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小さな掛け合わせで「誰にもできない」強さを

「強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ」

かつてドイツサッカー界栄光の一時代を築いたフランツベッケンバウアー氏の言葉。「皇帝の名言」なんて呼ぶ人もいますが、私の好きな言葉でもあります。「強さ」って一体何なのでしょうか?

ライオンやチーターは、サバンナで草食動物を捕食します。海や川、湖でもワニやサメなどが弱肉強食の頂点に君臨。テレビなどで捕食の瞬間をとらえる映像を目にするので、食物連鎖の上位に位置する動物が「強者」であるかのような錯覚に陥ります。

「錯覚」と表現したように、強い者がいつも強いというわけではないことも事実。シマウマが少なくなるといくらライオンでも生き延びることはできません。か弱い。そんな表現すら適切に思えてくるほど、捕食する対象が減れば百獣の王もお手上げです。

直線的に走ればチーターにかなう動物はいないでしょう。ですがジグザグに、そしてコースから瞬時に外れて逃げる敏捷性があればチーターより遅くても逃げ切れる可能性があります。小さい体をあえて小さくするという戦略もあれば、目立たなくするのではなくあえて目立つ戦略もある。しま模様は私たちにとっては目立ちますが、ライオンにとっては見えづらいと言われています。

「弱さ」を武器にする。そんな解釈や見方もあるでしょう。見るからに強そうな生き物ではなく、何事にも動じない、凛として立つ植物は、弱者であることこそが戦略的な強みであるかのように思えることがあります。「強い者が勝つんじゃない。勝った者が強いのだ」という言葉がしっくりくる対象でもあります。

「誰が敵なのか」

常に多くのオプションを用意して、多くのチャレンジをして、環境の変化に対しても強い。弱いと言われる生物の戦略でもあります。寒風の中にいち早く咲いた小さな花。私たちに春の訪れを知らせてくれる花は、冬の間も根を広げて春に備えていた植物ばかりです。

オンリー1とは、自分が見出した自分のポジション。どんなに小さくともナンバー1を勝ち取った生物が、この自然界をたくましく生き延びています。「ずらす」ということは、ただ強者を避けるということではなく、自らがナンバー1になる自分の居場所を探すこと。

条件を小さく狭く、細かくすれば、限られたニッチの中でナンバー1になれるチャンスが生まれてきます。ナンバー1の条件は「誰にも負けない」ことではなく、「誰にもできない」ことだと思います。

自分なりに、小さな強みを掛け合わせて、唯一無二の、代替え不可能な存在に。「弱み」を戦略的に活用して、これからの厳しい生存競争を勝ち抜いていきたいと自分に言い聞かせています。

久保大輔




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