ビジョンをかかげ、ビジョンに紐づく物語を継続的に発信する
映画えんとつ町のプペルは、
スペックが最強であると同時に、
作品の背後にある表現者(西野亮廣さん)の世界観を長年にわたって発信してきた
という事実が、
映画に奥行きと深みを与え、
人々を感動させる。
昨日はそんな感じで
まとめてみました。今日も少し続けます。
■国内最大の
オンラインサロン登録者数は
7万人を超えています。
有料というフィルタをもうけることで、
無責任な野次のない環境ができて
言うまでもなく
そこに集まる人たちは原則、
西野さんを応援している人
ということになります。
「ディズニーを倒す」
「エンタメで世界を獲る」
という分かりやすいビジョンを
「叶えてほしい」
と応援する人が
たくさんいるということです。
映画という完成品を売るだけではなく、
彼がかかわるビジネス、
多くは映画に紐づくよう設計されているはずですが、
その成功体験のみならず
失敗の様子を
あざやかなカラー映像で映すように
包み隠さず、赤裸々に共有する
という価値を
私たちは消費しています。
完成品としての映画、エンタメを
単に買うだけではなく、
向こう側に人を感じるデザイン
がほどこされているから、
私たちがより深くそこに愛着を感じて、
熱中するんだと思います。
■失敗の共有は、
「余白のマネジメント」
おそらく西野さんは、
あえて失敗という「余白」を出して、
いい感じで抜けているところと、
朝7時に必ずVoicyを更新したり、
オンラインサロンで毎日3000文字書いたり
毎日朝方4時まで
猛烈に働くというストイックさ、
そのアンバランスな物語を
創出、配信し続けたのでしょう。
前日に飲み過ぎて
7時にVoicyが更新されなくて
「昨日のみ過ぎた!すみません!」
という余白を提示することを
ぜんぜん厭いません。
「ゴミ人間」でも、
個展の集客がうまくいかなくて、
真冬の夜中にひとりポスティングをしたり、
ニューヨークのど真ん中で
チラシ配りをしたり、
クールでスタイリッシュなクリエイター
とは真逆をいく
どぶ板営業、もがいている様子を
告白していました。
ちょっとした欠陥を見せてくれるからこそ、
ユーザーが自分ごとのように
西野さんに感情移入をして、
共感が膨らんでいくのでしょう。
■ももクロは、
ライブの最後に課題が課されて
メンバーが絶望的な表情を浮かべることが定番。
メンバーの成長物語が
連続ドラマのように展開していく様子を、
ファン(モノノフ)が応援する
という構図は
西野さんとサロンメンバーの関係性
とけっこう似ている気がします。
「やってやろう、満員にしてやろう」
とモノノフのテンションが上がり、
ハードルの高い課題を達成したライブ会場は
異様な一体感が生まれます。
ライブ終盤のバンドメンバー紹介では、
最後に必ずモノノフが紹介、
ビジョンに大写しにされますが、
それはまさしく、
ファンがドラマの重要な登場人物である
という位置づけを示すもの。
未完成品の共有と
一緒につくりあげるという世界観が、
ライブというスペックに
付加価値を与えています。
競合するアイドルグループやライブと
差別化を図る大きな要素のひとつです。
■スポーツクラブはどうでしょう?
選手、監督、GM、社長、社員、
誰でもいいと思いますが、
クラブを通してどんな夢を叶えたいのか?
どんな価値を世の中に提供したいのか?
人々にどのように喜んでもらいのか?
ビジョンや世界観を継続的に発信し、
ファンと共有する場所があるかどうか?
多くの(ほぼすべての)クラブが、
スタジアムに集客して、
チケットやグッズを売り、
満員のスタジアムを商材に
広告を販売しています。
スタジアムで行われる試合という
「完成品」を収入の柱に据えていますが、
試合にいたるプロセスや
タイトルを獲得するまでの物語、
それはときに紆余曲折、
試行錯誤でうまくいくことばかりではありませんが、
生々しいライブストーリーを
ファンと共有し、販売できるとすれば、
スタジアムは原則
無料化も可能なはずです。
スポーツクラブは
毎日が物語で彩られています。
その物語を、
クラブビジョンに紐づけるように構成し、
毎日発信できる人材が
これから求められる時代になると
個人的には睨んでいます。
絵本に興味がなかった私が
西野さん個人のファンになったように、
サッカー無関心層が
クラブリーダーのビジョンに共感して
ファンになる可能性は
ゼロではないと思います。
今日も最後まで読んでくれて
ありがとうございました。
それではまた明日。
おつかれっした!