題に収れんしていきます。組織(チーム)をたばねて動かして、結果をもたらすリーダーには明確な「目指す場所」が。あいまいで、ときに何もなくて、試行錯誤でフラフラしながらメンバーを率いるのではなく、ある種「独裁的」に価値観を提示しつづける意志、覚悟、そして一貫性があります。
「コミュニケーション能力」も共通項。自らのビジョンをいかに分かりやすい言葉で周囲に伝え、理解させ、行動させられるかは、豊かな語彙力、表現力、包容力や感受性を帯びたコミュニケーションが必要不可欠です。監督業とならんで「解説業」にも従事して、言葉を磨いたという2人の共通点にも驚きとともに納得させられました。
「問題意識、反骨精神」においても重なります。美しく勝つ。「汚らしい」勝利を好みません。資金力にものを言わせて有力選手を集める手法に異議を唱え、自前で若手を育てる魅力を語ります。監督のサッカー観(ビジョン)が染みついた選手たちは、ただ勝つだけではなく、ビジョンをともなった勝利を目指すようになります。
資金的に脆弱なクラブで働いたという環境的要因もなくはないですが、正々堂々と、公明正大にサッカーと向き合い、自分のビジョンと照らし合わせながら、何を言われても、結果がでなくても揺るぎない一貫性をもって仕事をすすめる姿勢は、多くのビジネスパーソンの胸を打つものではないかと。
あともう一人。イングランドで活躍する監督の本を買いました。実はさらに2人の自伝も購入予定。抽象度高くみていくと「みんな同じ」に見えてくるのでは?という仮説を立てています。冷静沈着な監督もいれば、感情豊かな監督も。でもそれは私たちが目にする表面的なものにすぎないのかもしれません。
ストリーミングで試合の様子をみたり、インタビューを聞いたり、またはメディアの記事を読んだり。それら情報を複合的に処理して、その人を評価するとちょっと独りよがりというか、ただしい評価をするのは難しくなりそうです。考えてみればあたりまえの話で、過去の偉人について知ろうと思えば、書籍を手に取ってました。サッカーの監督だけ「手抜き」してたのはなぜでしょう?
いずれにしても楽しい読書でした。最近ビジネス書や心理学関連ばっかりだったので、気分転換になってます。もうしばらくサッカー本に没頭してみようと思います。
久保大輔
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