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秀吉と松茸狩り

FROM 安永周平

小学校で初めて歴史を学んだ時、豊臣秀吉に好感を持った記憶があります。というのも、ある寒い日に秀吉が、主君である織田信長の草履を懐で温めていて、それを差し出したところ信長からすごく気に入られた…と。まぁ、家来が主君に気配りをするのは当たり前のことかもしれませんが、実は主君に対してだけではなかったようです。

秀吉と松茸狩り


これは、秀吉が関白太政大臣として権勢を極めていた頃の話ですが、その年は例年になく松茸がよく採れたそうです。そのことを小耳に挟んだ秀吉は急に「松茸狩りに行きたい」と言い出しました。それを聞いた家来たちは困ってしまいました。なぜなら、もうすっかり採ってしまった後だったからです。

そこで家来たちは一計を案じました。そして、その前の晩、あちこちに松茸を植え直したのです。そこへ秀吉は出掛けていきました。

「なるほど見事な松茸じゃのう」


そう言った秀吉でしたが、忠義ヅラをした家来がいて、秀吉にそっと耳打ちしました。「殿、この松茸は昨夜植え直したものでございますぞ」と。

まわりの家来たちは顔面蒼白になりました。秀吉という人物は、敵に回った者に対しては厳しく、時に残酷な振る舞いもしています。もし秀吉がカンカンに怒ったらどんな罰を下されるかわかりません。一同は生きた心地もしませんでした。

秀吉がとった対応とは…


ところが、忠義ヅラをした家来の言葉を聞いた秀吉は「わかっている、わかっている」と頷きニコニコと笑いながらこう続けました。

「わしは百姓の子だ。松茸がどんな具合に生えているかはお前たちよりもよく知っている。一目みてこれは変だと思っていたよ。しかし、それは皆の善意から出たことだ。急に言い出したわしの期待に応えようという気持ちの現われをなんで叱れようか。むしろ嬉しく思っているぞ。久しぶりに松茸を見て昔のことが懐かしく甦ってきた。この松茸はみんなで分けて賞味してくれ。」

なぜ、秀吉は天下統一を成し遂げたか?


さて、秀吉がなぜ天下統一を成し遂げることができたかというと、それは彼が人心を収攬する術を心得ていたからでしょう。松茸の一件で言えば、彼は農家の出身であり、苦労人だからそんなことはよく知っていました。彼は職人の子であったという説もありますが、ともかく松茸がどんな風に生えているのかこの男が知らないはずがありません。一目で見抜いていたんです。

ただ、自分のために、自分を喜ばそうと家来たちがしてくれたことだから、彼は知らぬふりをして喜んでやろうと思いました。無粋な忠義ヅラをした家来のおかげで変な具合にはなりましたが、秀吉には人の心を見抜く才能と同時に、やさしさ、人情味もあったのです。いかに戦国の世とはいえ、人の心が分からない人間に天下を統一なんてできるわけがありません。

松茸を「みんなで分け合え」といえる細かい心遣いが、日本全土を統一するという大きな仕事にまでつながっていくのです。だから、そういう英雄や偉人と身近に接してみると、思ったよりも気性が穏やかで「本当にこの男が世の中を動かす大人物なのか?」と首をかしげることもあるかもしれません。しかし、本当に偉大な人ほど謙虚なのはあなたもご存知でしょう。

気配り・心遣いができているか?


もちろん、こうした偉人と自分を比べる必要はありません。しかし、学ぶべきことはあると思いませんか? お客様への気配り・心配りが「GIVE(与えること)」であるのは、このメルマガを読んでいるあなたならすでにご存知でしょう。

また、部下を持つマネージャー、あるいは役員・経営者であれば、社員に対する気配り・心配りができるかどうかで、そのチームの業績は変わってくると思います。部下から「この人のために頑張ろう」とか「この人が言うんだったら、力になろう」と思ってもらえるリーダーは、地位や権力を使う必要がありません。

チームの士気を高めたいなら…


メンバーが自発的に成長していく組織ほど強いものはありません。そして、それができるかどうかというのは、一定の仕組みも必要ですが、大前提としてリーダーの気配り・心配りがあるかどうかで決まったりもします。僕自身、メンバーへの気配りができていなかった時は誰も言うことを聞いてくれませんでしたから(苦笑)

あなたがリーダーの立場にいるのならなおさら、人と接するに気配り・心配りをするだけで状況がよくなっていくはずです。だからこそ、具体的に何をすればいいのかを多く知っていることは、大きなアドバンテージになると思うのですが…さて、あなたはどう思いますか?

PS
こうした気配り・心配りは”普段から”できるようになるのがオススメです

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