「あえて演じる」強かさが将来を豊かにする
皆さんにも信念があるように、私にも自分が信じる考え方があります。こんなことをしてみたい、こうすればもっと世の中がよくなる、という信念。そして同時に、強い思いを持ちながら「一人では何もできない」ことも、みんなわかっているもどかしさです。
人間は社会的動物。周囲に人がいて、みんなで共同生活をすることで野生動物に劣る非力さをカバーして生きながらえてきました。現代社会においても、家族や友だち、会社の同僚やパートナー、クライアントなど、人間関係を無視して生活したり、お金を稼いだりすることは不可能です。
ところが十人十色の性格が一同に会すとどうしても、軋轢、齟齬、葛藤が生じてしまう。すべての人がまったく同じ考えで仕事をしたり生活ができるというのは幻想です。ですが少しでも考えを近づけて、同じ志で夢を実現したいと、会社創業者は「理念」を掲げて、人々が歩む方向性を示したんだと思います。
私たちはそれぞれが信念を持っているので、その信念がぶつかり合うことも多々。そして気の強い性格が、強引に自分の信念を貫かんとして他者を攻撃することだってあるし、その攻撃を受けて意気消沈、自信をなくして組織を離れる人だっています。さらに「ことを荒立てず」にうまくやり過ごす人がいることも事実。
八方美人のごとく、誰に対してもいい顔をして、笑顔で振る舞える人は、見る人からすると「信念がない」とか「自分の意見がない」といった評価に映ることがあります。確かにそういう一面を疑われても仕方ないかもしれませんが、「あえてそうしている」と強かに生きる人もいて、そういう人が意外と、最後の最後で実りを手にするケースは少なくありません。
人間、何かを与えられれば返したくなるもの。心理学でいう「返報性の原理」よろしく、あなたが誰に対しても笑顔で明るく元気に振る舞っていれば、そして時に手助けしたり、話を聞いてあげるだけでもいい。周囲に自分の時間や労力を分け与えていれば、いつしか必ず周囲があなたを助けてくれるはず。
「こんないい加減なやつに負けたくない」と、心では思っていても、強かに平静を装って、懐に入るような振る舞いを心がける。どうしようもない人のように思えても、どこかで自分の役に立ってくれる場合があります。逆に、そういう人ほど敵に回すと厄介。ネガティブキャンペーンを張られて言われなき中傷を浴びてしまえば、信念を貫くどころではありません。
嫌な相手を仕方なく立てているとき、「しめしめ」とほくそ笑んでおけばいいし、「教えてください」と本心ではなくても相手の心に入っていけば悪い気はされないでしょう。人は頼られると嬉しくなるもの。日々タネを巻いて、水をやって、しんどい作業を続けながらも、ついに花開いたときは今までの苦労をすべて回収するべく果実を根こそぎちょうだいすればいい。
周囲との葛藤に苦しみ相談してくれた仲間がいて、「絶対におとなしくしといて」と、強気な彼を落ち着かせていた私。かつては彼以上に強引に、ときに逆上して周囲との軋轢を作りまくっていた私なりに思うのは、「周囲とは仲良くしておくべき」は外せない、社会を生き抜くための心構えです。
がんばってほしいなと思いつつ、彼にはあらためて教えられたとひしひしと感謝の気持ちが湧いてきました。自分はどうだろうか?周囲とうまくコミュニケーションが取れているだろうか?自分の信念を貫くために、やりたいことを実現するために、「あえて」演じることもときに大切。長期的視点に立って、自分は何をやりたいのかをいつも念頭に置いて、今すべきことを明らかに、今を一生懸命生きたいと思います。
久保大輔
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