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あいまいで不確実な創造性を育む

言われたことはきちんとこなす。それ以上でもそれ以下でもなく、その積み重ねを粛々と続けることで評価される。

一見すると、一昔前(というか今も?)の日本の、会社の慣習を表現しているように思えます。ですが実はこれ、スポーツの世界でも起きていること。今日、とあるスポーツクラブを訪問し、そんな現実に直面し、どうすれば打開できるかを模索する、とあるコーチと話をする機会に恵まれました。

かつて、サッカー日本代表の監督を務めていたオランダ人のハンスオフトさん。一度もW杯に出たことがなかった時代に就任し、彼の指導を受けた日本代表は快進撃を続け、メディアや私たち国民を熱狂させました。

アイコンタクト、スモールフィールド、トライアングル。スポーツを感覚でとらえたり、気合や根性で勝利を目指していた、今と比較するとやや牧歌的な空気すらただよっていた時代に、「理論」を持ち込み、「共通言語」で選手や、私たち国民をも巻き込んで、サッカーの世界観を一新しました。

残念ながらオフトジャパンが世界の舞台で躍動することはありませんでしたが、その後の進化は周知のとおり。今だ世界との差は歴然ですが、W杯の常連にまで成長した現在にいたる起点は、まさにあの「理論」が世を席巻したときだったと思います。

ところがオフト以降、しばらく試行錯誤が続きました。オフトを引き継いだのは、ブラジル人のファルカン監督。オフトとは対極の、感覚派の人物だったと記憶しています。そしてチームは迷走。アジアカップで低迷し監督は解任の憂き目にあいました。

選手たちに与えられた、明確な「やるべきこと」は、自信と安心をもたらし、一定の成果につながりました。ですが一旦「やるべきこと」を見失うと、一気に迷子になってしまう。

Googlemapのおかげで私たちは迷うことなく目的地に着けるようになりました。電車の乗り換えを間違うこともありません。スケジュール管理で30分前にアラームが鳴ります。これらが明日になった瞬間、全て使えなくなったらどうでしょう?おそらく世界中が麻痺。遅れやミスが多発して混乱してしまうでしょう。オフトからファルカンへの移行はまさにこんな状態だったのではないでしょうか?選手は途方に暮れ、走れなくなりました。

ビジネスでも同じ。理論は大事ですが、理論でカバーできるのは全体の2割程度に過ぎません。残りの8割は気合や根性で乗り切るしかないわけです。ですが理論を過剰に信頼し、気合や根性をおろそかにするケースが目立ちます。理論でうまくいかなければ、理由がわからずにあきらめてしまうことも少なくありません。

気合、と書きましたが、8割の余白は「創造性」でカバーすることもできるでしょう。業種業態を問わず、あらゆる情報を取得する姿勢を続けていると、予期せぬアイデアのヒントに出会うことがあります。それがイノベーションの種となり、大きな成果につながった経験は私も何度かあります。論理では辿りつかない世界。それは泥臭い気合や根性だったり、フワッとした閃きが起点になります。

上にある、サッカーに関する記述はあくまでも個人的な主観。専門家からすると稚拙な文章になっていると思います。ですが本日お会いしたコーチによると、「自ら考える力」が乏しい日本人が、ひとつ上のフェーズにいくためには「自由な発想」というあいまいで不確実な創造性を育む必要があるとのことでした。

学校教育にも、そんな自由度があって良さそうです。いずれにしても、私も硬直的な勉強やルーチンから離れて、広い視野で物事を見る機会を持ってみたいとあらためて感じました。備忘として。

久保大輔




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