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挑戦者のミスを罰することがないように


間違った音を出すから、
本当の音の美しさがわかる。

これは

ボストン・フィルハーモニックの指揮者
ベンジャミン・ザンダー氏の言葉です。

譜面通りに演奏するなんて
普通過ぎておもしろくない。

正確さで満足すれば
創造性が失われる。

間違った音を聞くと
「おもしろい!」といって、

よりよい演奏をつくるためのチャンス
だと考えます。


■海外のビジネス誌がいまだに

「恐怖心をあおる経営手法」
を礼賛する傾向にあったり、

人はひとりになるとサボる
という誤った思い込みによって

監視を強化、
従わなければ罰則といって

リモートワークを認めない会社が
今日でもあったりするから驚き。

そんな世の中で
ザンダーさんの姿勢は異質に映ります。

MUM効果とは、

恐怖心は知識を実行に移す能力も麻痺させてしまう

というもの。

上司を恐れるあまり、
やっかいな問題をスルーする社員たちは、

やっかいな情報を
うやむやにしてしまいます。

上層部に実情が伝わらず、
現実を正確に把握できないために

スペースシャトル・チャレンジャーは
爆発しました。


■自分の過去を振り返れば、

けっこうな確率で
「恐怖をふりかざす人」がいたように思う。

小学生のときにはじめたサッカー。

グラウンドにあらわれたコーチ
を見たとたん、

緊張して笑顔がなくなります。

試合で負けたらなぜか
「みぞおちでトラップ」をする練習をさせられました。

中学生になると
サングラスをかけて竹刀をもつ、

アニメに出てきそうな体育の先生
がいました。

高校に入ってすぐ、
平手打ちされた記憶が残っていますが、

その理由は謎のまま。

大学生になってバイトしたときも、
なにかにつけて因縁ふっかけてくる先輩がいたな。

就職したら

ノルマ未達で怒鳴られるなんて
日常茶飯事でした。

今やったら全部、
道徳的に即アウト。

同時にマネジメントという意味でも破綻
してしまうのは

何もいまに限った話ではありません。


特に幼少期の、
柔軟な思考によって生み出されるアイデアは、

常識にとらわれない
豊かな創造性でいっぱい。

でも怖くて誰も何も言い出せません。

余計なことをいって
やぶ蛇になったらたまったもんじゃない。

そんな後ろ向きな思考は、

大人になっても
なかなか変わることはありませんでした。


■恐怖が

ポジティブな結果をもたらすことは
おそらくないと思われます。

ザンダーさんのように、

間違いから学び、
あたらしいチャレンジを賞賛し、

ミスは体験として丁寧に扱う。

挑戦者を尊重し、

失敗しても次のチャンスを、
そしてまた次のチャンスを用意してあげたり、

間違ってもミスを大っぴらにして

挑戦者に恥をかかせるなんてこと、
絶対にあってはならないと思います。

好ましくない結果、状況を
伝えてくれた人には感謝すべき。

オープンなコミュニケーションを
奨励したいものです。


■経営者ともなれば、

社員が想像もできないような
強烈な不安や恐怖にかられているのかもしれません。

経営が傾けば、

自分だけではなく、
従業員やその家族を路頭に迷わせることにもなります。

「悪い情報をもってくるな」

という威嚇は、

「悪い状況をなんとかしてこい」

という思いが
見えなくもありません。

発奮をうながして社員を成長させる
という意味合いもなくもないでしょう。

ですが、

自身の経験だけではなく、
いろんな研究や企業の実績をみてみると、

恐怖をマネジメントする会社が
全面的によい業績をおさめているかといえば

そうではありません。

ということは、

人を粗末にあつかったり、
倫理的・道徳的な問題をないがしろにしていい

という論拠が成り立たたないことを
意味しています。


■会社経営

という大きな話ではありませんが、
小さな部署をマネジメントする私。

恐怖をあおりたくても、
威厳がなさすぎてできないのは、

それはそれで問題なのかもしれませんが、

言葉や態度で
部下を委縮させるのも同罪。

自覚なく、無意識レベルで
そんな卑劣なことをしていないかどうか。

自戒を込めてまとめてみました。


今日も最後まで読んでくれて
ありがとうございました。

それではまた明日。
おつかれっした!




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