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経営サポート会議はこう活用する! 概要と注意点。中小企業支援ケーススタディ【エフアンドエム解説】

エフアンドエムによる連載「中小企業支援 ケーススタディ2024」経営サポート会議の活用について、経営サポート事業本部 経営支援部の細谷 悠介氏が解説する(金融ジャーナル2024年9月号掲載。数字、肩書き等は掲載時点)。

なお、エフアンドエムによる実践支援の過去掲載
飲食業に対する実践支援についてはこちら
小売業
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卸売業
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中堅・中小成長投資補助金
の活用についてはこちら



経営サポート会議とは

2012年(平成24年)4月20日に発表された「中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策パッケージ」において、中小企業の経営改善・事業再生・業種転換等の支援をより効果的に行うため、「中小企業支援ネットワーク」が全国47都道府県で構築された。

このネットワークは、公的機関等が一体となって、中小企業の経営改善や事業再生をサポートすることを目的としている。各地域では中小企業者が自らの関係者と意見を交換し、支援の方向性について検討する場として「経営サポート会議」の設立が推進された。

経営サポート会議は、中小企業が直面する課題に対応し、経営基盤を強化するための重要な枠組みであり、その構築と活用は中小企業支援のための効果的な手段となっている。

経営サポート会議の主な目的

経営サポート会議は、中小企業者が取引金融機関と一堂に会し、経営改善計画や金融支援の内容について合意形成を目指す場である。この会議は、中立・公正な立場の信用保証協会が事務局となり、複数の金融機関との間でスムーズな調整を可能にする。

特に、策定した経営改善計画を取引金融機関にまとめて説明し、意見交換が出来る点がこの会議の特徴である。取引金融機関への参加呼びかけは、各地の信用保証協会が行い、開催にかかる費用は原則無料である。

エフアンドエムは、経営サポート会議を以下の場面で活用している。
① 新規リスケジュール、及びリスケジュール更新時を行う場合
② 経営改善計画策定支援事業(405事業)に伴う金融支援の合意形成を行う場合
③ 取引金融機関が多く、今後の支援方針について意見交換を行う場合

 
経営者が、経営改善計画書を元に、自社の経営改善方針を自らの言葉で取引金融機関へ説明することはとても重要である。経営サポート会議は、中小企業が経営改善や事業再生を効果的に進めるために、取引金融機関や専門機関との間で情報共有や意見交換を行うための重要な場であると考えている。

また、信用保証協会が中立・公正な立場で運営を行うため、バンクミーティングより前向きで活発な意見交換が出やすいことが特徴である。そして、必ずしも金融支援の合意形成を目的とせず、関係金融機関との支援方針の「目線合わせ」の場として活用出来ることも、経営者にとってはとても有意義な制度である。以下で経営サポート会議を活用した事例をご紹介したい。


経営サポート会議を活用した支援事例

<企業概要>
F社は28年の歴史を持つ写真撮影業、全国7県に8オフィスと116名の従業員を擁し、ホテル結婚式やイベントの撮影サービスを展開していた。コロナ禍の影響で売り上げが大幅に減少していた。

<取り組みの背景>
コロナ禍の影響で売り上げが大幅に減少し、資金繰りがひっ迫した。アフターコロナでもブライダル需要の低下、BtoBでの営業に限界を感じR6年度から大胆な事業構造の変革を行うことになった。

<現状の課題>
①直近4期連続大幅な赤字、年間約定返済額30Mが資金繰りを圧迫
➁BtoBでは、粗利確保が困難な状況
③役員報酬の見直しの欠如、過剰な従業員採用、価格交渉、外注費用の管理不足

<改善施策>
①新規ビジネスの開始…エステ事業(ブライダル写真需要との相乗効果と個人顧客の獲得)
➁ECサイト、SNSによる個人顧客の獲得により大幅な粗利改善15%→30%
③業務委託費の見直し(常勤外注費用の見直し)
④役員報酬の削減、不要な人員整理、不採算オフィスの閉鎖・移転も含めた大幅な経費削減、年間60Mの販売管理費削減

<経営サポート会議の内容>
①取引金融機関5行に対し、経営改善計画書を元にした意見交換を実施
➁営業利益黒字化の理由と経営改善施策を代表者とエフアンドエムが説明
③年間返済30Mを18Mへ軽減、予想FCF内で返済財源を確保

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